高校公民の問題演習
核軍縮
※( )内の年度のセンター試験の問題を参考に作られています。(答えはすべて半角数字で入力すること)
問1 戦略兵器削減条約(STARTⅠおよびⅡ)についての記述として正しいものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
(2014(平成26))
① 相手国のミサイルを空中で迎撃するミサイルの配備を制限した。
② 配備済みの戦略核弾頭を削減した。
③ 中距離核戦力を全廃した。
④ 両国の保有できる戦略核弾頭数の上限を設定した。
問2 核兵器の実験や保持などを制限または禁止する条約についての記述として誤っているものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
(2011(平成23))
① 中距離核戦力(INF)全廃条約は、アメリカとソ連の間で核兵器の削減が合意された初めての条約である。
② 包括的核実験禁止条約(CTBT)は、あらゆる場所での核爆発を伴う核実験の禁止をめざして採択された。
③ 非核地帯を設定する条約は、ラテンアメリカ、南太平洋、東南アジアなどの各地域で採択された。
④ 核拡散防止条約(NPT)は、アメリカ、中国、ロシアの3か国以外の核保有を禁止する条約である。
問3 核兵器についての記述として誤っているものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
(2018(平成30))
① 核拡散防止条約(NPT)は、非核兵器国が原子力の平和利用を行うことを禁止していない。
② パキスタンは、一方的に宣言して、自国の核実験を禁止している。
③ 部分的核実験禁止条約(PTBT)は、核兵器国が地下核実験を行うことを禁止していない。
④ 東南アジア諸国は、条約を締結して、締約国の核実験を禁止している。
近代的自我の苦悩と文学
※( )内の年度のセンター試験の問題を参考に作られています。(答えはすべて半角数字で入力すること)
問1 日本が近代化するなかで、自己について問うた人物に北村透谷がいる。彼に関する記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
(2013(平成25))
① 自己とは政治的な世界において実現されるものではなく、具体的な現実を離れ、想世界の充実を通じて内面的に確立されると論じた。このような自己へ至る方法として恋愛を重視した。
② 自由民権思想のもと、独立した自己の重要性にめざめ、政治運動に没頭した。そして、文学や芸術を想世界に閉じこもる行為であると批判し、自己の実現は、実世界における実践で確立されると訴えた。
③ 自己とは政治的な世界において実現されるものではなく、具体的な現実を離れ、想世界の充実を通じて内面的に確立されると論じた。このような自己へ至る方法として本能を重視した。
④ 自由民権思想のもと、独立した自己の重要性にめざめ、政治運動に没頭した。そうした実践を通して、想世界と実世界は一致し、自己の独立が可能になると訴えた。
問2 個人主義は夏目漱石の理解によればどのようなものであったか。それを表す記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
(2008(平成20))
① 真の利己心を発揮すれば、それが人類全体のためになるように人間はつくられている。そこにこそ人間の価値がある。
② 単なるエゴイズムは否定されるべきもので、自己の義務を自覚し、他人の自由をも認める者が、あるべき個人である。
③ 小なる自己が乗り越えられ、自己と世界が統一されることによって、独我論を超えた真の個人に到達することができる。
④ 古い思想や世間の常識をうち破り、宇宙・自然を我が身で直接感受することによって、自由な個人となることができる。
問3 森鴎外が自らの立場とした「諦念」について説明した記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
(2005(平成17))
① 自我と社会の矛盾に遭遇したとき、あくまで自己を貫くのではなく、自らの社会的な立場を冷静に引き受けながらも、なおそこに自己を埋没させまいとする立場。
② 自我と社会の矛盾に遭遇したとき、小さな自我に対するこだわりを捨て、自我を超えたより大きなものへと自らを委ねることで、心の安らぎを得ようとする立場。
③ 自我と社会の矛盾に遭遇したとき、あくまで自己を貫くのではなく、欲求の実現を断念し現実から逃れることで、社会から独立した自己を実現しようとする立場。
④ 自我と社会の矛盾に遭遇したとき、小さな自我に対するこだわりを捨て、社会的要請に応えることに自らの理想を見いだして、人格の完成を目指そうとする立場。
調べ学習
※( )内の年度のセンター試験の問題を参考に作られています。(答えはすべて半角数字で入力すること)
問1 授業で、日本の政治状況について調べ、データを用いてレポートを作成しようとしている。レポートにおいて、次の項目ア~ウについてグラフを用いて示す場合、グラフの特色を最もいかして説明するには、それぞれどの種類のグラフを用いるのが最も良いか。項目ア~ウとグラフの種類A~Cの組合せとして最も適当なものを、下の①~⑥のうちから一つ選べ。
(2014(平成26))
ア 世論調査における政党支持率の時間的な変化
イ 選挙における全得票数に占める各政党の得票数の割合
ウ 各閣僚の指導力や情報発信力、安定感など、複数の項目に関する、数値による評価
A 折れ線グラフ
B レーダーチャート
C 帯グラフ
① ア―A イ―B ウ―C
② ア―A イ―C ウ―B
③ ア―B イ―A ウ―C
④ ア―B イ―C ウ―A
⑤ ア―C イ―A ウ―B
⑥ ア―C イ―B ウ―A
問2 次の文章の A ~ C に入る語句の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑧のうちから一つ選べ。
(2012(平成24))
多数の人々の意識や現状などに関する全体的な傾向について、 A を用いて意見を収集して統計的に把握することを目的とする調査方法がある。 A による調査のうち、世論調査のように調査対象の規模が大きい場合に、よく用いられる手法として B がある。 B は、無作為抽出などの手続きを用いて調査対象全体の傾向を明らかにすることができる。こうして得られたデータを分析した結果をレポートなどにまとめる場合、表やグラフを使って他の人々に視覚的にわかりやすく伝えることも重要である。例えば、 C は、データ全体の構成内容と構成比を示すときに適しているとされる。
① A アンケート B 標本調査 C 円グラフ
② A アンケート B 標本調査 C 折れ線グラフ
③ A アンケート B 全数調査 C 円グラフ
④ A アンケート B 全数調査 C 折れ線グラフ
⑤ A ディベート B 標本調査 C 円グラフ
⑥ A ディベート B 標本調査 C 折れ線グラフ
⑦ A ディベート B 全数調査 C 円グラフ
⑧ A ディベート B 全数調査 C 折れ線グラフ
問3 課題について調べたり発表したりする際の活動内容に関する記述ア~ウと、その方法A~Dとの組合せとして最も適当なものを、下の①~⑧のうちから一つ選べ。
(2015(平成27))
ア 大学生活を充実させるためには何をすればよいか、その場の参加者が自由にアイデアや意見を出し合う。
イ 仕事に就くまで、趣味で使用するための商品を購入する際にローンを利用すべきでないとする論題について、賛成するグループと、反対するグループに分かれて、互いに自分たちの意見を論じ合う。
ウ 契約をめぐるトラブルの経験の有無について統計的に把握するため、大学生に対して質問紙を配布し、回収する。
A ブレインストーミング
B インタビュー
C ディベート
D アンケート
① ア―A イ―B ウ―C
② ア―A イ―C ウ―D
③ ア―B イ―A ウ―C
④ ア―B イ―C ウ―D
⑤ ア―C イ―A ウ―B
⑥ ア―C イ―D ウ―A
⑦ ア―D イ―A ウ―C
⑧ ア―D イ―B ウ―A
選挙制度
※早稲田大学の入試問題を参考に作られています。(全角文字のみで入力すること)
次の文を読んで、下記の問いに答えよ。
選挙には大きく分けて多数代表と比例代表という2つの方式(以下、それぞれ甲、乙という)がある。甲はアングロサクソン諸国で発達し、安定した多数派、したがって安定した政権を生みやすいが、大量の 1 が生じ、民意を正確に議会に反映させることが難しい。他方で、乙はヨーロッパ大陸諸国で発達し、有権者の意思を議会に反映させやすいが、しばしば 2 状態に陥り、政権が不安定化すると言われている。この欠陥を克服するため、議席を獲得できる得票率に下限を設けたり、A票数=議席数換算方式に工夫を加えたりして小政党を排除するが、それは民意を歪めることになる。
冷戦終了前後に民主化した多くの諸国においては、両方式の長所を採り入れようとして混合方式が採用された。日本の選挙制度改革も広い意味ではこの流れに属する。日本ではそれまで原理上は甲であるが、実際の機能においては甲でも乙でもない、一般に 3 の名で知られる独特の方式が採用されていたが、それによってB多くの問題が生じたと考えられて改革が行われた。
実は混合方式にもいろいろある。古典的な方式は、C甲に基づく選挙区(以下、甲区)での当選を優先しつつ、全体として乙に基づく選挙区(以下、乙区)での得票率にしたがって各政党に議席数を配分するというものである。これに対して日本で採用された方式は 4 と呼ばれ、甲区と乙区が原則的に相互に独立している。もっとも、D衆議院と参議院ではかなりの違いがある。古典的な混合方式では基本的に乙区での得票率にしたがって議席を配分するので 1 がほとんど出ず、かつ安定した政権が組織されると言われる。しかし、日本方式では甲区の比重が大きく、選挙ごとに 1 が全国的に5割前後も生じて、かつ乙区があるために 2 状態も残るという皮肉な結果が生じている。
問1 文中の 1 ~ 4 に適合する用語を解答欄に記入せよ。
問2 下線部分Aに関連して、日本でも導入されている代表的な方式の名称を解答欄に記入せよ。
問3 下線部分Bに関連して、小選挙区制に比してこの方式から生じやすいと考えられた問題は次のどれか。その記号を解答欄に記入せよ。正解は必ずしも1つとは限らない。(答えが複数ある場合は、記号と記号の間に全角の読点(、)を入力すること)
ア 同一政党から複数の候補者が出て、派閥が発生しやすくなる。
イ 現職候補に有利になるような選挙区(「ゲリマンダー選挙区」)を設定する傾向が強まる。
ウ 全国的な視野をもった政治家が出にくくなる。
エ 選挙区の定数が多いので、多党化しやすくなる。
オ なじみのない候補者が乱立するため、棄権率が高くなる。
問4 下線部分Cに関連して、この方式を最初に採用した国を次から選び、その記号を解答欄に記入せよ。
ア デンマーク イ フランス
ウ オーストラリア エ カナダ
オ ニュージーランド カ 旧西ドイツ
問5 下線部分Dに関連して、正しいものは次のどれか。正しいものの記号を解答欄に記入せよ。正解は必ずしも1つとは限らない。(答えが複数ある場合は、記号と記号の間に全角の読点(、)を入力すること)
ア 衆議院で先に選挙制度の改革を実施し、参議院がそれにならった。
イ 衆議院では重複立候補制のために甲区と乙区が必ずしも相互に独立しているとは言えないが、参議院では完全に独立している。
ウ 衆議院の乙区は13のブロックに分かれているが、参議院では全国1ブロックである。
エ 現在では衆議院の乙区も参議院の乙区も拘束名簿方式である。
オ 有権者は、衆議院では甲区と乙区でそれぞれ1票、合計2票を投じるが、参議院では共通の1票を投じる。
カ 衆議院と異なって参議院の甲区は必ずしも1人区となっていない。
アリストテレス
※( )内の年度のセンター試験の問題を参考に作られています。(答えはすべて半角数字で入力すること)
問1 アリストテレスの「調整的正義(矯正的正義)」の説明として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
(2009(平成21))
① 各人の業績を精査し、それぞれの成果に応じて報酬を配分すること
② 加害者を裁いて罰を与え、被害者に補償を与えて公平にすること
③ 知性的徳を備えた人が習性的徳を備え、完全に正しい人になること
④ 法的秩序を保ち、人間として正しい行為をする状態に市民を導くこと
問2 アリストテレスが用いている中庸の例の記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
(2007(平成19))
① 恐れるべきものとそうでないものを正しく判断できるように知的訓練を積むことで、勇気のある人になる。
② 金銭や財に関して、必要以上に惜しんだり浪費したりしないよう習慣づけることで、おおらかな人になる。
③ 神の知をもっていないと自覚することで、最大の無知から解放され、人間にふさわしい知恵を得ることができる。
④ 極端な快楽と極端な禁欲を避けながら、静かな修道生活を送ることで、心の平安を得ることができる。
問3 イデア論を批判したアリストテレスについての説明として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
(2015(平成27))
① 善のイデアを追究する生き方を理想としたプラトンを批判して、善は人によって異なるので、各自が自分にとっての善を追究すべきだと説いた。
② 理性で捉えられるイデアを事物の原型としたプラトンを批判して、事物が何であるかを説明する唯一の原理は、事物を構成する質料であるとした。
③ 永遠不変のイデアが存在するとしたプラトンを批判して、すべては現実態から可能態へと発展するのであり、同一であり続けるものはないと述べた。
④ 個々の事物を離れて存在するイデアを真の知の対象としたプラトンを批判して、個々の具体的な事物こそ探究の対象とすべきだと主張した。