この問題でおさえておきたいこと
関連性が深いものを関連づけて、核軍縮に関係する条約の内容をおさえよう!
解答
問1 ② 問2 ④ 問3 ②
解説
問1 ①:「空中で迎撃するミサイル」とあることから、これはABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約の内容を説明していると考えられます。1972年に米ソ間で結ばれた条約ですが、2002年にブッシュ大統領がこの条約から脱退しました。
②:「削減」という単語を手がかりに、これが正解だと考えることができます。
③:「中距離核戦力」とあることから、これは中距離核戦力(INF)全廃条約の内容を説明しているといえます。
④:「上限を設定」とあることから、これは戦略兵器制限条約(SALT)の内容を説明しているといえます。
問2 ①:「ポイントのまとめ」にあるとおり、この文の内容は正しいです。ちなみに、中距離核戦力(INF)全廃条約を結んだのは、アメリカのレーガンとソ連のゴルバチョフです。
②:「ポイントのまとめ」にあるとおり、この文の内容は正しいです。
③:「ポイントのまとめ」にある、非核地帯条約の説明のとおりです。ラテンアメリカではトラテルコ条約、南太平洋ではラロトンガ条約、東南アジアではバンコク条約が結ばれています。
④:核拡散防止条約(NPT)ではアメリカ、中国、ロシアだけでなく、イギリスとフランスの核保有も認めています。その5か国以外の核保有を認めていないわけなので、この文が誤りといえます。
問3 ①:核拡散防止条約(NPT)では、国際原子力機関(IAEA)による査察を受け入れれば平和利用のための核保有は認めているわけなので、この文は正しいです。
②:パキスタンは1998年のインドの核実験に呼応して核実験を行い、核保有国になりましたので、この文が誤りです。
③:「ポイントのまとめ」にあるとおり、この文の内容は正しいです。
④:「ポイントのまとめ」や問2の解説にあるとおり、東南アジアではバンコク条約が結ばれているので、この文の内容は正しいです。
ポイントのまとめ
核軍縮への機運の高まり
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1955年 ラッセル=アインシュタイン宣言
哲学者ラッセルと物理学者アインシュタインが原子力の平和利用および核兵器の廃絶などを訴えた宣言で、核兵器廃絶運動の契機に -
パグウォッシュ会議
ラッセル=アインシュタイン宣言をうけて、核廃絶をめざすために開かれた科学者会議 -
核抑止論(核保有すれば、攻撃した際に自分の国に核兵器が使われるかもしれないと、相手に攻撃を思いとどまらすことができるという考え)のもとの米ソの軍拡競争
→軍事費の財政負担の増加
核実験関係の条約
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1963年 部分的核実験禁止条約(PTBT)
地下核実験以外の核実験を禁止(=地下核実験だけ禁止されていない)
アメリカ・ソ連・イギリスが調印(=フランス・中国は調印していない) -
1996年 包括的核実験禁止条約(CTBT)
あらゆる核実験を禁止しているが、未臨界核実験は禁止していない
核保有国と核開発能力がある国すべての批准が必要だが、アメリカ・中国・インド・パキスタンなどが未批准
核保有・使用を防ぐ条約
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1968年 核拡散防止条約(NPT)
米ソ英仏中以外の国が新たに核を保有することを禁止
平和利用などのために保有する場合は国際原子力機関(IAEA)による査察が必要 -
非核地帯条約
指定された地域での核兵器使用を禁止する条約
ラテンアメリカのトラテルコ条約、東南アジアのバンコク条約、南太平洋のラロトンガ条約など
米露(米ソ)の2国間協定
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戦略兵器制限条約(SALT)
戦略兵器保有の上限を設定(=削減ではない)
SALTⅠとSALTⅡがあったが、SALTⅡについてはソ連のアフガニスタン侵攻のせいでアメリカが批准を拒否 -
戦略兵器削減条約(START)
戦略兵器の削減を取り決め
STARTⅠ、STARTⅡ(未発効)、新STARTがある -
中距離核戦力(INF)全廃条約
中距離ミサイルのみだが、史上初の全廃条約
核兵器以外の軍縮条約
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1997年 対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)
対人地雷の破壊義務などが明記
地雷大国のアメリカ、中国、インド、ロシアが不参加 -
2008年 クラスター爆弾禁止条約
保有するクラスター爆弾の廃棄、被害者支援の義務を明記
大量に保有しているアメリカ、中国、ロシアが不参加