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この問題でおさえておきたいこと

アリストテレスの思想では、エイドス論と徳・正義についての思想がチェックポイント!

解答
問1 ②   問2 ②   問3 ④

解説

問1 ①は配分的正義についての説明です。用語の意味をしっかり理解していないと、この選択肢と間違えてしまいやすくなりますから、用語は意味をきちんと理解して覚えるようにしましょう。

問2 アリストテレスの考える中庸とは、過多と不足の両極端を避けた中間を選ぶ行動のことです。そして、その中庸を選ぶ習慣を身につけることで形成されていくのが倫理的徳というわけです。「過多と不足の両極端を避ける」という点と「習慣の必要性」という点にふれた選択肢は②しかありません。

④の選択肢でも過多と不足の両極端を避けるという内容が書かれていますが、アリストテレスは「静かな修道生活を送る」必要があるとは述べていません。公共の場から離れて「静かに暮らす」ことを主張したエピクロス派の思想といえるでしょう。

問3 ①:善が人によって異なるという相対主義的な主張は、ソフィストのプロタゴラスなどにみられる考え方ですが、アリストテレスはそのような主張はしていません。

②:アリストテレスは、形相と質料が合わさって事物が存在すると主張しましたから、質料だけが唯一としているのは誤りです。

③:可能態から現実態へと発展しますから、「現実態から可能態へ」というのは誤りです。また、アリストテレスは同一であり続けるものはないと主張してもいません。

④:イデアが個々の事物と離れたところに存在するとしたイデア論の内容も正しく、本質は事物の中にあるという点もアリストテレスの主張と合っていますので、この文が正しいといえます。

ポイントのまとめ

・アリストテレスのエイドス論(イデア論批判)

アリストテレスの師プラトンイデア論では、本質は現実世界になく、現実世界と別の世界にある「イデア」にあるとした
→プラトンはこれを批判、現実の事物の中に本質があるという現実重視の思想を展開

事物は次の2つのセットで成り立っているとした

→形式がない材料が形式を与えられることで、または一定の質料と一定の形相が合わさって、はじめて具体的事物は現実世界に存在する

本質は事物の中にあるというが、事物は変化していくことについて、どう説明するのか?
→まず、事物には次の2つの状態がある

事物の変化は可能態から現実態へと移る過程であり、だからこそその移り変わりにも意味がある

・徳と中庸(『ニコマコス倫理学』で述べる)

人間には2つの徳が必要と唱える

※中庸

過多と不足の両極端を避けた中間を選ぶ行動のこと

例:
無謀と臆病の中庸が勇気
虚栄と卑屈の中庸が自尊心
放縦と鈍感の中庸が節制

・国家において重視すること

アリストテレスの根本的な考え方:「人間はポリス的動物である
…人間はポリスを離れて生活することはできず、道徳は完成しない

ポリスで生きていくうえで必要な2つのもの

※正義について

アリストテレスは正義を次のように分類

・国家形態について

政治にかかわる人数によって形態が変わる

腐敗しないよう注意しないといけないが、共和制が一番望ましいとした