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この問題でおさえておきたいこと

大選挙区制・中選挙区制・小選挙区制のちがい、比例代表選挙での衆議院と参議院のちがいを比較しておさえよう!

解答
問1
   1   …死票
   2   …小党分立
   3   …中選挙区制
   4   …小選挙区比例代表並立制
問2 ドント方式(ドント式でもOK)
問3 ア,エ
問4 カ
問5 イ,カ

解説

問3 中選挙区制の問題点ですが、要するに大選挙区制の短所を考えれば解くことができる問題です。

イは小選挙区制の短所です。オについては、なじみのない候補者が他政党に対する「刺客」として立てられることが小選挙区制でされることがあります。よって、小選挙区制の問題点ともいえますし、そもそもそれが棄権率につながるかどうかについても論理の飛躍があるように思えます。

さらに、ウについてですが、大選挙区制では大きな政党の候補者が地元への利益誘導をしようとする問題点がありますが、それを「全国的な視野を持った政治家が出ない」とするのは適切だとはいえないでしょう(地元に利益をもたらせてそこから全国に波及させるという考えもあるので)。

問4 旧西ドイツの連邦議会選挙では、小選挙区比例代表併用制という選挙制度が使われていました。比例代表制の結果によって議席を割り振り、当選者決定に小選挙区の結果を用いるという方法です。これは今のドイツの連邦議会選挙でも使われています。

ちなみに、日本の小選挙区比例代表並立制では、小選挙区制と比例代表制で別々に議席が割り振られますが、この制度では、比例代表制の結果がまずあってから小選挙区制の結果を使うという点にちがいがあります。

問5 ア:たとえば、比例代表制の導入は参議院は1983年でしたが、衆議院では1990年代に入ってからというように、衆議院のほうが先だとは限りません。

イ:衆議院では重複立候補制が認められていますが、参議院では認められていませんから、正しいといえます。

ウ:衆議院の比例代表制では13のブロックに分かれていますから、「11のブロック」というのは誤りです。

エ:参議院の比例代表制は非拘束名簿式となっています。

オ:参議院でも選挙区での投票として1票、比例代表での投票として1票の合計2票を投じます。

カ:都市部の都道府県などでは当選者が複数人になっている選挙区になっていますから、この選択肢は正しいといえます。

ポイントのまとめ

・選挙制度

次の3つがある

※ドント方式とは、各政党の得票数を1,2,3,…と整数で割り、その答え(商)の大きい順に定数に達するまで議席を配分するという方法です。

 
 

長所

短所

大選挙区制

死票(落選者に投じられた票)が少なくすむ
→国民の民意を反映させやすい

・多数の政党から当選者が出やすい
→小党分立が起こりやすい
・1つの政党が圧勝しにくい
→政権交代が起こりにくい
・大きな政党だと立候補者を立てるときに派閥が生じる
→派閥間の競争で費用がかかったり、差別化を図るために地元への利益誘導が起こったりする

小選挙区制

・力の強い政党が勝ちやすい
→小党分立を防げる
・同じ政党からの候補者乱立を防げる
・選挙区が小さいので選挙費用が少なくすむ

・1人しか当選されないので死票が多くなる
・小さい政党が伸びにくい
→多様な民意が反映されにくい
ゲリマンダー(与党に有利な選挙区割り)がされやすい

比例代表制

・得票数に忠実なので、死票が少なくすみ、民意が反映されやすい
・小さい政党でも議席を確保しやすい

・小さい政党が多くなり、政局が安定しない

・日本の選挙

日本では、以前は中選挙区制で選挙していた
(1つの選挙区から3~5名を選出する制度で、実質的には大選挙区制と同じ)

1994年に廃止。小選挙区比例代表並立制(総定数の一部を小選挙区制で決め、残りを比例代表制で決める方法)に変わる

衆議院では小選挙区制から289名、比例代表制(全国を11のブロックに分ける)から176名を選出
参議院では各都道府県を1つの選挙区とした選挙区制から146名、比例代表制(全国を1つのブロックにしている)から96名を選出

・比例代表制における衆議院選挙と参議院選挙のちがい

衆議院も参議院もどちらも、政党は選挙のときに候補者の名簿を提出する必要があることは同じ

 
 

衆議院

参議院

名簿との関連

拘束名簿式
=あらかじめ提出した当選順位を指定した候補者名簿の順に議席を配分

非拘束名簿式
=あらかじめ提出した候補者名簿の順に議席を配分するとは限らない

投票の方法

政党名を記入
(個人名では投票できない)

政党名か候補者名を記入
(政党名とその政党からの立候補者名で書かれた票の合計が政党の得票数になる)

当選者の決定

候補者名簿の当選順位が高い人から当選

得票数の多かった人から当選

重複立候補制

認められている

認められていない

重複立候補制とは、小選挙区で立候補した人が比例代表の候補者名簿にも名前を出すことができることです。

・比例代表制について

1.比例代表制の名簿では、重複立候補者どうしで同じ順位に複数の候補者を並べることができるが、同じ順位の当選者は惜敗率(自分の得票数÷選挙区1位の当選者の得票数×100)の高い人から順に当選となる。

小選挙区で落選したのに比例代表で復活当選したケースが出るので、選挙区内の有効投票数の10分の1に満たなかった候補者は比例代表での復活当選はできない。

2.比例代表制で選出された議員は、衆議院でも参議院でも、所属していた政党と別の政党に移籍した場合は失職する
(ただし、選挙後に結成された新政党への移籍や、政党を離れて無所属になったときは失職しない)