高校地理の問題演習
農牧業形態
※学習院大学の入試問題を参考に作られています。
世界の主な農業形態の特徴と、それらの農業形態がみられる主な地域について、以下の設問に答えなさい。
農業形態の特徴
a.外来河川や湧水地に灌漑を施し、小麦などの穀物、ナツメヤシ、綿花、野菜などを[ ア ]的に栽培する農業形態。
b.木材を組み立てフェルトや毛皮を張った移動式住居に住みながら、ステップなどを家畜の餌と水をもとめて移動する[ イ ]的な農業形態。乳製品、肉類、毛皮など生活必需品の多くを家畜に依存する。
c.大規模な農園で、安価な労働力を大量に用いてタバコやコーヒー、カカオなどの嗜好作物や油ヤシ、サトウキビなどの商品作物を単一栽培する農業形態。
d.単一の飼料用もしくは加工用の穀物、あるいは畜産物の販売を目的とする大規模で単位面積あたりの労働力投下の少ない[ ウ ]的な農業経営。品種改良や栽培・飼育の合理化、ITの導入、販売網のグローバル化など高度な経営技術の導入と資本投下など巨大な農業関連産業の一部を構成している。
e.ヨーロッパの三圃式農業から発達し、雑穀や根菜を中心とする飼料作物の栽培と家畜の飼育を組み合わせた農業形態。
f.野菜・果物、花きなどを[ エ ]的に栽培する。経営規模は比較的[ オ ]いが、資本や労働力などを投下し、商品の付加価値をつけるなどして収益性を[ カ ]めた農業形態。
主な農業地域
g.アメリカ合衆国の中央平原、ロシア共和国南部およびウクライナ、オーストラリア、南米の各地の肥沃な土壌地帯
h.南米、東南アジア、南アジア、アフリカの熱帯・亜熱帯地域
i.北アフリカ、西アジア、中央アジア、チベット高原、モンゴル、シベリア北部など
j.北アフリカ、西アジア、中央アジア、タリム盆地
k.フランス、ドイツなどヨーロッパ西部およびアメリカ合衆国中部の平原地帯
l.ヨーロッパ北西部および南部、アメリカ合衆国東部および南部の沿岸地域、オーストラリア南東部などの主に大都市近郊地域
問1 文章中の空欄[ア]~[カ]に適する語句を次のa~fからそれぞれ1つ選び、記号をマークしなさい(半角アルファベットの小文字で入力すること)。
a.大き(い) b.小さ(い) c.高 d.低
e.集約(的) f.粗放(的)
問2 下の表の空欄①~⑥には前の農業形態の特徴のa~fから、空欄⑦~⑫には前の主な農業地域のg~lから適するものをそれぞれ1つ選び、記号をマークしなさい。
農業区分 | 農業形態の特徴 | 主な農業地域 |
園芸農業 | ① | ⑦ |
オアシス農業 | ② | ⑧ |
企業的穀物農業・企業的牧畜 | ③ | ⑨ |
混合農業 | ④ | ⑩ |
プランテーション農業 | ⑤ | ⑪ |
遊牧 | ⑥ | ⑫ |
問3 近代以降、ヨーロッパで園芸農業や酪農などの各種農業形態が分化した要因(契機)を20字以内で簡潔に説明しなさい。
新旧地形図の読み取り
※( )内の年度のセンター試験の問題を参考に作られています。
問1 小鳴門海峡付近の景観変化に関心をもったタクミさんは、新旧の地形図を比較した。次の図4は、その地域の一部の範囲における、1948年と2005年の2万5千分の1地形図である。図4から読み取れる変化を述べた文として適切でないものを、下の①~④のうちから一つ選べ(答えは半角数字で入力すること)。
(2013(平成25))
① 塩田跡地は市街地化が著しいが、水田の市街地化はすすんでいない。
② 海峡中に存在する島の上を通過するかたちで、橋が架けられた。
③ 海峡南岸の干潟の一部は埋め立てられ、大規模な施設が立地した。
④ 海峡を横断する渡し船は存続しているものの、航路の数が減少している。
問2 次の図3は、佐賀市内の一部の範囲を示す1966年と1998年に発行された2万5千分の1地形図である。ユカさんは、この2つの地形図を比較して土地利用の変化を読み取った。その変化を述べた文として適切でないものを、次の①~④のうちから一つ選べ(答えは半角数字で入力すること)。
(2011(平成23))
① 佐賀球場周辺に広がっていた水田は、住宅地や学校などに変わった。
② 市街地南側の本庄付近を通るバイパス道路が、新たに敷設された。
③ 城跡を囲む濠の西側に集積していた寺院は、宅地化によりなくなった。
④ 末次の東側の水路は、耕地の整理により直線的な形態に改変された。
平野について
平野について次の問いに答えなさい。(全角カタカナで入力すること)
(1)平野の地形について述べた次の文のうち、正しくないものを一つ選び、記号で答えなさい。
ア 侵食平野は侵食作用によってできた平野であり、日本ではほとんどみられない。
イ 侵食平野にはケスタ地形やエスチュアリーといった地形も含まれる。
ウ 沖積平野には扇状地や三角州といった地形も含まれる。
エ 一般に河川の上流で堆積する砂れきの粒状は下流のそれと比べて大きい。
(2)氾濫原と三角州について述べた次の文のうち、正しくないものを一つ選び、記号で答えなさい。
ア 氾濫原は、河川の氾濫による堆積作用によって形成された地形である。
イ 氾濫原では川沿いに自然堤防が形成され、その背後には後背湿地が広がる。
ウ 三角州では地下水位が高く低湿なため、畑地としてよりも水田としての利用がさかんである。
エ 三角州は河川の河口付近に形成される平野で、地盤沈下は起こりにくい。
ラテンアメリカの地誌
※北海道大学の入試問題を参考に作られています。
右の地図を参照して、ラテンアメリカ地域に関する次の設問に答えよ。
問1 アマゾン川およびその地域の自然環境についての下の記述のうち、下線①~④で示された箇所について、誤っているものの番号を1つ選び、正しい語を答えよ。
アマゾン川は、①アンデス山脈に源を発し、②大西洋に注ぐ大河である。流域の大部分は熱帯雨林気候に属する大平原であり、③リャノと呼ばれる熱帯雨林に覆われている。未開拓地が多いが、1970年代の④アマゾン横断道路の建設をはじめとして開発が進んでおり、近年、森林破壊が問題となっている。
問2 下のイ)~ハ)は、ラテンアメリカの主要都市についての記述である。それぞれに該当する都市名を答え、その位置を地図中a~fから選べ。
イ)この都市は、19世紀後半以降、コーヒーの集散地として発展した。化学・機械・食品などの各種工業がさかんで、人口1,000万人規模の都市である。
ロ)この都市は、標高3,600m以上に位置する首都で、近くに錫鉱山がある。
ハ)この都市は、温暖湿潤気候に属し、広大な温帯高原の農牧業地帯を後背地として発展した。農産加工のほか、金属、化学などの各種工業が発達している。
問3 下のグラフは、ある鉱産資源に関して、その世界産出量(2003年)に占める各国の比率を示している。この鉱産資源は何か。また、地図中に▲で示したこの資源の鉱山名を答えよ。
問4 下のイ~ニは、地図中B~E国の2001年における品目別輸出額割合を示したグラフである。各グラフがいずれの国に該当するか、B~Eの記号で答えよ。
問5 ラテンアメリカ地域の農牧業について述べたイ)~ホ)の記述のうち、正しいものを1つ選び、記号で答えよ。
イ)ウルグアイには、グランチャコと呼ばれる熱帯草原が広がっており、肥沃な土壌で小麦やとうもろこしの栽培が行われるほか、牛や羊の飼育がさかんである。
ロ)ラテンアメリカにおける零細農家による自給的作物栽培のことを、一般にファゼンダと呼ぶ。
ハ)コロンビアは、典型的なモノカルチャー経済を脱しておらず、現在でも、同国の総輸出額中、コーヒー豆が5割以上を占めている。
ニ)アルゼンチンおよびチリの南部には、寒冷な南西風が卓越する半乾燥の台地がひろがっており、牧羊がさかんである。
ホ)チリやアルゼンチンでは、ワイン産業がさかんであるが、両国内にはブドウの栽培適地が存在しないため、原料ブドウは周辺国からの輸入に頼っている。
日本の公害問題
日本の公害問題についての次の各問いに答えなさい。
(1)明治時代の足尾銅山鉱毒事件はどこの川の流域で起こったものか、川の名前を答えなさい。
(2)第二次世界大戦後の日本では、四大公害病が発生した。その四大公害病が発生した主な都道府県は、新潟県以外にどこがあるか。東から順に残り3つを答えなさい。
(「都」「県」などはつけずに入力しなさい)
(3)四大公害病のうち、イタイイタイ病の原因となった物質は何か、次から選び記号で答えなさい。
ア 有機水銀 イ カドミウム
ウ 亜硫酸ガス エ ダイオキシン
(4)日本各地で問題となった公害は、現在も問題となっているままであるものもある。次のうち、問題となった、あるいは現在も問題となっている公害として適切でないものを選び、記号で答えなさい。
ア 川崎や尼崎などでは、ぜんそくなどの呼吸器疾患が発生した。
イ 四大公害病のほとんどは水質汚濁によって引き起こされた。
ウ 瀬戸内海では赤潮が発生してしまい、漁業被害が出たことがある。
エ 石川県や千葉県のような天然ガス産地では、地盤沈下が発生したことがある。
(5)公害防止と環境保全を目的に国が1993年に制定した法律の名前を答えなさい。