高校公民の問題演習
道家の思想
※( )内の年度のセンター試験の問題を参考に作られています。
問1 老子が説く「争いを避ける生き方」の説明として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ(答えは半角数字で入力すること)。
(2009(平成21))
① 万物を利し、常に人が嫌う低い地に行き、いかようにも対応することのできる水のような生き方
② 絶えず生滅変化し、あらゆるものを受け入れ、煩悩にまみれたものを浄化する川のような生き方
③ 人為をさしはさまず、無為自然の世界に遊び、何ものにも囚われない真人にならう生き方
④ 四季の循環をつかさどり、すべての人にその努力に応じた恵みをもたらす天の命に従う生き方
問2 荘子の思想を、儒家の思想と比較して説明した文として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ(答えは半角数字で入力すること)。
(2014(平成26))
① 過不足のない、調和のとれた中庸の状態を維持することを目指す儒家とは異なり、「心斎坐忘」を唱え、足を組んで座り、心を統一して、宇宙を支配する絶対神と一体となるべきと説いた。
② 儒家が、礼に従って家から国、そして天下へと社会の秩序を実現していこうとするのとは異なり、「小国寡民」を唱え、小さな共同体のなかで、何ものにも拘束されることなく質素に生きるべきと説いた。
③ 親に対する孝や、兄に対する悌を基礎とする道徳を重視した生き方を説いた儒家とは異なり、「 万物斉同 」を唱え、道徳的な判断や、あれやこれやといった物事の区別も相対的なものにすぎないと説いた。
④ 儒家が、身近な者に対する仁愛を他者に押し広げていくべきと説いたのとは異なり、「逍遙遊」を唱え、他者との関係を断ち、天地の間に充満する浩然の気を養い、安楽に生きるべきと説いた。
現代日本の雇用問題
※北海道医療大学の入試問題を参考に作られています。
雇用問題と社会参加に関する次の文章を読み、以下の設問に答えよ。
グローバル化が進むにつれて雇用の流動化が進み、①終身雇用制、②年功序列型賃金、企業別組合という日本的労使関係が岐路に立たされている。すなわち、各企業が産業構造の変化に対応するために、不採算部門からの撤退などを伴う企業の再構築である( 1 )を進め、労働者に占める③パートタイマーの割合の増加などが生じた結果、雇用問題が深刻化しているのである。労働環境も悪化しており、労働が賃金に反映されないという( 2 )や、過労死などの( 3 )が生じている。最近では、若年層における( 4 )という不安定就労者や、就業も就学も職業訓練も受けていない( 5 )の増加が社会問題になっている。
問1 空欄( 1 )~( 5 )にあてはまる語句を次の語群から選び、記号で記せ。(ひらがなのみ記入すること)
あ.ワークシェアリング い.時短
う.労働災害 え.リストラクチャリング
お.派遣切り か.ハローワーク
き.サービス残業 く.テクノストレス
け.フリーター こ.労働協約
さ.ストライキ し.長時間労働
す.セクシャルハラスメント せ.外国人労働
そ.ニート
問2 下線部①終身雇用制とはどのような制度か、わかりやすく説明しなさい。
問3 下線部②年功序列型賃金とはどのような制度か、わかりやすく説明しなさい。
問4 下線部③パートタイマーに関する説明として正しいものを以下の選択肢から1つ選び、記号で記せ。(ひらがなのみ記入すること)
た.パートタイマーは約3カ月間の契約で雇用される者と法律で定義されている。
ち.パートタイマーは日本の労働者の約80%を占めている。
つ.パートタイマーの平均賃金は正社員のそれと同程度である。
て.パートタイマーの人数は男性よりも女性の方が多い。
「小さな政府」論
次の文章を読んであとの各問いに答えなさい。
第二次世界大戦後の資本主義国では、ケインズ主義にもとづき、「大きな政府」論にによる経済政策を行ってきた。しかし、財政が圧迫されていき、その見直しの動きが出てくるようになった。1970年代後半から1980年代にかけて、①マネタリズムの観点からこれまでの経済政策が批判されると、②「小さな政府」論にもとづき、政府の役割を小さくする政策がとられ始めた。イギリスのサッチャー政権、アメリカの③レーガン政権、日本の④中曽根康弘政権などが実施した政策はその最たる例である。
(1)下線部①について、この観点から政府による過剰な干渉を批判した、アメリカの代表的な経済学者の名前を答えなさい。(全角カタカナで入力すること)
(2)下線部②について、このような政策により、民営化や規制緩和などを行って政府の役割を小さくしようとする経済思想を何主義というか答えなさい。
(3)下線部③について、この政権が行った一連の経済政策をカタカナ語で何というか答えなさい。(全角で入力すること)
(4)下線部④について、この政権が民営化させた三公社のうち、現在の[ア]NTT、[イ]JTとなっているものは何か、当時の名称を答えなさい。
ドイツ観念論
※専修大学の入試問題を参考に作られています。
次の文章を読んで下記の設問に答えなさい。
( A )は、人間が理性のたてた法則に自ら従うことを自律とよび、ここに人間の真の自由があると考えた。この自律の能力をもつ、理性ある存在が人格であり、絶対的価値のあるものなのである。( A )はそうした意味で、各自が人格を尊重しあう人類の理想社会を「目的の王国」と呼んだ。またこの考えを国際社会にも適用し、永久平和の世界を実現するためには、諸国家が国際的な連盟をうちたてるべきだと説いたのである。
これに対して( B )は、人間の自由を、個人の人格を越えた存在からとらえなおそうとした。彼によれば、現実の世界の出来事は、歴史的変化のなかで自己実現する( ① )のあらわれにほかならない。( ① )の本質をなす原理は、理性と自由である。全体の発展をささえる原理がア弁証法である。
( B )によれば、社会は、( ① )の原理としての理性と自由が、たんに道徳的なものとして個人の内面にとどまることなく、客観的にあらわれたものである。これは( ② )とよばれ、家族、市民社会、( ③ )という段階的な形態をとってあらわれる。彼は、近代の社会の問題を解決する役割を( ③ )に与え、そこにおいてこそ、人間の自由も最高の形で実現されると考えたのである。
(設問1)空欄( A )~( B )に入る適当な人名を記入しなさい。(全角で入力すること)
(設問2)空欄( ① )~( ③ )に入る語句を次の①~⑧の中から一つずつ選び、それぞれ答えなさい。(半角数字で入力すること)
① 管理社会 ② 国民 ③ 国家 ④ 歴史主義
⑤ 絶対精神 ⑥ 人倫 ⑦ 判断力批判
⑧ 実践理性批判
(設問3)次の文章中の、(a)~(e)の組み合わせとして正しいものを下の①~③の中から一つ選びなさい。(半角数字で入力すること)
本文中の( A )は、(a)が(b)のあり方によって決定されるというそれまでの説をとらず、(c)とは、人間の(d)が(e)を規定することであると考えた。これを彼は、「コペルニクス的転回」とよんだ。
①対象―認識―認識―理性―対象
②認識―対象―認識―理性―対象
③理性―対象―認識―対象―認識
(設問4)下線部アについて、正しくないものを次の①~④の中から一つ選びなさい。(半角数字で入力すること)
①理性においてひとつの立場の主張に対して、それと対立・矛盾する立場からの反論がなされ、これら相互の立場を包む、より高次の立場の主張へと認識が深まる。思考のこの運動の原理が弁証法である。
②個々の経験的事実から、それらに共通する一般的法則を求めること、すなわち特殊な事例から普遍的な法則を見出す経験論の学問方法が弁証法である。
③世界全体を動かす究極の精神の弁証法的な運動は、歴史という形でこの世界を動かし、また、宗教や芸術などの形をとってもあらわれる。
④本来この言葉は、対話法や問答法を意味する言葉である。
青年期の考察
次の文章を読んで、あとの各問いに答えなさい。
昔は通過儀礼を経て、それを経たあとは「子ども」から「大人」として扱われるようになった。しかし、現代では①様々な変化が背景にあったために、②子どもでもなく大人でもないという中途半端な人間としての期間が必要となった。この期間が③青年期である。
現代の人間には、④その時期になればしなければならない、その時期特有の課題というものがある。青年期は、大人になるための準備期間であるため、青年期にもその課題は存在する。⑤アイデンティティの確立はその一つである。
(1)下線部①について、青年期ができた背景として適切でないものを次から一つ選び、記号で答えなさい。
ア 社会が複雑化していき、社会から求められる知識の水準が上がったこと
イ 工業化の進展により、特定の職業集団に所属して若いうちから修行を積む必要性が薄れたこと
ウ 平均寿命の伸びにより、働くことのできる大人が十分確保され、もはや若い世代が働く必要性がないこと
(2)下線部②について、この人間のことを「マージナル=マン(境界人)」と定義したドイツの心理学者はだれか答えなさい。
(3)下線部③について、この期間をエリクソンは何と呼んだか、カタカナ6文字で答えなさい。
(4)下線部④について、この課題のことを何というか、漢字4文字で答えなさい。
(5)下線部⑤について、青年期に確立すべきアイデンティティの説明として最も適切なものを次から一つ選び、記号で答えなさい。
ア 誰の力も借りることなく、自分の力で力強く生きる意思を固めること
イ 自分の内面の一貫性を保ち、社会の中の役割を見出すこと
ウ 社会とは一線を画し、自分自身だけの世界を作り上げていくこと
エ 様々な価値観にふれ、いろいろな面としての自分を持つこと