この問題でおさえておきたいこと
老子と荘子の考え方と理想像についての重要用語を、意味をしっかり理解して覚えよう!
解答
問1 ① 問2 ③
解説
問1 老子の「柔和謙下」について正しく理解しているかの問題です。②の「煩悩」は仏教用語、③の「真人」は荘子が理想とする姿、④の「天の命」をかかげているのは儒教の思想です。
問2 ①:心斉と坐忘を唱えたことは正しいのですが、「絶対神と一体となるべき」という部分は誤りです。荘子は道との一体化を説いています。
②:小国寡民を唱えたのは老子です。
④:逍遙遊を唱えたことは正しいのですが、「浩然の気」は孟子が唱えたものです。
ポイントのまとめ
道家思想とは
この思想の中心人物は老子と荘子。
道(タオ)を根本に据えた思想
※道(タオ)
…全てのものがそこから生まれ、そこへ帰るという、全てのものの存在の根本のこと
ただし、道そのものをとらえることはできないので、無ともいう
老子の思想
・考え方
- 宇宙の中では、 人間が願い、思うことに絶対的なものは何一つ存在しない。
- 大道廃れて仁義あり…道徳や仁義というものは社会の混乱に対して人間が作ったもので道からはずれている
=儒家を批判
・理想像
- 無為自然…意識的には何もせず、すべてをありのままに受け入れ、自然に身を任せる
- 柔和謙下…他と争わず、謙虚な心をもって、身を低くする水のように生きる
- 小国寡民…政治も自然にまかせ、少数の人間が自然のままに生活できる村落共同体を理想とした
荘子の思想
・考え方
- 道徳的な判断などは、人間が勝手に思っていること(=相対的な世界)である
- 万物斉同…この世のありとあらゆるものは、本来は平等一体であるということ
- 人間関係から離れれば、万物斉同の世界になる
・理想像
- 逍遙遊…自然に身をゆだね、何ものにもとらわれない絶対的自由の境地
←心斉(知恵や執着を捨てて心を無にする)と坐忘(己を忘れて自然のはたらきと一体化)が達成に必要 - 真人…逍遙遊に達した人。社会から逃れ、悠々として天から与えられた寿命を全うする。
※漢字からだいたいの意味をとらえることができますが、正確な意味をつかむこともしっかり心がけましょう。