この問題のポイント
√A2はAが0以上か負の数かでAか-Aになるかが決まる!
ルートの中が和±2√積となる2数a,bがあれば、√a±√bにできる!
(1)\( x = 2a+1 \)を代入すると、
\begin{eqnarray} &&\sqrt{x^2-8a}+\sqrt{a^2+x}\\ &&= \sqrt{(2a+1)^2-8a}+\sqrt{a^2+2a+1}\\ &&= \sqrt{4a^2-4a+1}+\sqrt{a^2+2a+1}\\ &&= \sqrt{(2a-1)^2}+\sqrt{(a+1)^2}\\ \end{eqnarray}
ルートの中身が2乗の形になったので、あとはルートをはずすだけと思ったかもしれませんが、注意すべきことがあります。\( \sqrt{A} \)は、2乗すると$A$になる数のうち正の数ということです(負の数ならばマイナスの符号がつくはずです)。ということは、\( \sqrt{A^2} \)でルートをはずして求まった値は絶対正の数のはずです。
\( \sqrt{A^2} \)は\( A≧0 \)、つまり0以上の数なら\( \sqrt{A^2} = A \)とできますが、\( A<0 \)、つまり負の数なら\( \sqrt{A^2} = -A \)と考える必要があります(例:\( A = -3 \)なら-(-3) = 3)。よって、$2a-1$や$a+1$が0以上なのか、負の数なのかで分けて考えていく必要があります。
[1]\( 2a-1≧0 \),\( a+1≧0 \)のとき、つまり\( \displaystyle a≧\frac{1}{2} \)のとき
どちらもふつうにルートをはずして問題ないので、
\( \sqrt{(2a-1)^2}+\sqrt{(a+1)^2} \)
\( = 2a-1+a+1 \)
\( = 3a \)
[2]\( 2a-1<0 \),\( a+1≧0 \)のとき、つまり\( \displaystyle -1≦a<\frac{1}{2} \)のとき
\( \sqrt{(2a-1)^2} \)のほうだけマイナスの符号をつける必要があります。
\( \sqrt{(2a-1)^2}+\sqrt{(a+1)^2} \)
\( = -(2a-1)+a+1 \)
\( = -2a+1+a+1 \)
\( = -a+2 \)
[3]\( 2a-1<0 \),\( a+1<0 \)のとき、つまり\( a<-1 \)のとき
どちらもマイナスの符号をつける必要があります。
\( \sqrt{(2a-1)^2}+\sqrt{(a+1)^2} \)
\( = -(2a-1)-(a+1) \)
\( = -2a+1-a-1 \)
\( = -3a \)
(2)二重根号というのは、ルートの中にさらにルートがあるこのような式のことをいいますが、二重根号はこのようにすればはずすことができます。
\( a>b>0 \)のとき、\( (\sqrt{a}+\sqrt{b})^2 = a+b+2\sqrt{ab} \),\( (\sqrt{a}-\sqrt{b})^2 = a+b-2\sqrt{ab} \)ですから、
\( \sqrt{a+b+2\sqrt{ab}} = \sqrt{a}+\sqrt{b} \),\( \sqrt{a+b-2\sqrt{ab}} = \sqrt{a}-\sqrt{b} \)
※赤字になっている部分を見ればわかるとおり、\( 〇±2\sqrt{△} \)という形にして、足した数が〇、かけた数が△となる2つの数を探せば二重根号ははずせるということになります。
まず、ルートの中身を\( 〇±2\sqrt{△} \)の形にします。
\( x = \sqrt{6-\sqrt{32}} \)
\( = \sqrt{6-\sqrt{2^2・8}} = \sqrt{6-2\sqrt{8}} \)
\( y = \sqrt{6+\sqrt{32}} \)
\( = \sqrt{6+\sqrt{2^2・8}} = \sqrt{6+2\sqrt{8}} \)
足して6、かけて8になる数は4と2ですから、
\( x = \sqrt{4}-\sqrt{2} = 2-\sqrt{2} \),\( y = \sqrt{4}-\sqrt{2} = 2+\sqrt{2} \)
ちなみに、(1)で示したとおり、ルートをはずした値は必ず正の数なので、二重根号をはずした値も正の数になるはずなので、必ず大きいほうの数を前に書くようにするとよいでしょう。この問題での$x$について、\( \sqrt{2}-\sqrt{4} \)としてしまうと、この値は負の数になってしまいます。
さて、\( x^3+2x^2y+2xy^2+y^3 \)ですが、これは$x$と$y$の文字を入れ替えても、元の式と変わりませんので、過去の問題の解説にもあるとおり、$x+y$と$xy$を使って表してみると、
\( (x+y)^3-x^2y-xy^2 \)
\( = (x+y)^3-xy(x-y) \)
\( x+y = 2-\sqrt{2}+2+\sqrt{2} = 4 \),\( xy = (2-\sqrt{2})(2+\sqrt{2}) = 4-2 = 2 \)なので、
\( (x+y)^3-xy(x-y) \)
\( = 4^3-2・4 \)
= 64-8 = 56
(3)二重根号をはずそうとしても、この問題では、中のルートの係数を2にすることができません。こういうときは、分数の形になおしてルートの係数を2にしてしまうという方法をとるとよい場合があります。
\( \sqrt{2-\sqrt{3}} \)
\( \displaystyle = \sqrt{\frac{4-2\sqrt{3}}{2}} \)
\( \displaystyle = \frac{\sqrt{4-2\sqrt{3}}}{\sqrt{2}} \)
分子の部分を2倍にしてルートの係数を2にするわけですが、勝手に2倍にすると式が変わってしまうので、分母も2倍にするというわけですね。さて、\( \sqrt{4-2\sqrt{3}} \)ですが、足して4、かけて3になる数は3と1ですから、
\( \displaystyle \frac{\sqrt{4-2\sqrt{3}}}{\sqrt{2}} \)
\( \displaystyle = \frac{\sqrt{3}-1}{\sqrt{2}} \)
\( \displaystyle = \frac{\sqrt{3}}{\sqrt{2}}-\frac{1}{\sqrt{2}} \)
\( \displaystyle = \sqrt{\frac{3}{2}}-\sqrt{\frac{1}{2}} \)
ちなみに、(2)でふれたとおり、ルートをはずした値は必ず正の数なので、二重根号をはずした形を\( 1-\sqrt{3} \)としてはいけません。
答え.
(1)$$ \begin{cases} 3a & ( \displaystyle a≧\frac{1}{2} ) \\ -a+2 & ( \displaystyle -1≦a<\frac{1}{2} ) \\ -3a & ( a<-1 ) \\ \end{cases} $$
(2)
56
(3)
\( \displaystyle a = \frac{3}{2} \),\( \displaystyle b = \frac{1}{2} \)