この問題でおさえておきたいこと
鉱物の特徴と何の火成岩に含まれるかをおさえる!
マグマのねばりけによって噴火のしかたや火山の形が異なることを理解する!
解答
(1)
1…火山岩 2…深成岩
(2)
1…斑状組織 2…等粒状組織
(3)
①
a…カクセン石 b…カンラン石
c…セキエイ d…キ石
②
A…花こう岩 B…安山岩
C…玄武岩
(4)
楯状火山
(5)
C
(6)
ウ
重要事項のまとめ
・鉱物とその種類
マグマが冷えたもののうち、結晶になったものを鉱物という。
鉱物には次のようなものがある。
①無色鉱物
色が透明か白色の鉱物
- セキエイ(石英)…
透明か白色をしている。六角柱状の形をしていて不規則に割れる。 - チョウ石(長石)…
白色か薄桃色をしている。柱状の形をしていて決まった方向に割れる。
②有色鉱物
色がついた鉱物
- 黒雲母…
黒色か褐色をしている。うすくはがれる。 - カクセン石…
黒色か濃い緑色をしている。細長い柱状である。 - キ石…
緑色か褐色をしている。短い柱状である。 - カンラン石…
黄緑色か褐色をしている。不規則に割れ、小さい粒状になっていることが多い。 - 磁鉄鉱…
黒色をしている。磁石にくっつく。
・鉱物と火山の関係
マグマに含まれる二酸化ケイ素の量が多いと、冷えてできる鉱物は白っぽいものが多くなる。
=マグマに含まれる二酸化ケイ素の量が多いと有色鉱物の割合は小さく、岩石の色は白くなる。
=マグマに含まれる二酸化ケイ素の量が少ないと有色鉱物の割合は大きく、岩石の色は黒くなる。
マグマに含まれる二酸化ケイ素の量が多いと、マグマのねばりけは大きくなる。
=マグマに含まれる二酸化ケイ素の量が多いと、マグマが火山から出にくい状態になるので、噴火がはげしくなり、火山の形は傾斜が急なドーム状になる。
よって、マグマに含まれる二酸化ケイ素の量が少ないと、マグマは火山から出やすい状態になるので、噴火はおだやかになり、火山の形は傾斜がゆるやかな盾状になる。
・火成岩に含まれる鉱物
流紋岩と花こう岩は、全体の80%ほどがセキエイやチョウ石などの無色鉱物
=二酸化ケイ素の量が多く、白っぽい岩石となる。傾斜が急なドーム状の火山で多く見られる。
玄武岩とはんれい岩は、全体の50%ほどが無色鉱物(チョウ石)、残り50%ほどがキ石やカンラン石などの有色鉱物
=二酸化ケイ素の量が少なく、黒っぽい岩石となる。傾斜がゆるやかな盾状の火山で多く見られる。
安山岩とせん緑岩は、全体の75%ほどが無色鉱物、残り25%ほどがキ石やカクセン石などの有色鉱物
=二酸化ケイ素の量が中間で、白っぽさと黒っぽさの中間の色をしている。傾斜が少し急な火山で多く見られる。
解説
(1)過去の「火成岩について」の問題につけた「重要事項のまとめ」を参照してください。
(2)これも過去の「火成岩について」の問題につけた「重要事項のまとめ」に説明してあります。斑状組織には石基の中に斑晶がまじっていることもあわせておさえておきましょう。
(3)① わかりやすいものから判断していきます。「重要事項のまとめ」の説明から、aはカクセン石,bはカンラン石,dはキ石,eは黒雲母と判断できます。すべて有色鉱物ですね。cは水晶とよばれることがある鉱物なのでセキエイ,fはほとんどの岩石に含まれる鉱物なのでチョウ石なんです。
このcとfの判断を、次の問題を参考にやる方法もあります。b(カンラン石),d(キ石),fの鉱物のみを含んだ岩石Cの$\ce{SiO2}$(二酸化ケイ素)は一番少ないので、岩石Cは一番黒っぽいはずです。一番黒っぽい岩石にも無色鉱物は含まれており、その無色鉱物はチョウ石です。ここから、fをチョウ石と判断できます。
岩石Aは$\ce{SiO2}$が一番多いので、一番白っぽいはずです。それが含んでいるのはc,e(黒雲母),f(チョウ石)の鉱物ですが、一番白っぽい火成岩にはセキエイも含まれるはずなので、何の鉱物かわかっていないcがこのセキエイのことだとすることができます。
② 下線部1のでき方や、下線部2のでき方をしたという部分から、さっきの(1)の解答より、岩石BとCは火山岩、岩石Aは深成岩といえます。
岩石Aについては、さっきの①で説明したとおり、$\ce{SiO2}$が一番多いので、一番白っぽい岩石です。一番白っぽくて深成岩ということなので、花こう岩とわかります。
岩石Bについては、c(セキエイ)やf(チョウ石)の無色鉱物やa(カクセン石)やd(キ石)の有色鉱物が含まれていることや、$\ce{SiO2}$の含有量が中ぐらいなので、安山岩かせん緑岩です。そして、岩石Bは火山岩だったんですから、安山岩のほうということになります。
岩石Cについては、さっきの①で説明したとおり、$\ce{SiO2}$が一番少なくて、一番黒っぽい岩石です。一番黒っぽくて火山岩ということなので、玄武岩とわかります。
(4)授業で習うこともないと思われるハイレベルな用語なので難しかったかもしれません。$\ce{SiO2}$が少ないとマグマのねばりけが小さくなるので、溶岩がすそまで広がりやすくなります。これにより、傾斜がゆるやかで盾をふせたような形の火山となりますが、この火山を楯状火山といいます。
なお、傾斜が急なドーム状の火山を鐘状火山といい、傾斜が楯状火山と鐘状火山の中間となっている火山を成層火山といいます。
(5)楯状火山ではマグマのねばりけが小さい=二酸化ケイ素は少ないので、火成岩は一番黒っぽいものということになります。A(花こう岩),B(安山岩),C(玄武岩)のなかで一番黒っぽいのはCの玄武岩です。
(6)マウナロアは楯状火山,昭和新山と雲仙普賢岳は鐘状火山,浅間山と桜島は成層火山に分類されます。