この問題でおさえておきたいこと
メンデルの法則の内容をおさえよう!
「代々優性のものと代々劣性のものの子はみな優性、孫は優性:劣性 = 3:1」という性質を計算に応用しよう!
解答
(1)
エ
(2)
1 …メンデル
2 …エンドウ
3 …分離
(3)
$Rr$
(4)
1:2
(5)
83.3%
(6)
37.5%
(7)
$F5$
重要事項のまとめ
・遺伝に関する用語
- 形質…
おもてに現れるすがたや形、性質のこと。 - 遺伝子…
形質を決めるもので、染色体の中に含まれている。 - 遺伝…
親から子へと形質が伝わること。 - 対立形質…
対になっているもので、どちらか一方しか現れない形質のこと。
エンドウの丸形としわ形、エンドウの黄色の子葉と緑色の子葉、人間の瞳の色などがある。 - 純系…
親、子、孫と代々同じ形質ばかり現れる家系。
・メンデルの法則
メンデルは遺伝について次の3つの法則を発見した。
1.優性の法則
対立形質のうち、どちらか一方の形質が優先されて現れる(優先されて現れるほうの形質を優性形質、もう片方の形質を劣性形質という)。
例:
丸形の遺伝子を$A$、しわ形の遺伝子を$a$とすると、純系の丸形の持っている遺伝子は$AA$で純系のしわ形の持っている遺伝子は$aa$
すると、純系の丸形から与えられる遺伝子は$A$でしわ形から与えられる遺伝子は$a$なので、子の遺伝子の組み合わせは$Aa$
$a$より$A$の遺伝子のほうが優先されて、子は丸形になる
2.分離の法則
ペアになっている遺伝子は減数分裂で分かれて別々の生殖細胞に入る。
例:
1.の例でできた$Aa$どうしをかけあわせる。$A$の遺伝子と$a$の遺伝子に分かれて別々の生殖細胞に入る
これにより、$Aa$どうしの子では遺伝子の組み合わせは\( AA:Aa:aa = 1:2:1 \)の割合でできる
(形質でいえば、$A$が入っているのは 1+2 = 3なので、丸形:しわ形 = 3:1)
くわしくは過去の問題の解説にて説明
3.独立の法則
2つ以上の形質について、それぞれの形質は互いに関係なく独立に遺伝する。
例:
エンドウには、丸形かしわ形の形質と、子葉が黄色か緑色かの形質がある。
形の形質と子葉の色の形質は、互いに関係なく、1.と2.の例にあるように遺伝する。
解説
(1)血液型は親からの遺伝によって決まります。また、身長や足の速さなどについても、遺伝が関係していると言われています。しかし、好みなどについては環境が関係するものなので、遺伝は関係しません(たとえば、この問題の例ならば、もし妻がアニメ好きでなかったらヨシヒロさんはアニメ好きにならなかったかもしれないですね?)。
(2)「重要事項のまとめ」の説明を参照してください。理科についても、誰が発見した法則なのかということが書かれていたら、その人物名をきちんと確認することが重要です。
(3)「重要事項のまとめ」の説明を参考にするとわかるとおり、$F1$の種子の遺伝子は$Rr$となります。
(4)「重要事項のまとめ」の説明を参考にすると、\( RR:Rr:rr = 1:2:1 \)となるので、\( RR:Rr = 1:2 \)とわかります。
(5)$F2$の丸い種子には、遺伝子が$RR$のものと$Rr$のものがあります。遺伝子が$RR$のものは$R$の遺伝子しか次世代に渡すことができませんので、次世代では$RR$の遺伝子をもつ丸い種子しかできません。
一方、遺伝子が$Rr$のものについては、次世代の遺伝子は\( RR:Rr:rr = 1:2:1 \)となるので、次世代では丸い種子としわの種子は3:1の割合でできることになります。
しかし、もともと$F2$では\( RR:Rr:rr = 1:2:1 \)の割合でできていたのですから、$RR$の種子は$Rr$の種子の半分の量だということになります。つまり、$Rr$の種子からできた、丸い種子としわの種子が3:1の次世代で3+1 = 4個の種子があったとすると、$RR$の種子からできた次世代は2個ということになります。
$RR$の種子からできた丸い種子2個と、$Rr$の種子からできた丸い種子3個としわの種子1個の合計のうち、丸い種子の割合は
\( \displaystyle \frac{2+3}{2+3+1} = \frac{5}{6} = 0.83333… ≒ 83.3 \)%
(6)$F2$では遺伝子が$RR$,$Rr$,$rr$のものがあります。それぞれから生まれる次世代の遺伝子はこのようになりますね。
- $RR$…遺伝子が$RR$のものしか生まれない(=すべて丸い種子)
- $Rr$…\( RR:Rr:rr = 1:2:1 \)の比率で次世代ができる(=次世代は丸い種子としわの種子が3:1)
- $rr$…遺伝子が$rr$のものしか生まれない(=すべてしわの種子)
しかし、(5)で解説したとおり、もともと$F2$では\( RR:Rr:rr = 1:2:1 \)の割合でできていたのですから、$RR$,$rr$の種子は$Rr$の種子の半分の量です。よって、(5)で考えたように、$Rr$から生まれた次世代の種子を4個とすると、
- $RR$からできる次世代…丸い種子が2個($RR$が2個)
- $Rr$からできる次世代…丸い種子が3個、しわの種子が1個($RR$が1個、$Rr$が2個、$rr$が1個)
- $rr$からできる次世代…しわの種子が2個($rr$が2個)
よって、しわの種子の割合は
\( \displaystyle \frac{1+2}{2+3+1+2} = \frac{3}{8} = 0.375 = 37.5 \)%
(7)(6)の解説より、$F3$では\( RR:Rr:rr = 3:2:3 \)の割合となっています。(6)と同じように考えると、$F4$では
- $F3$の$RR$からできる次世代…丸い種子が6個($RR$が6個)
- $F3$の$Rr$からできる次世代…丸い種子が3個、しわの種子が1個($RR$が1個、$Rr$が2個、$rr$が1個)
- $F3$の$rr$からできる次世代…しわの種子が6個($rr$が6個)
となるので、$F4$では\( RR:Rr:rr = 7:2:7 \)の割合でできます。このうち、しわの種子の割合は
\( \displaystyle \frac{1+6}{6+3+1+6} = \frac{7}{16} = 0.4375 = 43.75 \)%
$F5$では
- $F4$の$RR$からできる次世代…丸い種子が14個($RR$が14個)
- $F4$の$Rr$からできる次世代…丸い種子が3個、しわの種子が1個($RR$が1個、$Rr$が2個、$rr$が1個)
- $F4$の$rr$からできる次世代…しわの種子が14個($rr$が14個)
となるので、$F5$では\( RR:Rr:rr = 15:2:15 \)の割合でできます。このうち、しわの種子の割合は
\( \displaystyle \frac{1+15}{14+3+1+14} = \frac{16}{32} = 0.5 = 50 \)%
よって、$F5$ではじめてしわの種子の割合が45%を超えます。