この問題でおさえておきたいこと
細胞数は細胞周期が1回めぐるたびに2倍になる!
細胞周期の各時期の時間は、その時期の細胞数がどれだけあるかの割合に等しい!
解答
問1
前期…①,⑥ 中期…③
後期…④ 終期…②,⑤
問2
20時間
問3
G1期…A S期…B
G2期…C M期…C
問4
(1)
S(DNA合成でもOK)
(2)
5時間
(3)
G1期…11時間 S期…4時間 M期…1時間
重要事項のまとめ
・細胞周期とは
1つの細胞が体細胞分裂によって2つの細胞になるまでの周期を細胞周期という。
細胞周期は、分裂するための準備期間である間期と、分裂がおこなわれる期間である分裂期で構成される。
分裂期は前期,中期,後期,終期の4つに分けられる。
それぞれの段階で過去の問題の解説(それぞれの段階での細胞分裂の詳細)にあることがおこなわれる。
間期は、DNAの複製の準備をする期間であるG1期,DNAの複製がおこなわれてDNA量が2倍になるS期,細胞分裂の準備をして体積が2倍になる期間のG2期に分けられる。
ちなみに、分裂期はこのようにアルファベットを用いてM期ともいう。
・体細胞分裂におけるDNA量
S期でDNAが複製されて、その状態で体細胞分裂がされる。分裂が終わった娘細胞はもとのDNA量に戻っている。よって、細胞の核に含まれるDNA量は下のグラフのとおりとなる。
解説
問1
分裂期のそれぞれの時期にどのような状態になるかについて、図で出題されることもありますし、この問題のように文章で出題されることもあります。どちらで出題されても答えられるようにしておきましょう。
問2
体細胞分裂が1回起こると、1つの細胞から2つの細胞へとなります。そこからさらに体細胞分裂が1回起こると、4つの細胞になるはずです。つまり、1回の体細胞分裂が起こるたびに、細胞数は2倍になるわけであり、細胞数が2倍になるまでに何時間かかったかが、細胞周期の時間になることになります。
図1のグラフで、目盛りが読める点のところを見ると、
5個のとき…40時間
10個のとき…60時間
20個のとき…80時間
40個のとき…100時間
このように、個数が5個から2倍、2倍と増えていくまでに、それぞれ20時間あいています。よって、細胞周期の平均時間は約20時間といえます。
問3
図2のグラフを見ると、横軸が「細胞1個あたりのDNAの相対量」となっています。「重要事項のまとめ」にあるグラフも細胞に含まれるDNA量について示していましたから、そのグラフが示していることをもう一度確認しましょう。
G1期でのDNA量を1とすると、S期にて1から2にだんだんDNA量が増加しています(つまり、1.5など1から2までの間の数値を示すこともある)。G2期から分裂が終わるまで(次のG1期が始まるまで)の間は、ずっとDNA量が2のままになっています。
以上のことを照らし合わせると、AではDNAの相対量が1ですからG1期の細胞といえます。BはDNAの相対量が1から2の間になっていますから、DNAの複製(合成)をしている段階のS期の細胞です。CではDNAの相対量が2になっていますから、G2期とM期のどちらかの段階にある細胞とわかります。
問4
(1)本文にて、BrdUはDNA合成の過程で新しくつくられたDNAに取り込まれるという内容のことが書かれていました。DNAは間期のS期で合成(複製)されることは「重要事項のまとめ」にありました。その知識を使えば、BrdUが加えられたときにS期にあった細胞だけがBrdUを取り込むと判断できます。
(2)一番上の「この問題でおさえておきたいこと」にあるとおり、各時期にある細胞数の割合と、細胞分裂で各時期にかかる時間の割合は一致します。
ただし、これは全細胞が非同調的(ランダム、バラバラ)に分裂していて、それぞれの細胞が同じ細胞周期になっていることが前提になっています。この問題では下線部でそのことが書かれていますが、この前提がなかったら、割合から各時期にかかる時間を計算する方法はとれません。
問3にて、DNAの相対量が2であるCがG2期とM期の細胞であるとわかりました。本文に、そのCの部分の細胞数は全体の25%とありました。細胞周期は問2で20時間と求めましたので、G2期とM期の時間は、
\( \displaystyle 20×\frac{25}{100} \) = 5時間です。
(3)BrdUを取り込んでいた細胞が全体の20%であることが本文にありました。これは、さっきの(1)よりS期の細胞は全体の20%だということと同じです。さっきの(2)のように考えると、S期の時間は、
\( \displaystyle 20×\frac{20}{100} \) = 4時間です。
そして、BrdUを取り込んだ細胞がM期に入ったことが4時間後にはじめて観察されたと本文にありました。これは、BrdUを取り込んだ細胞のうち一番G2期に近いところにあった細胞がM期に入るのに4時間かかったということになります。
ということは、G2期の時間は4時間ということになります。さっきの(2)より、G2期とM期の時間は5時間とわかりましたから、M期の時間は、
5-4 = 1時間です。
細胞周期のうち、S期,G2期,M期の時間が求まりましたから、それを利用すればG1期の時間は、
20-(4+4+1) = 11時間です。