高校公民の問題演習
令和6年10月20日
グローバル化と異文化理解
※( )内の年度の大学入学共通テスト・センター試験の問題を参考に作られています。(答えはすべて半角数字で入力すること)
問1 文化や宗教に関する説明として適当なものを次のア~ウから全て選んだとき、その組合せとして正しいものを、後の①~⑦のうちから一つ選べ。
(2023(令和5))
ア ホモ・レリギオーススという言葉は、神に祈りをささげるという宗教的な営みに重きを置く人間のあり方を、端的に表現したものである。
イ 日本の高校で茶道を教え、自国と他国の文化の優劣を明確にすることは、文化相対主義の考え方に基づいて文化の共生を促すことになる。
ウ 現代の世界で文化間の摩擦が増してくる中では、西洋とイスラームの衝突は不可避であるとするカルチャー・ショックの思想が説かれる。
① ア ② イ ③ ウ ④ アとイ
⑤ アとウ ⑥ イとウ ⑦ アとイとウ
問2 異文化理解についての記述として適当でないものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
(2006(平成18))
① 古代ギリシア人たちが異民族を「バルバロイ」と呼んで
② どの文化もそれぞれに固有の価値を備えており、互いの間に優劣の差をつけることはできない、とする文化相対主義は、人が文化の多様性を認め、寛容の精神に基づく異文化の理解へと歩を進める上で、一定の役割を果たしうる。
③ パレスチナ生まれの思想家サイードは、近代において西洋の文化が自らを東洋と区別し、東洋を非合理的で後進的とみなすことで西洋自身のアイデンティティを形成した過程を指摘し、その思考様式をオリエンタリズムと呼んだ。
④ 一つの国家や社会の中で異なる複数の文化が互いに関わり合うことなく共存できるよう、その障害となる諸要素を社会政策によって除去する必要がある、と考える多文化主義の立場は、それ以前の同化主義への反省から生まれた。
問3 次の文章は、社会における利害の結び付きについての説明である。文章中の a ~ c に入れる記述をア~カから選び、その組合せとして最も適当なものを、下の①~⑧のうちから一つ選べ。
(2018(平成30))
人間の諸活動がグローバル化した現代では、遠い他者の利害も自己の利害と深く関係している。例えば、市場経済のグローバル化により、 a 。また、世界の飢餓や貧困などを救済することは、 b ので、世界全体の利益になると考えられている。さらに、差別的扱いを受けてきた人々の救済が、社会全体を利することもある。例えば、性別役割分担を c 、不平等によって不利益を被る人たちを救うだけでなく、男女共同参画社会を促進し、社会全体の活性化を促すだろう。
ア 先進国の経済が発展途上国の経済発展に寄与し、経済格差が縮小した
イ 一国の経済不安が、世界全体に大きく影響するようになった
ウ 新自由主義を推進し、世界経済を発展させる
エ 人類の福祉を向上させ、国際平和につながる
オ 社会的・文化的性差に依拠するものとして問い直すことは
カ 生物学的性差に依拠するものとして再評価することは
① a―ア b―ウ c―オ
② a―ア b―ウ c―カ
③ a―ア b―エ c―オ
④ a―ア b―エ c―カ
⑤ a―イ b―ウ c―オ
⑥ a―イ b―ウ c―カ
⑦ a―イ b―エ c―オ
⑧ a―イ b―エ c―カ
問4 オリエンタリズムに関して、次の文章を読んで、その趣旨として適当でないものを、下の①~④のうちから一つ選べ。
(2003(平成15))
東洋の諸民族は、後進的,退行的,非文明的,停滞的などと様々に呼ばれる他の人々とひとまとめにされて、生物学的に劣っているがゆえに道徳的・政治的に教化されるべきものと見なされてきた。それゆえ東洋人は、西洋社会の中で排除されているある種の劣等な人々、(中略)つまり、その共通の特徴を述べるとすれば、嘆かわしいほど異質なという表現がぴったりであるような人々と同列に扱われてきたのである。東洋人が東洋人として、ありのままに見られ、注目されることはまれであった。(中略)東洋人は従属人種の一員であったがゆえに、従属させられなければならなかった。
(サイード『オリエンタリズム』)
① オリエンタリズムは、東洋の特殊性や独自性を強調する見解であるとされるが、実際には西洋寄りの観点から構成された東洋観である。
② オリエンタリズムにおいては、東洋は学問,芸術,商業における進歩の本流からはずれており、保守的で奇妙な世界として扱われてきた。
③ オリエンタリズムにおいては、古来、東洋文化は西洋文化と対比して客観的に研究され、東洋人は西洋の中の異質な他者と見なされてきた。
④ オリエンタリズムは、東洋を特定の見方で研究し、真実の姿とはかけ離れた異国情緒豊かなものとして表現してきた思潮である。