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この問題でおさえておきたいこと

グローバル社会で必要とされる考え方は何かを理解しよう!

解答
問1 ①   問2 ④
問3 ⑦   問4 ③

解説

問1

ア:宗教学者のエリアーデは、宗教的な営みを行う点に着目して、人間を「ホモ・レリギオースス」と定義しました。よって、この文は正しいです。

イ:「ポイントのまとめ」のとおり、文化相対主義とは、文化間に優劣はないという考え方であって、「自国と他国の文化の優劣を明確にすること」というのはそれに反しています。よって、この文は誤りです。

ウ:カルチャー・ショックとは、(西洋やイスラームなど関係なく)異なる文化に接したときに起こる衝撃のことです。この文で記述されているのは、国際政治学者のハンチントンが提唱した「文明の衝突」についてです。なので、この文も誤りです。

問2

①:エスノセントリズムとは、「ポイントのまとめ」にあるとおり、自国の文化を優れたものと絶対視したうえで他国の文化をとらえることを意味し、古代ギリシア人が異民族を「バルバロイ」とみなしていたことはその一例といえます。この文は正しいです。

②:「ポイントのまとめ」にあるとおりのことが書かれており、この文は正しいです。

③:「ポイントのまとめ」にあるとおりのことが書かれており、この文も正しいです。

④:多文化主義とは、文化の違いを認めてお互いに尊重・共存しようとする姿勢のことを意味しており、決して「互いに関わり合うことなく」とあるような、関係性を持つことを拒んでいるわけではありません。文化の違いを認めるには、逆に異なる文化と関わらなければなりませんので、この文は誤りです。

問3

   a   

「遠い他者の利害も自己の利害と深く関係している」とあるので、それとのつながりを考えることとなります。

市場経済のグローバル化により、各国の経済の相互依存は深まり、外国で起こった影響が自分の国にも波及するようになりました(その一例が2008年のリーマン・ショックで、アメリカからの影響が全世界へと波及しました)。また、先進国と発展途上国との経済格差が縮まったとも言いがたいので、イが入ります。

   b   

世界の飢餓や貧困などの問題は戦争やテロの根源にもなりえます。これを救済すると、社会の中の緊張などが軽減され、戦争やテロの根源を取り除くことになるので、エが入ります。

新自由主義は、政府などが手がけるサービスをできるだけ民間に任せて自由な経済活動を活発化させようとする考えのことですが、これを進めすぎると経済格差が大きくなってしまうともいわれています。

   c   

「差別的扱いを受けてきた人々の救済」とありますが、性別役割分担では女性が差別されていた側です。その女性を救済して「社会全体の活性化」をさせるには、この性別役割分担という仕組みを再評価して維持するのではなく、問い直して改めることが必要なので、オが入ります。

問4

「東洋人は、西洋社会の中で排除されているある種の劣等な人々」とみなされ、「東洋人が東洋人として、ありのままに見られ、注目されることはまれであった」と記述されていますから、③にある「東洋文化は西洋文化と対比して客観的に研究され」たというわけではないことになります。なので、これが誤りです。

ポイントのまとめ

・なぜ異文化理解が必要なのか

戦争をなくし、世界中の人々が平和に暮らすためには、平和条約を結ぶなどの手続きだけでは不十分で、戦争の根本原因を取り除くことが重要である。
その原因のひとつが他者に対する無理解による摩擦であり、そのため相互理解をする努力が必要である。

異文化理解の必要性を伝える事例

・グローバル社会で必要な態度

※エスノセントリズム(自民族中心主義)の例として、オーストラリアの白豪主義、第二次世界大戦中のドイツのアーリア人優位主義とそれによるユダヤ人虐殺などが挙げられます。

・宗教における相互理解

1970年代ごろより、世界各地で古来の宗教へ回帰しようとする動きが見られ始めた。
これにより、異なる文化や宗教への無理解から生じる緊張などが問題になってくる。

宗教多元主義(いろいろな宗教において、共通している真理を探し出していくことで共存していこうとする考え)がより重要になってきている。