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この問題でおさえておきたいこと

孟子や荀子が孔子の思想の何を継承してどう発展させたか、墨子は儒教の何を批判したかをおさえる!

解答
問1 ②   問2 ③
問3 ④   問4 ③

解説

問1 ①:後半部分に書かれている資料の読解については正しいです。しかし、「ポイントのまとめ」にあるとおり、荀子は礼により善を植えこむことができるとしています。つまり、欲望は教育によって矯正できるとみなしているわけです。

②:前半部分に書かれているのは「ポイントのまとめ」にある荀子の思想の説明と合致します。後半部分に書かれているのは、資料の後半にある孟子への批判の内容や、礼義は聖人の偽(思慮の積み重ね)から生じるという記述と合致します。よって、この選択肢が正しいです。

③:資料では、善が性、つまりそもそもの本性だと孟子がとらえていることを荀子が批判しています。この選択肢では、孟子が善を学問によって獲得できるととらえていることになっているので、この点が誤りです。

④:荀子は善を身に付けることはできないと考えているとこの選択肢は述べていますが、さっきの①の解説にもあったとおり、荀子は礼により善を植えこむことができると考えています。

問2 ①:「ポイントのまとめ」にもあるとおり、武力によって世の中を治めるというのは覇道政治のやり方です。王道政治は仁義にもとづいて人民の幸福のためにおこなうというものです。

②:兼愛は墨子の思想で説かれたものであり、孟子の思想で説かれたものではありません。

③:「ポイントのまとめ」にある易姓革命についての説明と合致しますので、この文が正しいです。古代中国では、天がこの世界の創造者であり、天命にそむいた王朝は滅びるものだと考えられていました。

④:さっきの①の説明にもあるとおり、覇道政治とは武力によって世の中を治めるというものです。浩然の気とは、正義をくり返しおこなうことで育つ力強い道徳的心情のことなので、これに満ちた大丈夫が王となるのは王道政治ということになります。

問3 ①:「ポイントのまとめ」にもあるとおり、墨子は侵略戦争を否定する「非攻」を説きました。

②:道を重んじて無為自然の理想社会を目指したのは墨子ではなく老子です。ちなみに、「自給自足の生活を送る小さな共同体」とは老子のことばでいうところの小国寡民のことです。

③:各国を遊説して、万物は平等であるという万物斉同の思想を説いたのは孟子ではなく荘子です。

④:「ポイントのまとめ」にもあるとおり、孟子は武力による覇道政治を否定して仁義にもとづく王道政治を説き、そして易姓革命を正当化しました。なので、この文の内容は正しいです。

問4 「ポイントのまとめ」のとおり、墨子の「兼愛」とはすべての人間を平等に愛するべきという思想のことです。一方、儒教の「仁」とは、過去の「孔子の思想」についての問題の解説にもあるとおり、人間の理想的な心のあり方を指したもので、親や兄弟に対する情愛である孝悌が基本となっているものです。

つまり、「兼愛」はすべての人間に対する情愛、儒教の「仁」は自分の肉親など近い関係にある人間に対する情愛が基本となっている点が違っているといえるでしょう。それを最も端的に説明した選択肢は③です。

ポイントのまとめ

・孟子の思想

1.孔子の思想のうち特にを重視し、人間の本性は善であり、最初から良心的な心を持っているという性善説を提唱

2.人間にはだれにでも生まれつき4つの「善のめばえ」(四端)があるとした

※この四端を養い育てて完成する仁・義・礼・智を四徳としていました。また、孟子は、この四徳の完成を自覚すると、悪に屈しない、力強い勇気(浩然の気)が湧きおこるようになり、その浩然の気を身につけた理想的な人間を大丈夫と呼びました。

3.重んずるべき5つの人間関係を五倫とし、上下関係や身分秩序を重視

4.王が徳を身につけて人民を教化する徳治主義を理想とし、仁義にもとづいて人民の幸福のためにおこなわれる王道政治を理想とした

→力によって民衆を支配する覇道政治を否定し、統治者の徳が衰えて民心が離れれば天命は別の有徳な人物に移って新しい王朝が始まる(易姓革命

・荀子の思想

1.孔子の思想のうち特にを重視し、人間の本性は悪であり、善な行動は偽(後天的な努力)によるという性悪説を提唱

2.を行うことで社会的秩序を守り、欲望を抑えることができるようになると考えたため、礼により善を植えこむことができるという礼治主義を唱えた

・墨子の思想

1.すべての人間を平等に愛するべき(兼愛)と主張
孔子の愛は家族愛を基本としている点を別愛だと批判

2.兼愛の考えにもとづき、侵略戦争を否定(非攻
ただし、専守防衛のための戦争までは否定はせず