この問題でおさえておきたいこと
孔子の思想の中心は仁!
仁の基本的性格を理解しよう!
解答
問1(例)
人間が社会に生きていく際の理想的な心のあり方で、その基本は孝悌にあるとした。その情愛を様々な人間関係に広めることで実践され、忠恕で養われるとした。さらに、克己復礼こそが仁の精神にかなうとも説いた。(98字)
問2
(b)
問3
(f)
問4(例)
仁と、その仁が行為として外面にあらわれた礼の両方の体得を求めて不断に努力している、徳の高い人が君子、その高い徳を身につけた優れた人格者で理想像が聖人とされ、周王朝の王が聖人の例として挙げた。(95字)
解説
問1 「ポイントのまとめ」の説明を参照してください。
解答のチェックポイント
- 「理想的な心のあり方」「親愛の情」など、仁の簡単な説明が書かれているか
- 仁の説明をするために孝悌にふれているか
- 仁は忠恕によって養われることにふれているか
- 克己復礼のことについてふれているか
問2 「上善は水の若し」は老子によって書かれた言葉です。
ちなみに、「学びて時に之を習う、亦説ばしからずや」は、「習ったことを機会があるごとに復習し身につけていくことは、なんと喜ばしいことか」という意味をあらわす、学問の追究を重視した孔子の言葉です。
孔子が学問の追究を重視したのがわかる言葉として、「学びて思わざれば則ち
問3 漢の時代に儒学が官学とされましたが、それにともない、『易経』『詩経』『書経』『春秋』『礼記』の5つが五経とされるようになりました。
問4 君子と聖人の違いについては「ポイントのまとめ」の説明を参照してください。君子と聖人の違いだけでは文字数が少なすぎるということが考えられますので、さらに情報を少し加えたほうが望ましいでしょう。
解答のチェックポイント
- 君子の説明として、仁と礼の体得を求める、徳の高い人だという内容が書かれているか
- 聖人の説明として、優れた人格者であるという内容が書かれているか
- 聖人が孔子の思う理想的な人間であることがわかることが書かれているか
- 周王朝が聖人の例であることや、徳治主義は君子による理想的な政治体制であることなど、君子や聖人に関係する情報が書かれているか
ポイントのまとめ
・孔子の思想を生んだ歴史的背景
紀元前12世紀末 周王朝による封建制
(民族的なつながり・血縁的関係が重視された身分秩序)
↓
周王朝の衰退・崩壊し、春秋戦国時代の到来
それにともなう社会規範の崩壊、諸子百家の誕生によるさまざまな思想の提唱
↓
孔子は周王朝の封建制を理想とし、その再興を説いた(温故知新(過去をよく学んで新しい知を得る))
・孔子のおもな教え
1.仁…人間が社会に生きていくうえでの理想的な心のあり方
親や祖先への崇拝(孝)・兄弟の間の自然な情愛(悌)が基本となり、その情愛を様々な人間関係に広めていくことが仁の実践だとした。
仁は、自分を偽らないこと(忠)・他者への思いやり(恕)で養われるとした。
孔子のことば:「己の欲せざる所は、人に施すことなかれ」(自分がしてほしくないことは相手にしてはいけない)
2.礼…仁が行為として外面にあらわれたもの
自分の欲望やわがままを抑え(克己)、礼を実践するという克己復礼こそ仁であるとした
孔子のことば:「己に克ちて礼に復るを仁と為す」
3.徳
君子…仁と礼の両方の体得を求めて不断に努力している、徳の高い人
そのなかでも優れた人格者を聖人とした一方、君子を志さず、目先の利益だけを求めてばかりいる人を小人とした。
君子であることが為政者の条件であり、その人の徳を人民に波及させながら、道徳にもとづいた政治をおこなうという徳治主義が政治の理想であるとした。
・その他の孔子の思想
1.孔子は現世での生き方・社会のあり方を重視した。
孔子のことば:「未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん」(いまだに人生についてわからないのだから、どうして死についてわかるというのだろうか)
2.道徳の原理(道)を重視した。
孔子のことば:「朝に道を聞かば、夕に死すとも可なり」(朝に道を聞くことができれば、夕方に死んでもいい)