この問題のポイント
解く文字を含む項を左辺、それ以外を右辺に集める→係数を消すためにその逆数を両辺にかけるという手順で等式の変形ができる!
(1)(ア)「等式を●●の文字について解く」というのは、等式を●● = …の形に変形することを意味します。なので、この問題についてだったら、$b$ = …の形に変形するということになります。
$b$ = …の形にするのですから、まず$b$の文字が含まれているものを=の左側に、含まれていないものは=の右側に動かして整理します。この問題については、=の左右を入れ替えて、
\( \displaystyle \frac{10a-b}{9} = c \)
そうすると、分母の9がジャマですから、その分母をはらうために、両辺に9をかけると、
\( 10a-b = 9c \)
そして、$10a$には$b$の文字が含まれていませんから、これを=の右側に移します。さっきは=の両側にある式をまるごと入れ替えましたが、ここでは式の一部しか移さないので、移したら符号が変わります。だから、
\( -b = -10a+9c \)
そして、$b$にマイナスの符号がある、つまり$(-1)×b$の形になっているので、$b$の係数が-1になっています。それを消すために、-1の逆数である-1を両辺にかけます(-1の逆数はマイナス1分の1で結局-1なので)。
\( -b×(-1) = -10a×(-1)+9c×(-1) \)
\( b = 10a-9c \)
これで変形ができました。このように、等式の変形は、方程式を解くのと同じ要領で進めていけば変形ができるのです。
(イ)方程式でカッコがあったらカッコをはずしますから、同じようにカッコをはずしましょう。すると、
\( \displaystyle c = \frac{b}{a}-2b \)
$a$が含まれている項が=の右側にありますから、まず=の両側にある式をまるごと入れ替えると、
\( \displaystyle \frac{b}{a}-2b = c \)
$-2b$には$a$は含まれていませんから、これだけを=の右側に移します。そのときは符号が変わりますから、
\( \displaystyle \frac{b}{a} = c+2b \)
=で結ばれている場合なら、両方の式の分母と分子を逆にしても式は成り立ちます。両方の分母と分子を逆にすると、
\( \displaystyle \frac{a}{b} = \frac{1}{c+2b} \)
すると、=の左側について、分母の$b$がなくなれば、$a$ = …の形になります。よって、分母をはらうために両辺に$b$をかけると、
\( \displaystyle a = \frac{b}{c+2b} \)
(2)まず、$h$が含まれているものを=の左側に、含まれていないものは=の右側に動かして整理します。符号が変わることに注意して整理すると、
\( 3h-2πh = -a-5b \)
=の右側がマイナスの符号がついたものばかりになってしまいましたが、マイナスの符号ばかりで計算がしにくいときは、すべての項の符号を逆にする方法を使ってみましょう((1)(ア)の等式の変形で最後に-1をかけたというのは、実はこのことをやっていたわけです)。すると、
\( -3h+2πh = a+5b \)
\( 2πh-3h = a+5b \)
$h$が含まれている項が2つあります。このように、2つ以上の項に含まれている場合は、分配法則(●×(▲+■) = ●×▲+●×■)を応用して係数をまとめます。この問題の場合は、次のようにします。
\( (2π-3)h = a+5b \)
すると、$h$の係数は\( 2π-3 \)という形になりました(\( (2π-3) \)×$h$という形なので)。よって、これの逆数をかけて、
\( \displaystyle (2π-3)h×\frac{1}{2π-3} = (a+5b)×\frac{1}{2π-3} \)
\( \displaystyle h = \frac{a+5b}{2π-3} \)
(3)このサイトで過去に平均を扱った問題を扱い、その解説にも書きましたが、(合計)÷(人数)=(平均)という関係ですから、(平均)×(人数)=(合計)という関係になります。これを利用して考えてみましょう。
A組…
身長の平均:$a$cm
人数:36人
→A組の身長の合計は$36a$cm
B組…
身長の平均:A組より2cm低いので$(a-2)$cm
人数:A組より2人多いので36+2 = 38人
→B組の身長の合計は$38(a-2)$cm
C組…
身長の平均:B組より1cm高いので\( a-2+1 = (a-1) \)cm
人数:B組より2人多いので38+2 = 40人
→C組の身長の合計は$40(a-1)$cm
よって、A組とB組とC組をあわせた身長の平均は、
\( \displaystyle \frac{36a+38(a-2)+40(a-1)}{36+38+40} \)
とあらわすことができます。これが$b$cmということなんですから、
\( \displaystyle b = \frac{36a+38(a-2)+40(a-1)}{36+38+40} \)
\( \displaystyle b = \frac{36a+38a-76+40a-40}{114} \)
\( \displaystyle b = \frac{114a-116}{114} \)
この式を$a$ = …の形に変形していけばよいということになります。まず$a$の文字が含まれているものを=の左側に、含まれていないものは=の右側に動かして整理するために、=の左右を入れ替えて、
\( \displaystyle \frac{114a-116}{114} = b \)
分母の114がジャマですから、その分母をはらうために、両辺に114をかけて、
\( 114a-116 = 114b \)
-116には$a$の文字は含まれていませんから、これだけを=の右側に移して、
\( 114a = 114b+116 \)
係数を消すために、114の逆数である114分の1を両辺にかけると、
\( \displaystyle a = \frac{114b+116}{114} \)
約分して、\( \displaystyle a = \frac{57b+58}{57} \)
これを答えとしてもいいですし、さらに下のように計算を進めて答えとしてもけっこうです。
\( \displaystyle a = \frac{57b}{57}+\frac{58}{57} \)
\( \displaystyle a = b+\frac{58}{57} \)
答え.
(1)(ア)\( b = 10a-9c \)
(イ)\( \displaystyle a = \frac{b}{c+2b} \)
(2)\( \displaystyle h = \frac{a+5b}{2π-3} \)
(3)\( \displaystyle a = \frac{57b+58}{57} \)cm
(\( \displaystyle a = b+\frac{58}{57} \)(cm)でもOK)