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この問題のポイント

x = f(t)、y = g(t)で表される曲線の長さは、
{f ' (t)}2+{g ' (t)}2の正の平方根!

(1)まず、$f(x)$は対数関数の形になっています。\( \log A \)を微分すると、\( \displaystyle \frac{1}{A}・A' \)という形になるんですから、
\( \displaystyle f(x) = \frac{1}{x+\sqrt{1+x^2}}・(x+\sqrt{1+x^2})' \)

そして、\( \sqrt{1+x^2} \)という無理関数がありますが、\( \sqrt{A} \)を微分すると、\( \displaystyle \frac{1}{2\sqrt{A}}・A' \)となるので、\( (x+\sqrt{1+x^2})' \)を計算していくと、

\begin{eqnarray} &&\frac{1}{x+\sqrt{1+x^2}}×\left(1+\frac{2x}{2\sqrt{1+x^2}}\right)\\ &&= \frac{1}{x+\sqrt{1+x^2}}×\left(1+\frac{x}{\sqrt{1+x^2}}\right)\\ &&= \frac{1}{x+\sqrt{1+x^2}}×\frac{\sqrt{1+x^2}+x}{\sqrt{1+x^2}}\\ &&= \frac{\sqrt{1+x^2}+x}{(x+\sqrt{1+x^2})×\sqrt{1+x^2}}\\ \end{eqnarray}

よって、\( \displaystyle f'(x) = \frac{1}{\sqrt{1+x^2}} \)

(2)曲線の長さは積分を利用すれば、次の公式で求めることができます。

\( x = f(t) \)、\( y = g(t) \)で表される曲線があり、\( α≦t≦β \)の範囲の部分の長さを$L$とすると、

\( \displaystyle L = \int_α^β \sqrt{\{f'(t)\}^2+\{g'(t)\}^2}dt \)

与えられている式は極方程式なので、これを$x$ = …,$y$ = …の形の式に書き換えましょう。
\( x = r\cosθ \),\( y = r\sinθ \)ですが、この問題では\( r = θ \)と与えられていますから、
\( x = θ\cosθ \),\( y = θ\sinθ \)

これを$θ$で微分すると、

\( (θ\cosθ)' \)
\( = (θ)'\cos{θ}+θ(\cos{θ})' = \cos{θ}-θ\sin{θ} \)
\( (θ\sinθ)' \)
\( = (θ)'\sin{θ}+θ(\sin{θ})' = \sin{θ}+θ\cos{θ} \)

\( (\cos{θ}-θ\sin{θ})^2+(\sin{θ}+θ\cos{θ})^2 \)を計算すると、

\begin{eqnarray} &&\cos^2{θ}-2θ\cos{θ}\sin{θ}+θ^2\sin^2{θ}\\ &&~~~~+\sin^2{θ}+2θ\sin{θ}\cos{θ}+θ^2\cos^2{θ}\\ &&= \cos^2{θ}+\sin^2{θ}+θ^2(\sin^2{θ}+\cos^2{θ})\\ &&= 1+θ^2\\ \end{eqnarray}

よって、求める長さを$L$とすると、

$L$
\( \displaystyle = \int_0^π \sqrt{(\cos{θ}-θ\sin{θ})^2+(\sin{θ}+θ\cos{θ})^2}dθ \)
\( \displaystyle = \int_0^π \sqrt{1+θ^2}dθ \) …①
\( \displaystyle = \int_0^π θ'・\sqrt{1+θ^2}dθ \)
\( \displaystyle = \left[θ・\sqrt{1+θ^2}\right]_0^π-\int_0^π θ・\frac{2θ}{2\sqrt{1+θ^2}}dθ \)
\( \displaystyle = π\sqrt{1+π^2}-\int_0^π \frac{θ^2}{\sqrt{1+θ^2}}dθ \) …②

ここで、②の式のインテグラルを使っている部分について、(1)の解答の式と少し似ていますね?ということは、これが使えるかもしれませんからそれを使えるように式を変形してみます。この問題はこの変形が一番難しいところで、ここがポイントになります。分子を1にするわけですから、このように変形していきます。

\( \displaystyle \int_0^π \frac{θ^2}{\sqrt{1+θ^2}}dθ \)
\( \displaystyle = \int_0^π \frac{1+θ^2-1}{\sqrt{1+θ^2}}dθ \)
\( \displaystyle = \int_0^π \left(\sqrt{1+θ^2}-\frac{1}{\sqrt{1+θ^2}}\right)dθ \)
\( \displaystyle = \int_0^π \sqrt{1+θ^2}-\int_0^π \frac{1}{\sqrt{1+θ^2}}dθ \)

(1)と①より、この式はこう変形できますね。

\( \displaystyle L-\left[\log (x+\sqrt{1+x^2})\right]_0^π \)

これは、\( L-\log (π+\sqrt{1+π^2}) \)となりますね。
これを②の式の、インテグラルを使っている部分に代入して、

\( L = π\sqrt{1+π^2}-\{L-\log (π+\sqrt{1+π^2})\} \)
\( L = π\sqrt{1+π^2}-L+\log (π+\sqrt{1+π^2}) \)
\( 2L = π\sqrt{1+π^2}+\log (π+\sqrt{1+π^2}) \)
\( \displaystyle ∴L = \frac{1}{2}\{π\sqrt{1+π^2}+\log (π+\sqrt{1+π^2})\} \)

答え.
(1)\( \displaystyle f'(x) = \frac{1}{\sqrt{1+x^2}} \)
(2)\( \displaystyle L = \frac{1}{2}\{π\sqrt{1+π^2}+\log (π+\sqrt{1+π^2})\} \)