この問題のポイント
f(x)の極限値が求まらないとき、「●●≦f(x)≦▲▲という関係があり、●●と▲▲の極限値が同じならf(x)の極限値もそれになる」という原理を使おう!
微分の公式は次のようなものでしたね。
\( \displaystyle f'(x) = \lim_{h \to 0} \frac{f(x+h)-f(x)}{h} \)
$f'(0)$を求めないといけないわけですが、$f(x)$がどのような式かわかりませんから、$f(x)$の式を微分してという方法が使えませんので、上の公式を利用することを考えましょう。上の公式の$x$に0、$h$に$x$を代入すると、
\( \displaystyle f'(0) = \lim_{x \to 0} \frac{f(x)-f(0)}{x} \)
これを求めるには、まず$f(0)$の値がわからないといけません。$f(x)$のことでわかっているのは、
\( 1+2x-3x^2≦f(x)≦1+2x+3x^2 \) …①
だけですから、この式に\( x = 0 \)を代入して考えましょう。
\( 1+2x-3x^2 \)に代入すると、\( 1+2・0-3・0^2 = 1 \)
\( 1+2x+3x^2 \)に代入すると、\( 1+2・0+3・0^2 = 1 \)
\( 1≦f(0)≦1 \)ということになるので、\( f(0) = 1 \)です。
$f(0)$がわかりましたから、そこからさっきの$f'(0)$の公式で現れた式をつくっていきます。①の式の各辺から\( f(0) = 1 \)をひいて、
\( 2x-3x^2≦f(x)-f(0)≦2x+3x^2 \)
\( x>0 \)のとき、
\( \displaystyle 2-3x≦\frac{f(x)-f(0)}{x}≦2+3x \)
ここで、
\( \displaystyle \lim_{x \to +0} (2-3x) = 2 \),\( \displaystyle \lim_{x \to +0} (2+3x) = 2 \)
より、\( 2-3x \)も\( 2+3x \)も微分すると2なので、はさみうちの原理より、
\( \displaystyle \lim_{x \to +0} \frac{f(x)-f(0)}{x} = 2 \)
\( x<0 \)のとき、
\( \displaystyle 2-3x≧\frac{f(x)-f(0)}{x}≧2+3x \)
ここで、
\( \displaystyle \lim_{x \to -0} (2-3x) = 2 \),\( \displaystyle \lim_{x \to -0} (2+3x) = 2 \)
より、この場合でも、\( 2-3x \)と\( 2+3x \)は微分すると2なので、はさみうちの原理より、
\( \displaystyle \lim_{x \to -0} \frac{f(x)-f(0)}{x} = 2 \)
よって、右側極限と左側極限どちらで考えても、極限値は同じとなりますので、\( f'(0) = 2 \)です。
このように、\( \underline{f(x)} \)の極限値がわからないけれども\( \underline{●●≦f(x)≦▲▲} \)という式があるときは、●●と▲▲の極限値を考えてみましょう。もしその2つの極限値が同じならはさみうちの原理で求めることができます。
答え.\( f'(0) = 2 \)