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この問題のポイント

(cosθ+isinθ)n = cosnθ+isinnθ!

複素数平面での「○乗」は、角度を何倍しているかを示していることをつかもう!

(1)$α^2$ \begin{eqnarray} &&= \{(\sqrt{3}-1)+(\sqrt{3}+1)i\}^2\\ &&= (\sqrt{3}-1)^2+2i(\sqrt{3}-1)(\sqrt{3}+1)-(\sqrt{3}+1)^2\\ &&= 3-2\sqrt{3}+1+2i・2-(3+2\sqrt{3}+1)\\ &&= 4-2\sqrt{3}+4i-(4+2\sqrt{3})\\ &&= -4\sqrt{3}+4i\\ \end{eqnarray}

(1)$α^2$ \begin{eqnarray} &&\small{= \{(\sqrt{3}-1)+(\sqrt{3}+1)i\}^2}\\ &&\small{= (\sqrt{3}-1)^2+2i(\sqrt{3}-1)(\sqrt{3}+1)-(\sqrt{3}+1)^2}\\ &&\small{= 3-2\sqrt{3}+1+2i・2-(3+2\sqrt{3}+1)}\\ &&\small{= 4-2\sqrt{3}+4i-(4+2\sqrt{3})}\\ &&\small{= -4\sqrt{3}+4i}\\ \end{eqnarray}

(2)極形式とは、複素数を\( r(\cos{θ}+i\sin{θ}) \)という形で表すことをいいます。$r$は、複素数平面での座標と原点との距離のことで、$θ$は、複素数平面での$x$軸との角度のことです(この角のことを偏角といいます)。

さて、まず$r$から求めるんですが、原点との距離になるんで、たとえば$a+bi$という式ならば\( a^2+b^2 \)の平方根であるということになるんですが、$α$については\( (\sqrt{3}-1)^2+(\sqrt{3}+1)^2 \)の平方根を求めなければならず、少し計算がややこしそうですね。

そこで、せっかく(1)で$α^2$を計算したので、これを利用することを考えてみましょう。これについては、$r$の部分を求めるのは簡単ですね。\( (-4\sqrt{3})^2+4^2 \)の平方根ですから、48+16 =64の平方根で8です($r$は原点との距離を表すので、-8は不適です)。

よって、\( \displaystyle α^2 = 8\left(-\frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{1}{2}i\right) \)
\( \displaystyle \cos{θ} = -\frac{\sqrt{3}}{2} \)、\( \displaystyle \sin{θ} = \frac{1}{2} \)となる$θ$は、\( \displaystyle θ = \frac{5}{6}π \)
つまり、$α^2$は極形式で表すと、\( \displaystyle 8\left(\cos{\frac{5}{6}π}+i\sin{\frac{5}{6}π}\right) \)

そして、このページの一番上に書いたド・モアブルの定理を使うと、もし\( α = a(\cos{A}+i\sin{A}) \)とおいたなら、
\( α^2 = a^2(\cos{2A}+i\sin{2A}) \)
とおくことができます。(ちなみに、\( a>0 \))

よって、\( a^2 = 8 \)より、\( a = 2\sqrt{2} \)
そして、\( \displaystyle 2A = \frac{5}{6}π \)より、\( \displaystyle A = \frac{5}{12}π \)
なので、$α$の極形式は、\( \displaystyle 2\sqrt{2}\left(\cos{\frac{5}{12}π}+i\sin{\frac{5}{12}π}\right) \)です。

(3)\( z = b(\cos{B}+i\sin{B}) \)(\( b>0 \))とおくと、ド・モアブルの定理より、
\( z^3 = b^3(\cos{3B}+i\sin{3B}) \)

これが(2)で求めた$α$の極形式と同じになっていればよいということですから、\( b^3 = 2\sqrt{2} \)となり、\( b = \sqrt{2} \)

そして、偏角の範囲は(2)の問題文にあったとおりですから、$B$も当然\( 0°≦B<2π \)といえます。ということは、
\( 0°≦3B<6π \)
であり、この角度の範囲で、
\( \displaystyle \frac{5}{12}π+2kπ \)($k$は整数)
となる角度を求めればいいことになります。そうすると、下の3つの角度が適することとなります。

\( \displaystyle 3B = \frac{5}{12}π,\frac{5}{12}π+2π,\frac{5}{12}π+4π \)
つまり、\( \displaystyle 3B = \frac{5}{12}π,\frac{29}{12}π,\frac{53}{12}π \)
よって、\( \displaystyle B = \frac{5}{36}π,\frac{29}{36}π,\frac{53}{36}π \)

これで、$b$も$B$も求まりましたので、
\( \displaystyle z = \sqrt{2}\left(\cos{\frac{5}{36}π}+i\sin{\frac{5}{36}π}\right) \),\( \displaystyle \sqrt{2}\left(\cos{\frac{29}{36}π}+i\sin{\frac{29}{36}π}\right) \),\( \displaystyle \sqrt{2}\left(\cos{\frac{53}{36}π}+i\sin{\frac{53}{36}π}\right) \)

(4)さっきから極形式で考えていましたから、この問題についても、$1+i$を極形式にして考えましょう。

\( \displaystyle 1+i \)
\( \displaystyle = \sqrt{2}\left(\frac{1}{\sqrt{2}}+\frac{1}{\sqrt{2}}i\right) \)
\( \displaystyle = \sqrt{2}\left(\cos{\frac{1}{4}π}+i\sin{\frac{1}{4}π}\right) \)

そして、
$α^n$
\( \displaystyle = \left\{2\sqrt{2}\left(\cos{\frac{5}{12}π}+i\sin{\frac{5}{12}π}\right)\right\}^n \)
\( \displaystyle = (2\sqrt{2})^n\left(\cos{\frac{5}{12}nπ}+i\sin{\frac{5}{12}nπ}\right) \)

よって、$w_n$を極形式で表すと、

\begin{eqnarray} &&\sqrt{2}・(2\sqrt{2})^n\left\{\left(\cos{\frac{1}{4}π+\frac{5}{12}nπ}+i\sin{\frac{1}{4}π+\frac{5}{12}nπ}\right)\right\}\\ &&= \sqrt{2}・(2\sqrt{2})^n\left(\cos{\frac{5n+3}{12}π}+i\sin{\frac{5n+3}{12}π}\right)\\ \end{eqnarray}

\begin{eqnarray} &&\small{\sqrt{2}・(2\sqrt{2})^n\{\left(\cos{\frac{1}{4}π+\frac{5}{12}nπ}+i\sin{\frac{1}{4}π+\frac{5}{12}nπ}\right)\}}\\ &&\small{= \sqrt{2}・(2\sqrt{2})^n\left(\cos{\frac{5n+3}{12}π}+i\sin{\frac{5n+3}{12}π}\right)}\\ \end{eqnarray}

これが実数になるには、$i$の係数が0になればよいということになります。
つまり、\( \displaystyle \frac{5n+3}{12} \)が整数になればよいことになります。

ゆえに、$5n+3$が12の倍数になればよいのですから、
\( 5n+3 = 12m \)($m$は整数)が成立すればよく、これを変形すると、
\( 5n = 12m-3 = 3(4m-1) \)

$5n$が3の倍数になればよいのですから、$n$は3の倍数だと考えることができます。
よって、$n$は3,6,9,12,…と考えられるのですが、最小の自然数を求めるわけなので、最小のものから順にあてはめてみましょう。

\( n = 3 \)のとき、\( \displaystyle \frac{5・3+3}{12} = \frac{3}{2} \)で整数にならないので不適
\( n = 6 \)のとき、\( \displaystyle \frac{5・6+3}{12} = \frac{11}{4} \)で整数にならないので不適
\( n = 9 \)のとき、\( \displaystyle \frac{5・9+3}{12} = 4 \)

よって、\( n = 9 \)です。

答え.
(1)
\( α^2 = -4\sqrt{3}+4i \)
(2)
\( \displaystyle α = 2\sqrt{2}\left(\cos{\frac{5}{12}π}+i\sin{\frac{5}{12}π}\right) \)
(3)
\( \displaystyle z = \sqrt{2}\left(\cos{\frac{5}{36}π}+i\sin{\frac{5}{36}π}\right) \),\( \displaystyle \sqrt{2}\left(\cos{\frac{29}{36}π}+i\sin{\frac{29}{36}π}\right) \),\( \displaystyle \sqrt{2}\left(\cos{\frac{53}{36}π}+i\sin{\frac{53}{36}π}\right) \)
(4)
\( n = 9 \)