この問題のポイント
何回か微分を重ね、どういう式になりそうか見当をつけることから始めよう!
最後に数学的帰納法で証明することも忘れずに!
与えられた式を微分してどういう式になりそうか予想してみましょう。ポイントは、微分してできた式を、問題文で与えられた式と似た形にすることです。
たとえば、今回の問題であれば、$x$という文字を使った部分と、「$e$の○乗」を使った部分との積の形になっていますから、微分した式も、その2つの部分の積の形にできるだけしていくのが、解答への近道になります。
そして、与えられた式は、積の形になっていますから、積の微分公式を使って微分するといいですね。よって、微分を1回すると、
\( e^{-x}+x(-e^{-x}) \)
\( = e^{-x}-xe^{-x} \)
\( = -(x-1)e^{-x} \) ←$x$を使った部分と、「$e$の○乗」を使った部分との積の形に
これを微分して第2次導関数を導くと、
\( -e^{-x}-(x-1)(-e^{-x}) \)
\( = -e^{-x}+(x-1)e^{-x} \)
\( = -e^{-x}+xe^{-x}-e^{-x} \)
\( = (x-2)e^{-x} \) ←$x$を使った部分と、「$e$の○乗」を使った部分との積の形に
これを微分して第3次導関数を導くと、
\( e^{-x}+(x-2)(-e^{-x}) \)
\( = e^{-x}-xe^{-x}+2e^{-x} \)
\( = -(x-3)e^{-x} \)
さらに第4次導関数を導くと、
\( e^{-x}-(x-3)(-e^{-x}) \)
\( = -e^{-x}+(x-3)e^{-x} \)
\( = -e^{-x}+xe^{-x}-3e^{-x} \)
\( = (x-4)e^{-x} \)
ここまで4回微分しましたが、このようなことに気づきませんか?
- 微分が奇数回されると、-がつき、偶数回だと-はつかない。
- $(x-○)$という形が必ず現れ、しかも○に入るのは微分の回数である。
- $e^{-x}$は何回微分しても変わらない。
よって、微分を$n$回して得られる第$n$次導関数は、
\( (-1)^n(x-n)e^{-x} \)
と予想できます。奇数回微分されると-がつくのは、-1を奇数回かけるとみなせばいいわけです。
ただし、あくまでこれは予想にすぎず、絶対に正しいとは言い切れないので、これをそのまま解答とするのは早すぎます。きちんと「なんでこう言い切れるのか?」を証明しないと解答とは言えません。
もちろん、この式のみを使って証明することは不可能なので、数学的帰納法を使って証明します。
[1]\( n = 1 \)のとき
\( (-1)^1(x-1)e^{-x} = -(x-1)e^{-x} \)
であり、これは先ほど$f(x)$を1回微分したときの式と同じです。
よって、\( n = 1 \)のとき、この式は成り立ちます。
[2]\( n = k \)のとき、\( f^{(k)}(x) = (-1)^k(x-k)e^{-x} \)が成り立つと仮定します。
その前提で、\( n = k+1 \)のときに\( f^{(k+1)}(x) = (-1)^{k+1}\{x-(k+1)\}e^{-x} \)が成り立つことを証明します。
$f^{(k+1)}(x)$は$f^{(k)}(x)$を微分して得られますから、
\begin{eqnarray} &&f^{(k+1)}(x)\\ &&= \{f^{(k)}(x)\}'\\ &&= \{(-1)^k(x-k)e^{-x}\}'\\ &&= (-1)^ke^{-x}+(-1)^k(x-k)(-e^{-x})\\ &&= (-1)^ke^{-x}+(-1)^{k+1}(x-k)e^{-x}\\ &&= (-1)^{k+1}\{-1+(x-k)\}e^{-x}\\ &&= (-1)^{k+1}(x-k-1)e^{-x}\\ &&= (-1)^{k+1}\{x-(k+1)\}e^{-x}\\ \end{eqnarray}
これで\( n = k+1 \)のときも成り立つことが証明されました。
よって、\( f^{(n)}(x) = (-1)^n(x-n)e^{-x} \)だといえます。
答え.\( f^{(n)}(x) = (-1)^n(x-n)e^{-x} \)