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この問題のポイント

(a+b)nの展開式はnCran-rbrを足し合わせたもの!
組み合わせのCだけがたくさん足されている式は二項定理を使って式変形できないか考える!

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(1)\( (●+▲)^2 \)や\( (●+▲)^3 \)なら公式を使って展開して考えることができますが、それ以上の累乗や\( (●+▲)^n \)となるとどう考えればよいか。これを解決してくれるのが二項定理です。次のような定理ですね。

\( (a+b)^n \)を展開すると、
\( {}_n \mathrm{C}_0a^nb^0+{}_n \mathrm{C}_1a^{n-1}b^1+{}_n \mathrm{C}_2a^{n-2}b^2+…+{}_n \mathrm{C}_na^0b^n \)\( {}_n \mathrm{C}_0a^nb^0+{}_n \mathrm{C}_1a^{n-1}b^1+{}_n \mathrm{C}_2a^{n-2}b^2 \\ +{}_n \mathrm{C}_3a^{n-3}b^3+…+{}_n \mathrm{C}_na^0b^n \)

(理由)

\( (a+b)^n \)とは\( (a+b) \)が$n$個かけられているということである。この展開式の$a^{n-r}b^r$の項はその中から$a$を$(n-r)$個、$b$を$r$個選んでそれらをかけ合わせ、そのすべてを足したものということになる。

その$a$の$(n-r)$個、または$b$の$r$個の選び方は\( {}_n \mathrm{C}_{n-r} = {}_n \mathrm{C}_r \)通りだから、$a^{n-r}b^r$の係数は\( {}_n \mathrm{C}_r \)
だから、\( (a+b)^n \)の展開式は\( {}_n \mathrm{C}_ra^{n-r}b^r \)を足し合わせたものになる。

\( \displaystyle \left(x+\frac{1}{x}\right)^n \)もこのままの状態では考えようがないので、この二項定理の考え方を利用して考えてみましょう。すると展開式は$x$を$(n-r)$個、\( \displaystyle \frac{1}{x} \)を$r$個選んだと考えれば、\( \displaystyle {}_n \mathrm{C}_rx^{n-r}\left(\frac{1}{x}\right)^r \)が足し合わせたものということになりますね。

よって、
\( \displaystyle {}_n \mathrm{C}_rx^{n-r}・\frac{1}{x^r} \)
\( \displaystyle = {}_n \mathrm{C}_r\frac{x^{n-r}}{x^r} \)

問題では、定数項が含まれるための条件を求めなければなりませんでした。定数項とは文字を含んでいない項ということです。ということは、$x$という文字が含まれていないようにしないといけませんので、\( \displaystyle \frac{x^{n-r}}{x^r} \)について、$n-r = r$とならなければなりません。

$n-r = r$とは$n = 2r$
$n$,$r$は整数ですから、この式は$n$が偶数であることを示しています。よって、定数項が含まれるための条件とは、$n$が偶数ということになります。

(2)さっきの(1)を考えたときに、\( \displaystyle \left(x+\frac{1}{x}\right)^n \)の式について考えました。これを利用できるように、\( \displaystyle \left(x+1+\frac{1}{x}\right)^7 \)を\( \displaystyle \left(1+x+\frac{1}{x}\right)^7 \)とします。すると、二項定理よりこれの展開式は、\( \displaystyle {}_7 \mathrm{C}_r1^{7-r}\left(x+\frac{1}{x}\right)^r \)、つまり\( \displaystyle {}_7 \mathrm{C}_r\left(x+\frac{1}{x}\right)^r \)を足し合わせたものということになります。

そして、(1)で求めた条件と照らし合わせれば、これの定数項を考えるには$r$ = 0,2,4,6のときを考えればいいということになりますね?さらに(1)より\( \displaystyle \left(x+\frac{1}{x}\right)^r \)は\( \displaystyle {}_r \mathrm{C}_s\frac{x^{r-s}}{x^s} \)を足し合わせたものです。これが定数項を含む条件は(1)より$r = 2s$ですから、\( \displaystyle {}_r \mathrm{C}_s \)の部分は\( \displaystyle {}_r \mathrm{C}_\frac{r}{2} \)と置き換えることができます。

よって、$r$ = 0のときの定数項は
\( \displaystyle {}_7 \mathrm{C}_0・{}_0 \mathrm{C}_0 \) = 1
$r$ = 2のときの定数項は
\( \displaystyle {}_7 \mathrm{C}_2・{}_2 \mathrm{C}_1 \) = 42
$r$ = 4のときの定数項は
\( \displaystyle {}_7 \mathrm{C}_4・{}_4 \mathrm{C}_2 \) = 210
$r$ = 6のときの定数項は
\( \displaystyle {}_7 \mathrm{C}_6・{}_6 \mathrm{C}_3 \) = 140

これらをすべてたすと、1+42+210+140 = 393です。

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(1)\( \displaystyle \sum_{k=0}^n \)とは、$k$ = 0から$n$まで順々に代入したものを足していくという意味です。なので、たとえば\( \displaystyle \sum_{k=0}^3 {}_n \mathrm{C}_k \)なら、\( \displaystyle {}_3 \mathrm{C}_0+{}_3 \mathrm{C}_1+{}_3 \mathrm{C}_2+{}_3 \mathrm{C}_3 \)となるわけです。

二項定理を思い出させるような式ですが、このような\( \mathrm{C} \)ばかりが足された式は二項定理を使って考えるのが基本と思っていいでしょう。たとえば\( (a+b)^3 \)は二項定理より、

\( {}_3 \mathrm{C}_0a^3b^0+{}_3 \mathrm{C}_1a^2b^1+{}_3 \mathrm{C}_2a^1b^2+{}_3 \mathrm{C}_3a^0b^3 \)

となります。もしこの式の$a$と$b$に1を代入すると、さっきの\( \displaystyle {}_3 \mathrm{C}_0+{}_3 \mathrm{C}_1+{}_3 \mathrm{C}_2+{}_3 \mathrm{C}_3 \)と同じになりますよね?

したがって、\( a_n = (1+1)^n = 2^n \)

(2)$k$ = 0のときは\( {}_n \mathrm{C}_kk \)は\( {}_n \mathrm{C}_0・0 \)より0になりますから、結局$b_n$は\( \displaystyle \sum_{k=1}^n {}_n \mathrm{C}_kk \)と同じことになります。

ちなみに、このような\( \mathrm{C} \)ばかりが足された式について考えるとき、数学Aの「組み合わせ」にて出てきた式である
\( \displaystyle {}_n \mathrm{C}_r = \frac{n!}{r!(n-r)!} \)
を使うことが多いです。ここでもそれを使って考えます。

\( \displaystyle b_n = \sum_{k=1}^n \frac{n!}{k!(n-k)!}・k \)と書き換えできますが、ここで、
\( \displaystyle \frac{k}{k!} = \frac{k}{1・2・3・…・(k-1)・k} = \frac{1}{1・2・3・…・(k-1)} \)\( \displaystyle \frac{k}{k!} \\ = \frac{k}{1・2・3・…・(k-1)・k} \\ = \frac{1}{1・2・3・…・(k-1)} \)
となるので、\( \displaystyle b_n = \sum_{k=1}^n \frac{n!}{(k-1)!(n-k)!} \)

また、$n!$とは1・2・3・…・$(n-1)$・$n$ = $(n-1)!・n$となるので、\( \displaystyle b_n = n\sum_{k=1}^n \frac{(n-1)!}{(k-1)!(n-k)!} \)とおけます。

さらに$n-k = (n-1)-(k-1)$ですから、
\( \displaystyle b_n = n\sum_{k=1}^n \frac{(n-1)!}{(k-1)!\{(n-1)-(k-1)\}!} \)です。数学Aの「組み合わせ」にて出てきた式を利用すると、
\( \displaystyle b_n = n\sum_{k=1}^n {}_{n-1} \mathrm{C}_{k-1} \)

これで、(1)のように\( \mathrm{C} \)だけの状態になりましたので、あとは(1)と同じく二項定理を使って考えればいいでしょう。そのようにして求めると、
\( b_n = n・2^{n-1} \)

(3)さっきの(2)と同じように数学Aの「組み合わせ」にて出てきた式を利用すると、
\( \displaystyle c_n = \sum_{k=0}^n \frac{1}{k+1}・\frac{n!}{k!(n-k)!} \)

ここで、\( k!・(k+1) = (k+1)! \)なので、$c_n$は\( \displaystyle \sum_{k=0}^n \frac{n!}{(k+1)!(n-k)!} \)とおけます。

さらに、\( (n+1)! = n!・(n+1) \)ですから、この式は、
\( \displaystyle \frac{1}{n+1}\sum_{k=0}^n \frac{(n+1)!}{(k+1)!(n-k)!} \)
\( \displaystyle = \frac{1}{n+1}\sum_{k=0}^n \frac{(n+1)!}{(k-1)!\{(n+1)-(k+1)\}!} \)
数学Aの「組み合わせ」にて出てきた式を利用すると、\( \displaystyle \frac{1}{n+1}\sum_{k=0}^n {}_{n+1} \mathrm{C}_{k+1} \)

\( \mathrm{C} \)によけいな文字がついていない状態にできたので、二項定理を使えるようになりましたが、ここで注意が必要です。(1)で\( (a+b)^3 \)の式を二項定理を使って展開した式は\( {}_3 \mathrm{C}_0 \)のこうから始まっていました。この問題についても\( {}_{n+1} \mathrm{C}_0+{}_{n+1} \mathrm{C}_1+… \)となっていれば二項定理が使えますよね?

ところが、\( \displaystyle \sum_{k=0}^n {}_{n+1} \mathrm{C}_{k+1} \)とは\( {}_{n+1} \mathrm{C}_1+{}_{n+1} \mathrm{C}_2+… \)となるので、\( {}_{n+1} \mathrm{C}_0 \)が足りません。なので、
\( \displaystyle \frac{1}{n+1}\sum_{k=0}^n {}_{n+1} \mathrm{C}_{k+1} \)
\( \displaystyle = \frac{1}{n+1}\left\{\sum_{k=0}^n {}_{n+1} \mathrm{C}_{k+1}+{}_{n+1} \mathrm{C}_0-{}_{n+1} \mathrm{C}_0\right\} \)
として、つじつまを合わせます。

\( {}_● \mathrm{C}_0 \) = 1なので、そうするとこの式は、
\( \displaystyle \frac{1}{n+1}\left\{2^{n+1}-{}_{n+1} \mathrm{C}_0\right\} \)
\( \displaystyle = \frac{1}{n+1}(2^{n+1}-1) \)となります。

答え.
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(1)$n$が偶数である
(2)393
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(1)\( a_n = 2^n \)
(2)\( b_n = n・2^{n-1} \)
(3)\( \displaystyle c_n = \frac{1}{n+1}(2^{n+1}-1) \)