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この問題のポイント

対数の性質を上手に使って、底を変えたり対数どうしの計算ができるような形に変形したりしよう!

(1)対数、つまりlogを使った式について、次のような性質があります。これを使うと、logを使った新しい式に変形することができます。

1.\( \log_{a} {MN} = \log_{a} M+\log_{a} N \)
(つまり、真数がかけ算になっていたら、対数どうしの足し算に変形できる)

2.\( \displaystyle \log_{a} {\frac{M}{N}} = \log_{a} M-\log_{a} N \)
(つまり、真数が割り算になっていたら、対数どうしの引き算に変形できる)

3.\( \log_{a} {M^k} = k\log_{a} M \)
(つまり、真数の累乗部分は前にもってこれる)

4.\( \displaystyle \log_{a} b = \frac{\log_{c} b}{\log_{c} a} \)
底の変換公式という)

たとえば\( \log_{10} 72 \)は、$72 = 2^3×3^2$なので、上の1.の性質を使うと、
\( \log_{10} 72 \)
\( = \log_{10} {(2^3×3^2)} \)
\( = \log_{10} {2^3}+\log_{10} {3^2} \)

とできます。そして、上の3.の性質を使えば、
\( \log_{10} {2^3}+\log_{10} {3^2} \)
\( = 3\log_{10} 2+2\log_{10} 3 \)
とできます。\( \log_{10} 2 = a \),\( \log_{10} 3 = b \)なので、これより、\( \log_{10} 72 = 3a+2b \)です。

そして、\( \sqrt[3] {96} = 96^{\frac{1}{3}} \)なので、これも上の3.の性質を使うと、
\( \log_{12} \sqrt[3] {96} \)
\( = \log_{12} {96^{\frac{1}{3}}} \)
\( \displaystyle = \frac{1}{3}\log_{12} 96 \)

問題文で$a$,$b$として与えられた対数の底はどちらも10なので、それに合わせるために底の変換公式を使います。\( \displaystyle \frac{1}{3}・\frac{\log_{10} 96}{\log_{10} 12} \)とできますね?さらに、$96 = 2^5×3$,$12 = 2^2×3$ですから、\( \log_{10} 72 \)と同じように考えて、

\( \displaystyle \frac{1}{3}・\frac{\log_{10} 96}{\log_{10} 12} \)
\( \displaystyle = \frac{1}{3}・\frac{\log_{10} {(2^5×3)}}{\log_{10} {(2^2×3)}} \)
\( \displaystyle = \frac{1}{3}・\frac{\log_{10} {2^5}+\log_{10} 3}{\log_{10} {2^2}+\log_{10} 3} \)
\( \displaystyle = \frac{1}{3}・\frac{5\log_{10} 2+\log_{10} 3}{2\log_{10} 2+\log_{10} 3} \)
\( \displaystyle = \frac{5a+b}{3(2a+b)} \)

(2)対数で示されたものの値を求めるのは(1)と同じですが、$5^a$や$5^b$と累乗を使った形で与えられているので、これを対数を使った形になおします。\( \log_{a} b = c \)とは、$a$を$b$にするには$c$乗すればよいという意味なので、\( \log_{5} 2 = a \),\( \log_{5} 3 = b \)ですね?

あとは(1)と同じ考え方、つまり対数の性質を使って解くといいですね。

\begin{eqnarray} &&\log_{5} 72\\ &&= \log_{5} {(2^3×3^2)}\\ &&= \log_{5} {2^3}+\log_{5} {3^2}\\ &&= 3\log_{5} 2+2\log_{5} 3\\ &&= 3a+2b\\ \end{eqnarray}

1.35は分数にすると\( \displaystyle \frac{135}{100} = \frac{27}{20} \)なので、\( \displaystyle \log_{5} {1.35} = \log_{5} {\frac{27}{20}} \)です。すると、(1)の解説にある赤枠内の2.の性質が使えます。

\begin{eqnarray} &&\displaystyle \log_{5} {\frac{27}{20}}\\ &&= \log_{5} 27-\log_{5} 20\\ &&= \log_{5} {3^3}-\log_{5} {(2^2×5)}\\ &&= 3\log_{5} 3-(\log_{5} {2^2}+\log_{5} 5)\\ &&= 3\log_{5} 3-(2\log_{5} 2+1)\\ &&= 3b-(2a+1) = 3b-2a-1\\ \end{eqnarray}

(3)問題を解くために与えられた式が少しややこしい形なので、対数の性質を使って変形していきます。

\begin{eqnarray} &&2\log_{10} (a+2b) = \log_{10} a+\log_{10} b+1\\ &&\log_{10} {(a+2b)^2} = \log_{10} a+\log_{10} b+\log_{10} 10\\ &&\log_{10} {(a+2b)^2} = \log_{10} {(10ab)}\\ \end{eqnarray}

ということは、\( (a+2b)^2 = 10ab \)が成り立ちます。よって、
\( a^2+4ab+4b^2 = 10ab \)
\( a^2-6ab+4b^2 = 0 \)

この両辺を$b^2$で割ると、
\( \displaystyle \left(\frac{a}{b}\right)^2-6\left(\frac{a}{b}\right)+4 = 0 \)
\( \displaystyle \frac{a}{b} = A \)とおくと、\( A^2-6A+4 = 0 \)という二次方程式になります。

これを解の公式を使って解くと、\( A = 3±\sqrt{5} \)
ただし、\( a>b>0 \)より、\( \displaystyle \frac{a}{b}>1 \)ですから、\( 3-\sqrt{5} \)は不適ということになります。
よって、\( \displaystyle A = \frac{a}{b} = 3+\sqrt{5} \)

これを利用して\( \displaystyle \frac{a^2}{a^2+2b^2} \)を考えてみましょう。分母と分子両方とも$b^2$で割ると、

\begin{eqnarray} &&\displaystyle \frac{a^2}{a^2+2b^2}\\ &&\displaystyle = \frac{\displaystyle\left(\frac{a}{b}\right)^2}{\displaystyle\left(\frac{a}{b}\right)^2+2}\\ &&\displaystyle = \frac{(3+\sqrt{5})^2}{(3+\sqrt{5})^2+2}\\ &&\displaystyle = \frac{9+6\sqrt{5}+5}{9+6\sqrt{5}+5+2}\\ &&\displaystyle = \frac{14+6\sqrt{5}}{16+6\sqrt{5}}\\ &&\displaystyle = \frac{7+3\sqrt{5}}{8+3\sqrt{5}}\\ &&\displaystyle = \frac{(7+3\sqrt{5})(8-3\sqrt{5})}{(8+3\sqrt{5})(8-3\sqrt{5})}\\ &&\displaystyle = \frac{56-21\sqrt{5}+24\sqrt{5}-45}{64-45}\\ &&\displaystyle = \frac{11+3\sqrt{5}}{19}\\ \end{eqnarray}

(4)ここでも累乗を使った形で式が与えられているので、対数を使った形にしてみましょう。\( \sqrt[4] {6} \)というのがあるので、6を底に対数をとると、
\( \log_{6} {2^x} = \log_{6} {3^y} = \log_{6} {24^z} = \log_{6} {\sqrt[4] {6}} \)
\( x\log_{6} 2 = y\log_{6} 3 = z\log_{6} 24 = \log_{6} {6^{\frac{1}{4}}} \)
\( \displaystyle x\log_{6} 2 = y\log_{6} 3 = z\log_{6} 24 = \frac{1}{4}\log_{6} 6 = \frac{1}{4} \)

問題を解くうえで必要なのは\( \displaystyle \frac{1}{x} \)や\( \displaystyle \frac{1}{y} \)ですが、この式より、\( \displaystyle x\log_{6} 2 = \frac{1}{4} \)なので\( \displaystyle \frac{1}{x} = 4\log_{6} 2 \),\( \displaystyle y\log_{6} 3 = \frac{1}{4} \)なので\( \displaystyle \frac{1}{y} = 4\log_{6} 3 \)とわかります。

これより、
\( \displaystyle \frac{1}{x}+\frac{1}{y} \)
\( = 4\log_{6} 2+4\log_{6} 3 \)
\( = 4(\log_{6} 2+\log_{6} 3) \)
\( = 4\log_{6} {(2・3)} \)
\( = 4\log_{6} 6 = 4 \)

そして、\( \displaystyle z\log_{6} 24 = \frac{1}{4} \)なので\( \displaystyle \frac{1}{z} = 4\log_{6} 24 \)ですから、
\( \displaystyle \frac{1}{x}-\frac{1}{y}-\frac{1}{z} \)
\( = 4\log_{6} 2-4\log_{6} 3-4\log_{6} 24 \)
\( = 4(\log_{6} 2-\log_{6} 3-\log_{6} 24) \)
\( \displaystyle = 4\left(\log_{6} {\frac{2}{3}}-\log_{6} 24\right) \)
\( \displaystyle = 4\log_{6} {\frac{2}{3・24}} \)
\( \displaystyle = 4\log_{6} {\frac{1}{36}} \)
\( \displaystyle = 4\log_{6} {\frac{1}{6^2}} \)
\( = 4\log_{6} {6^{-2}} \)
= 4・(-2) = -8

(別解)

対数を使った形にせず、累乗を使った式をそのまま利用するという方法もあります。
\( 2^x = 3^y = 24^z = \sqrt[4] {6} \)なので、\( 2^x = 6^{\frac{1}{4}} \)より、\( 2^{4x} = 6 \)だから、\( 2^4 = 6^{\frac{1}{x}} \)

同様に、\( 3^y = 6^{\frac{1}{4}} \)より、\( 3^4 = 6^{\frac{1}{y}} \)
\( 24^z = 6^{\frac{1}{4}} \)より、\( 24^4 = 6^{\frac{1}{z}} \)です。

よって、
\( 6^{\frac{1}{x}+\frac{1}{y}} = 6^{\frac{1}{x}}・6^{\frac{1}{y}} = 2^4・3^4 = 6^4 \)
より、\( \displaystyle \frac{1}{x}+\frac{1}{y} = 4 \)

そして、\( 6^{\frac{1}{x}-\frac{1}{y}-\frac{1}{z}} \)は、
\( = 6^{\frac{1}{x}}・(6^{\frac{1}{y}})^{-1}・(6^{\frac{1}{z}})^{-1} \)
\( = 2^4・(3^4)^{-1}・(24^4)^{-1} \)
\( \displaystyle = \left(\frac{2}{3・24}\right)^4 \)
\( \displaystyle = \left(\frac{1}{36}\right)^4 \)
\( = (6^{-2})^4 = 6^{-8} \)

これより、\( \displaystyle \frac{1}{x}-\frac{1}{y}-\frac{1}{z} = -8 \)です。

答え.
(1)\( \log_{10} 72 = 3a+2b \),\( \displaystyle \log_{12} \sqrt[3] {96} = \frac{5a+b}{3(2a+b)} \)
(2)\( \log_{5} 72 = 3a+2b \),\( \log_{5} {1.35} = 3b-2a-1 \)
(3)\( \displaystyle \frac{a}{b} = 3+\sqrt{5} \),\( \displaystyle \frac{a^2}{a^2+2b^2} = \frac{11+3\sqrt{5}}{19} \)
(4)ア 4   イ -8