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この問題のポイント

第n項までの和から第(n-1)項までの和をひけば、an(=一般項)が求まる!
n = 1のときとn≧2のときで場合分けして考えるのを忘れずに!

(1)\( \displaystyle \sum_{k=1}^n a_k \)を求めるということは、\( a_1+a_2+a_3+…+a_n \)を求めるということですね?
でも、問題文で実際に与えられている式は\( a_n+2a_{n-1}+3a_{n-2}+…+na_1 \)とよけいな係数が入っているので、求めたい形の式をつくりあげていく必要があります。

問題文にあるとおり、$n≧1$において、
\( \displaystyle \frac{n(n+1)}{2}b_n = a_n+2a_{n-1}+3a_{n-2}+…+na_1 \) \( \displaystyle \frac{n(n+1)}{2}b_n \\ = a_n+2a_{n-1}+3a_{n-2}+…+na_1 \)
この式を①とおきます。

問題文で「$b_{n-1}$を用いて」とあるので、①の$n$のところを$n-1$($n≧2$)に置き換えると、
\( \displaystyle \frac{n(n-1)}{2}b_{n-1} = a_{n-1}+2a_{n-2}+3a_{n-3}+…+(n-1)a_1 \) \( \displaystyle \frac{n(n-1)}{2}b_{n-1} \\ = a_{n-1}+2a_{n-2}+3a_{n-3}+…+(n-1)a_1 \)
この式を②とおきます。

$n≧2$のとき、①から②を辺々引くと、
\( \displaystyle \frac{n(n+1)}{2}b_n-\frac{n(n-1)}{2}b_{n-1} = a_n+a_{n-1}+a_{n-2}+…+a_1 \) \( \displaystyle \frac{n(n+1)}{2}b_n-\frac{n(n-1)}{2}b_{n-1} \\ = a_n+a_{n-1}+a_{n-2}+…+a_1 \)
つまり、\( \displaystyle \frac{n(n+1)}{2}b_n-\frac{n(n-1)}{2}b_{n-1} = a_1+a_2+…+a_{n-1}+a_n \) \( \displaystyle \frac{n(n+1)}{2}b_n-\frac{n(n-1)}{2}b_{n-1} \\ = a_1+a_2+…+a_{n-1}+a_n \)

ちょうど右辺が\( \displaystyle \sum_{k=1}^n a_k \)の意味することと同じ式になりました。
よって、\( \displaystyle \sum_{k=1}^n a_k = \frac{n(n+1)}{2}b_n-\frac{n(n-1)}{2}b_{n-1} \)

(2)さっきの(1)で求めた\( \displaystyle \sum_{k=1}^n a_k \)は、数列$\{a_n\}$の和ですね?数列の和が求まっている場合、そこから一般項を求めることができます。

$n≧2$のとき\( a_n = S_n-S_{n-1} \)
(要するに、第1項から第$n$項まで足したものから、第1項から第$(n-1)$項まで足したものを引くということ。そういう計算をすると、第$n$項だけが残る。)

$n = 1$のとき\( a_1 = S_1 \)

これを利用するために、(1)で求めた\( \displaystyle \sum_{k=1}^n a_k \)を$S_n$とおいて、その式を考えましょう。

$\{b_n\}$は初項が$p$,公差が$q$の等差数列なので、
\( b_n = p+(n-1)・q \),\( b_{n-1} = p+(n-2)・q \)です。
よって、$n≧2$のとき、

\begin{eqnarray} &&S_n\\ &&= \frac{n(n+1)}{2}\{p+(n-1)・q\}-\frac{n(n-1)}{2}\{p+(n-2)・q\}\\ &&= \frac{n(n+1)}{2}p+\frac{n(n+1)(n-1)}{2}q-\frac{n(n-1)}{2}p-\frac{n(n-1)(n-2)}{2}q\\ &&= \frac{n(n+1)-n(n-1)}{2}p+\frac{n(n+1)(n-1)-n(n-1)(n-2)}{2}q\\ &&= \frac{n^2+n-n^2+n}{2}p+\frac{n(n-1)\{(n+1)-(n-2)\}}{2}q\\ &&= np+\frac{3n(n-1)}{2}q\\ \end{eqnarray}

\begin{eqnarray} &&S_n\\ &&= \frac{n(n+1)}{2}\{p+(n-1)・q\}\\ &&~~~~-\frac{n(n-1)}{2}\{p+(n-2)・q\}\\ &&= \frac{n(n+1)}{2}p+\frac{n(n+1)(n-1)}{2}q\\ &&~~~~-\frac{n(n-1)}{2}p-\frac{n(n-1)(n-2)}{2}q\\ &&= \frac{n(n+1)-n(n-1)}{2}p\\ &&~~~~+\frac{n(n+1)(n-1)-n(n-1)(n-2)}{2}q\\ &&= \frac{n^2+n-n^2+n}{2}p\\ &&~~~~+\frac{n(n-1)\{(n+1)-(n-2)\}}{2}q\\ &&= np+\frac{3n(n-1)}{2}q\\ \end{eqnarray}

ここで、\( \displaystyle S_1 = a_1 = \frac{1・(1+1)}{2}b_1 = p \)ですから、\( \displaystyle S_n = np+\frac{3n(n-1)}{2}q \)という式は、$n = 1$のときも成立します。
このように、数列の和から一般項を求めるときは、$n≧2$のときに求めたものが$n = 1$を代入したときも成り立つか調べる形で、$n≧2$のときと$n = 1$のときで場合分けして考える必要があります

これで$S_n$が求まりましたから、$n≧2$のとき、

\begin{eqnarray} &&a_n = S_n-S_{n-1}\\ &&= np+\frac{3n(n-1)}{2}q-\left\{(n-1)p+\frac{3(n-1)(n-2)}{2}q\right\}\\ &&= np+\frac{3n(n-1)}{2}q-(n-1)p-\frac{3(n-1)(n-2)}{2}q\\ &&= p+\frac{3n(n-1)-3(n-1)(n-2)}{2}q\\ &&= p+\frac{3(n-1)\{n-(n-2)\}}{2}q\\ &&= p+\frac{6(n-1)}{2}q\\ &&= p+3(n-1)q\\ \end{eqnarray}

\begin{eqnarray} &&a_n = S_n-S_{n-1}\\ &&= np+\frac{3n(n-1)}{2}q\\ &&~~~~-\left\{(n-1)p+\frac{3(n-1)(n-2)}{2}q\right\}\\ &&= np+\frac{3n(n-1)}{2}q\\ &&~~~~-(n-1)p-\frac{3(n-1)(n-2)}{2}q\\ &&= p+\frac{3n(n-1)-3(n-1)(n-2)}{2}q\\ &&= p+\frac{3(n-1)\{n-(n-2)\}}{2}q\\ &&= p+\frac{6(n-1)}{2}q\\ &&= p+3(n-1)q\\ \end{eqnarray}

$n = 1$のときはどうかを確認します。さきほど、$S_n$の式を求めたときに\( S_1 = a_1 = p \)だと確認しました。\( a_n = p+3(n-1)q \)は、この式に$n = 1$を代入すると、\( a_1 = p+3(1-1)q = p \)となるので、$n = 1$のときにも成立するとわかります。

よって、\( a_n = p+3(n-1)q \)です。

答え.
(1)\( \displaystyle \sum_{k=1}^n a_k = \frac{n(n+1)}{2}b_n-\frac{n(n-1)}{2}b_{n-1} \)
(2)\( a_n = p+3(n-1)q \)