この問題のポイント
微分係数の式が利用できるように、与えられた式を変形する!
(1)g′(x)=limh→0g(x+h)−g(x)hという式が与えられているわけですから、これを利用して解いていきましょう。g(x)=xf(x)なんですから、上の式をf(x)を使った形に書き換えると、
g′(x)
=limh→0g(x+h)−g(x)h
=limh→0(x+h)f(x+h)−xf(x)h
もしこの式で−xf(x)の部分が−(x+h)f(x)となっていれば、(x+h)をくくりだすと分子の部分はf(x+h)−f(x)となり、limh→0f(x+h)−f(x)hという形になってf′(x)とすることができますが、実際はそうなっていません。そこで、−(x+h)f(x)という部分を作り出していきます。もちろん、勝手にそうするわけにはいきません。
そこで、分子の式を(x+h)f(x+h)−(x+h)f(x)+(x+h)f(x)_−xf(x)と変形します。すると、このようにできます。
g′(x)
=limh→0{(x+h)×f(x+h)−f(x)h+(x+h−x)f(x)h}
=limh→0{(x+h)×f(x+h)−f(x)h+hf(x)h}
=limh→0{(x+h)×f(x+h)−f(x)h+f(x)}
g′(x)
=limh→0{(x+h)×f(x+h)−f(x)h+(x+h−x)f(x)h}
=limh→0{(x+h)×f(x+h)−f(x)h+hf(x)h}
=limh→0{(x+h)×f(x+h)−f(x)h+f(x)}
これでlimh→0f(x+h)−f(x)hが使えます。
さらに、h→0なのでhは限りなく0に近づくということですから、式にh=0を代入すると、
limh→0{(x+h)×f(x+h)−f(x)h+f(x)}
=x×f′(x)+f(x)
これより、g′(x)=xf′(x)+f(x)が成立します。
解答のチェックポイント
- 与えられた導関数の定義を利用して証明しているか
- g(x)をf(x)を使った形に変形して証明を進めているか
- limの式内にある分数を2つに分けた形に変形することができているか
(2)[1]n=1のとき
g(x)=xなので、
g′(x)
=limh→0g(x+h)−g(x)h
=limh→0x+h−xh
=limh→0hh
=limh→01
= 1
また、nxn−1は、n=1のとき、
1×x1−1
=1×x0
= 1×1
= 1
よって、n=1のとき、g′(x)=nxn−1は成立します。
[2]n=k(kは自然数)のとき、g(x)=xkならばg′(x)=kxk−1が成り立つ(①)と仮定します。
n=k+1のとき、g(x)=xk+1とすると、g(x)=x・xkであり、xk=f(x)とおくと、①より、f′(x)=kxk−1となります。
ここで、(1)で証明した式を利用すると、
g′(x)
=xf′(x)+f(x)
=x・kxk−1+xk
=kxk+xk
=(k+1)xk
よって、g(x)=xk+1のとき、g′(x)=(k+1)xkとなるので、g(x)=xnのとき、g′(x)=nxn−1を満たします。
[1]、[2]より、すべての自然数nにおいて、g(x)=xnのときg′(x)=nxn−1が成立します。
解答のチェックポイント
- 問題文に指定されているとおり、数学的帰納法を使って証明しているか
- g(x)内の一部をf(x)に置き換えて(1)で証明した式を利用しているか