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この問題のポイント

値とその値をとる確率をかけたものをすべて足して求めたのが期待値!

(1)\( \displaystyle \frac{1}{9} = \frac{4}{36} \)の確率で出る目の数を$a$とし、その反対側の目の数を$b$とすると、$b$の目が出る確率は$a$の目が出る確率と同じになります。また、\( \displaystyle \frac{1}{4} = \frac{9}{36} \)の確率で出る目の数を$c$とし、その反対側の目の数を$d$とすると、$d$の目が出る確率も$c$の目が出る確率と同じです。

よって、残り2つの目($e$と$f$とおきます)が出る確率はそれぞれ、
\( \displaystyle \left(1-2・\frac{4}{36}-2・\frac{9}{36}\right)÷2 = \frac{5}{36} \)

ここで、問題文の条件に期待値というのがあります。期待値とは、確率を考慮して平均するとどれほどの値になるかを示したもので、それぞれの値に確率をかけて、すべて足すと求まります

たとえば、この問題の場合、$a$の値は\( \displaystyle \frac{4}{36} \),$b$の値は\( \displaystyle \frac{4}{36} \),$c$の値は\( \displaystyle \frac{9}{36} \),…のような確率で出ますから、期待値は次のように求まります。
\( \displaystyle a・\frac{4}{36}+b・\frac{4}{36}+c・\frac{9}{36}+d・\frac{9}{36}+e・\frac{5}{36}+f・\frac{5}{36} \)
\( \displaystyle a・\frac{4}{36}+b・\frac{4}{36}+c・\frac{9}{36} \\ ~~~~\displaystyle +d・\frac{9}{36}+e・\frac{5}{36}+f・\frac{5}{36} \)
\( \displaystyle = (a+b)・\frac{4}{36}+(c+d)・\frac{9}{36}+(e+f)・\frac{5}{36} \)

この値が3だと問題文にありますね?そして、ここで$a+b = l$,$c+d = m$,$e+f = n$とすると、
\( \displaystyle \frac{4}{36}l+\frac{9}{36}m+\frac{5}{36}n = 3 \)
\( 4l+9m+5n = 108 \) …Aとおけます。

さらに、$a$から$f$はサイコロの目の1から6までの数字ですから全部足すと21のはずです。ということは、
\( l+m+n = 21 \) …Bですね。
ここで、3種類の文字があると考えにくいので、A-B×4で$l$を消去すると\( 5m+n = 24 \) …C

$m$や$n$はサイコロの目の数字のうちどれか2つを足した値でしたから、一番小さいと考えられる値は1と2を足した3,一番大きいと考えられる値は5と6を足した11です。
つまり、$m$や$n$は3から11までの自然数となり、その条件でCが成り立つ\( (m,n) \)は(3,9),(4,4)です。

しかし、サイコロの目の2つの和が4になるのは(1,3)の1組しかないので、\( (m,n) = (4,4) \)となることはありえません。
よって、\( (m,n) = (3,9) \)であり、Bより、\( (l,m,n) = (9,3,9) \)とわかります。

サイコロの目の2つの和が3になるのは(1,2)だけであり、そもそも$n = c+d$とおいていたんですから、$c$と$d$は1と2のどちらかです。
なので、3,4,5,6の目で、2つの和が9になる組み合わせを2つ考えることが必要となりますが、その2組とは(3,6),(4,5)となりますね?

以上より、反対側どうしにある目の組み合わせは、(1,2),(3,6),(4,5)となるので、3の面の反対側にあるのは6の面です。

(2)① Aがグー,チョキ,パーを出す確率をそれぞれ$p$,$q$,$r$とします。ちなみに、じゃんけんではこの3つのうちのどれかしか出せませんから、$p+q+r = 1$が成り立ちます。
Bはグー,チョキ,パーを等しい確率で出すので、それぞれの確率は\( \displaystyle \frac{1}{3} \)です。

1回じゃんけんをして、Aの進む歩数からBの進む歩数を引いた値を$X$とします。$X$の値について、考えられるものは以下ですべてとなりますね?

Aの出したもの

Bの出したもの

$X$

確率

グー

チョキ

3

\( \displaystyle \frac{1}{3}p \)

グー

パー

-6

\( \displaystyle \frac{1}{3}p \)

チョキ

グー

-3

\( \displaystyle \frac{1}{3}q \)

チョキ

パー

5

\( \displaystyle \frac{1}{3}q \)

パー

グー

6

\( \displaystyle \frac{1}{3}r \)

パー

チョキ

-5

\( \displaystyle \frac{1}{3}r \)

(※あいこの場合もありますが、そのときは$X = 0$となるので省いて問題ありません。)

よって、期待値$E$は、
\( \displaystyle 3・\frac{1}{3}p-6・\frac{1}{3}p-3・\frac{1}{3}q+5・\frac{1}{3}q+6・\frac{1}{3}r-5・\frac{1}{3}r \)
\( \displaystyle 3・\frac{1}{3}p-6・\frac{1}{3}p-3・\frac{1}{3}q+5・\frac{1}{3}q \\ ~~~~\displaystyle +6・\frac{1}{3}r-5・\frac{1}{3}r \)
\( \displaystyle = -p+\frac{2}{3}q+\frac{1}{3}r \)
\( \displaystyle = \frac{1}{3}(-3p+2q+r) \)

$p+q+r = 1$より、$r = 1-p-q$ …㋐なので、
\( \displaystyle = \frac{1}{3}(-3p+2q+1-p-q) \)
\( \displaystyle = \frac{1}{3}(-4p+q+1) \)
\( \displaystyle = 1+\frac{1}{3}q-\frac{4}{3}p \)

これが$E$の値ということになりますが、これが最大になるには、負の数になる部分がなくなり、かつ正の数になる部分が最大値をとる必要があります。そのようになるには、$p = 0$,$q = 1$となればいいですね。
そのときの$r$の値は㋐より、$r = 0$です。

よって、Aはグーを出す確率が0,チョキを出す確率が1,パーを出す確率が0にすれば(つまりチョキだけを出すようにすれば)、$E$の値は最大となります。

② さっきの①と同じように、1回じゃんけんをして、Aの進む歩数からBの進む歩数を引いた値を$X$として、その値が何になるかを考えてみましょう。この問題では、Bがグー,チョキ,パーを出す確率全部が等しいわけではありませんから、それに注意して考えると、このようになります。

Aの出したもの

Bの出したもの

$X$

確率

グー

チョキ

3

$pb$

グー

パー

-6

$pc$

チョキ

グー

-3

$qa$

チョキ

パー

5

$qc$

パー

グー

6

$ra$

パー

チョキ

-5

$rb$

よって、期待値$E$は、
\( 3pb-6pc-3qa+5qc+6ra-5rb \)
\( = (6r-3q)a+(3p-5r)b+(5q-6p)c \)

これより、$E≧0$となるには、
\( 6r-3q≧0 \) …㋑
\( 3p-5r≧0 \) …㋒
\( 5q-6p≧0 \) …㋓
のすべてが成り立つ必要があります。

ここで、㋑より\( \displaystyle r≧\frac{1}{2}q \)
すると、㋒より\( \displaystyle 3p≧5r≧5・\frac{1}{2}q = \frac{5}{2}q \)
\( ∴6p≧5q \)

しかし、㋓より\( 6p≦5q \)なので、これも成立する必要があることから、\( 6p = 5q \) …㋔といえます。

同様に、㋒より\( \displaystyle p≧\frac{5}{3}r \)
すると、㋓より\( \displaystyle 5q≧6p≧6・\frac{5}{3}r = 10r \)なので\( q≧2r \)
しかし、㋑より\( q≦2r \)でもあるので、結局\( q = 2r \) …㋕です。

また、㋓より\( \displaystyle q≧\frac{6}{5}p \)
すると、㋑より\( \displaystyle 6r≧3q≧3・\frac{6}{5}p = \frac{18}{5}p \)なので\( \displaystyle r≧\frac{3}{5}p \)
しかし、㋒より\( \displaystyle r≦\frac{3}{5}p \)でもあるので、結局\( \displaystyle r = \frac{3}{5}p \) …㋖です。

㋖より、\( \displaystyle p = \frac{5}{3}r \) …㋗
さっきの①でもふれたとおり、$p+q+r = 1$ですから、㋕と㋗より、
\( \displaystyle \frac{5}{3}r+2r+r = 1 \)
\( \displaystyle \frac{14}{3}r = 1 \)
\( \displaystyle ∴r = \frac{3}{14} \)

これを㋕に代入して、\( \displaystyle q = 2・\frac{3}{14} = \frac{3}{7} \)
さらにこれを㋔に代入して、\( \displaystyle 6p = 5・\frac{3}{7} = \frac{15}{7} \)なので、\( \displaystyle p = \frac{5}{14} \)

つまり、Aはグーを\( \displaystyle \frac{5}{14} \),チョキを\( \displaystyle \frac{3}{7} \),パーを\( \displaystyle \frac{3}{14} \)の確率で出せば$E≧0$となります。
(または、グー,チョキ,パーを\( \displaystyle \frac{5}{14}:\frac{3}{7}:\frac{3}{14} = 5:6:3 \)の確率の比で出すと答えてもOKです。)

答え.
(1)
6
(2)
① グーを出す確率0,チョキを出す確率1,パーを出す確率0で出す(チョキだけを出してそれ以外は出さない)
② グーを\( \displaystyle \frac{5}{14} \),チョキを\( \displaystyle \frac{3}{7} \),パーを\( \displaystyle \frac{3}{14} \)の確率で出す(グー,チョキ,パーの確率の比を5:6:3で出す)