この問題のポイント
「pならばq」の対偶は「qでないならばpではない」
もとの命題と対偶は真偽が一致する!
(1)この問題文は「●●ならば▲▲」という形で出題されていますが、そのような問題について対偶を利用するという方法があります。もとの命題が真ならば対偶も真、もとの命題が偽ならば対偶も偽ともとの命題と対偶は真偽が一致するからです。
ちなみに、「\( p \Rightarrow q \)」という命題(正しいか正しくないかがはっきり定まる文や式)があり、それに対して「\( \overline{q}\Rightarrow\overline{p} \)」の形の命題が対偶です。この問題文の場合では、「\( ab≧50 \)」が$p$、「$a$,$b$のうち少なくとも1つは[ ]以上」が$q$にあたると考えれば、対偶は、
「$a$と$b$の両方とも[ ]未満ならば\( ab<50 \)」
です。このように、もとの命題の結論($q$の部分)に「少なくとも1つの~」や「または」「~でない」があるときは対偶をとると考えやすくなることが多いです。
あとは[ ]に数をあてはめて考えればよいでしょう。
[ ]に7が入れば$a$も$b$も最大で6だから、$6^2$ = 36<50で成り立つ
[ ]に8が入れば$a$も$b$も最大で7だから、$7^2$ = 49<50で成り立つ
[ ]に9が入れば$a$も$b$も最大で8だから、$8^2$ = 64>50で成り立たない
よって、[ ]に入れることができる最大の数は8ということになります。つまり、もとの命題について、\( ab≧50 \)ならば、$a$,$b$のうち少なくとも1つは8以上ということになります。
(別解)
数学Ⅱの範囲になりますが、相加平均・相乗平均の関係を使って考えることもできます。
$a$,$b$は正の数なので、\( \displaystyle \frac{a+b}{2}≧\sqrt{ab} \)が成り立ちます。
\( ab≧50 \)より、\( \displaystyle \frac{a+b}{2}≧\sqrt{50} = 5\sqrt{2} \)と考えると、これは$a$と$b$の平均が\( 5\sqrt{2} \)(およそ7.07)以上になることを表しているわけなので、$a$,$b$の少なくとも1つは8以上だと推測できます。
実際、$a$と$b$の両方が7以下だと仮定すると$ab≦49$となるので、\( ab≧50 \)であることに矛盾します。このようにして、[ ]に入るのが8だと考えることもできます。
(2)命題の結論に「少なくとも1つの~」があるので、さっきの(1)と同じように対偶をとって考えてみましょう。
命題Aの対偶をA'とすると、命題A'は
「$a$,$b$,$c$すべてが9以下ならば、\( abc<k \)である」
命題Bの対偶をB'とすると、命題B'は
「$a$,$b$,$c$すべてが11以上ならば、\( abc>k \)である」
A'とB'がともに真となるような$k$を求めればよいことになります。
命題A'について、$9^3$は729なので、$abc$は最大でも729ということになるから、A'を満たす$k$の最小値は730です。
命題B'について、$11^3$は1331なので、$abc$は最小でも1331ということになるから、B'を満たす$k$の最大値は1330です。
以上より、命題A'とB'がともに真となる$k$の最小値は730,最大値は1330です。
対偶が真ですので、命題AとBがともに真となる$k$も最小値は730,最大値は1330です。
答え.
(1)8
(2)最大値 1330 最小値 730