この問題のポイント
向かい合う角の角度の合計が180度なら、その四角形は円に内接する!
三角形で2つの角の大小はその向かい合う辺の長短と一致する!
(1)〈指針〉
四角形$ABCD$を図にすると右のようになります。\( CD = DA = AC \)なので、$△ACD$は正三角形ということがわかります。よって、$∠DAC$,$∠DCA$,$∠ADC$も60°ということがわかりますが、この程度のことまでしかわかりません。
この問題で証明しなければならない結論をよく見ると、辺の長さを比べるものとなっています。辺の長短についての定理として、次のようなものがあります。これが使えないかを考えてみましょう。
三角形において、大きい辺に対する角は、小さい辺に対する角より大きい。
大きい角に対する辺は、小さい角に対する辺より長い。
(要するに、辺の長さが大きければそれに対する角も大きく、その逆も成り立つ。)
$AB$に向かい合う角は$∠ADB$で、$BD$に向かい合う角は$∠BAD$です。どちらも$△ACD$の1つの角が関係しています。その角との関係を使いながら、$∠ADB$が$∠BAD$より小さいことを示すといいでしょう。
〈証明〉
\( CD = DA = AC \)より、$△ACD$は正三角形なので、\( ∠ADC = ∠DAC = 60° \)
ここで、
\( ∠ADB = ∠ADC-∠CDB = 60°-∠CDB \)
\( ∠BAD = ∠DAC+∠BAC = 60°+∠BAC \)
これより、\( ∠ADB<∠BAD \)
$AB$に向かい合う角は$∠ADB$で、$BD$に向かい合う角は$∠BAD$なので、\( AB<BD \)
解答のチェックポイント
- 角の大小はその向かい合う辺の長短と一致する性質を利用しているか
- $∠ADB$は60°より小さく、$∠BAD$は60°より大きいことを示しているか
(2)$△ACD$は正三角形なので、$∠ADC$ = 60°ですが、$∠ABC$ = 120°ですから、この2つの角をたすと180°です。ということは、この四角形$ABCD$は円に内接することがわかります。なぜなら、このような定理があるからです。
1.円に内接する四角形では、向かい合う内角の和は180°である。 …A
また、向かい合う角の和が180°ならば、その四角形には外接円が存在する。(つまり、Aの逆が成立する。)
2.円に内接する四角形では、四角形の内角は、その向かい合う角の外角と等しい。
つまり、1.を根拠に四角形$ABCD$は円に内接するとわかるのですが、これに気づけるかどうかがポイントになります。
右の図のように円に内接することになりますが、円に内接しているということは、円周角の性質などを使って考えることができるということになります。つまり、どちらも弧$AD$の円周角ですから、●で示されているとおり、
\( ∠ACD = ∠ABD = 60° \)
そして、\( AB = BE \)なんですから、$△ABE$は二等辺三角形とわかりますから、
\( ∠BAE = ∠BEA \)
ここで、$∠ABE$ = 60°より、$∠BAE$と$∠BEA$はそれぞれ、
(180°-60°)÷2 = 60°
よって、$∠BAE$ = 60°とわかり、同時に$△ABE$は実は正三角形だということもわかりました。
(3)〈指針〉
\( AB = BE \)ということはわかっていますから、$BC$と$ED$が等しいということがわかれば証明ができそうです。
中学数学で、「この辺とこの辺が等しい」ということを証明する方法で一番多かったのが、三角形の合同を利用して証明するというものでしたね?(2)の解説の図を見ると、三角形が多くあるので、その方法が使えそうだと考えてみましょう。
すると、$△ABC$と$△AED$の合同を証明できれば\( BC = ED \)が証明できそうだと考えられます。それを使って\( AB+BC = BD \)を証明するとよいでしょう。
〈証明〉
$△ABC$と$△AED$において、
仮定より、\( AC = AD \)…①
\( AB = BE \)で$∠BAE$ = 60°なので、$△ABE$は正三角形といえるので、\( AB = AE \)…②
ここで、$AC$と$BD$の交点を$F$とすると、
\( ∠BAC = ∠BAE-∠EAF = 60°-∠EAF \)…③
\( ∠EAD = ∠DAC-∠EAF = 60°-∠EAF \)…④
③,④より、\( ∠BAC = ∠EAD \)…⑤
①,②,⑤より、2辺とその間の角がそれぞれ等しいので、$△ABC$≡$△AED$
よって、\( BC = ED \)
よって、\( AB+BC = BE+ED = BD \)
答え.
(1)(上の〈証明〉参照)
(2)60°
(3)(上の〈証明〉参照)