この問題のポイント
整数をmで割った余りについての証明には、整数をmk,mk+1,mk+2,…,mk+(m-1)で場合分けする方法がある!
(1)〈指針〉
この問題は余りについての証明ですが、余りについての証明方法にはいくつかのパターンがあります。そのひとつにあるのが「この問題のポイント」にある方法です。これを利用することを考えてみましょう。
この問題の場合は、3で割った余りについての証明ですが、整数を3で割った余りは0か1か2です。なので、整数$a$はそのうちのどれかに必ずあてはまりますから、整数$a$は$3n$,$3n+1$,$3n+2$のどれかとしてあらわすことができます。これの$a^2$がどのような式になるかを求め、変形していくとよいでしょう。
〈証明〉
$n$を整数とする。
[1] \( a = 3n \)の場合
$a^2$
\( = (3n)^2 \)
\( = 9n^2 \)
であり、余りは0である。
[2] \( a = 3n+1 \)の場合
$a^2$
\( = (3n+1)^2 \)
\( = 9n^2+6n+1 \)
\( = 3(3n^2+2n)+1 \)
$n$は整数より、$3n^2+2n$も整数なので、$a^2$の余りは1である。
[3] \( a = 3n+2 \)の場合
$a^2$
\( = (3n+2)^2 \)
\( = 9n^2+12n+4 \)
\( = 9n^2+12n+3+1 \)
\( = 3(3n^2+4n+1)+1 \)
$n$は整数より、$3n^2+4n+1$も整数なので、$a^2$の余りは1である。
[1]~[3]より、$a^2$を3で割った余りは0または1である。
解答のチェックポイント
- $a$を$3n$,$3n+1$,$3n+2$に場合分けして証明を進めているか
- 場合分けのそれぞれについて、$a^2$を計算して式変形しているか
(2)〈指針〉
$abc$が3の倍数ということを証明するには、$a$,$b$,$c$のどれかが3の倍数であることを証明すればいいですね。また、(1)の結果より、$a^2$,$b^2$,$c^2$の余りは0か1ということになります。
よって、$c^2$の余りが0の場合と1の場合とで場合分けして証明をして、それぞれについてどの整数が3の倍数になるかを考えます。そのときに、(1)の証明でわかった、「$●$の余りが0ならば、$●^2$の余りは0」という性質を利用すればよいでしょう。
〈証明〉
(1)より、$c^2$を3で割った余りは0か1である。
[1] $c^2$を3で割った余りが0(つまり$c^2$が3の倍数)の場合
(1)の証明より、$c^2$を3で割った余りは0となる場合は、$c$を3で割った余りが0となる場合のみである。
つまり、$c$が3の倍数となるので、これより、$abc$は3の倍数といえる。
[2] $c^2$を3で割った余りが1の場合
$a^2$,$b^2$を3で割った余りも0か1である。ところが、$a^2$も$b^2$も3で割った余りが1の場合、\( a^2+b^2 \)を3で割った余りが2となり、「$c^2$を3で割った余りが1」であることと矛盾する。
よって、$a^2$か$b^2$の一方が、3で割った余りが0であり、もう一方が、3で割った余りが1といえる。よって、$a$か$b$のいずれかが3で割った余りが0、つまり3の倍数ということになるので、この場合でも、$abc$は3の倍数といえる。
解答のチェックポイント
- (1)で証明された内容を利用しているか
- $a^2$も$b^2$も3の倍数でないなら、\( a^2+b^2 = c^2 \)が成立している前提と矛盾することを証明しているか
(3)\( 225 = 15^2 \)です。よって、(2)の式の形を使って考えることができます。しかし、$a^2$か$b^2$の一方が、3で割った余りが0、もう一方が、3で割った余りが1ということだと、(2)の証明より、\( a^2+b^2 \)は3の倍数になりません。
$15^2$は3の倍数ですが、\( a^2+b^2 \)が3の倍数になるためには、$a^2$も$b^2$も3の倍数にならなければいけません。そして、(1)の証明より、$a^2$も$b^2$も3の倍数ということは、$a$も$b$も3の倍数である必要があります。
$a^2$も$b^2$も正の整数ですから、\( 0<a^2<15^2 \)
よって、\( 0<a<15 \)
この範囲内にある3の倍数を考えればよいので、$a$の値として考えられるのは3,6,9,12です。
それぞれについて、$b$も3の倍数になるかを調べると、
\( a = 3 \)の場合
\( 3^2+b^2 = 225 \)
\( b^2 = 216 \)
\( b = 6\sqrt{6} \)となり、不適
\( a = 6 \)の場合
\( 6^2+b^2 = 225 \)
\( b^2 = 189 \)
\( b = 3\sqrt{21} \)となり、不適
\( a = 9 \)の場合
\( 9^2+b^2 = 225 \)
\( b^2 = 144 \)
\( b = 12 \)となり、$b$は3の倍数という条件と合致
\( a = 12 \)の場合
\( 12^2+b^2 = 225 \)
\( b^2 = 81 \)
\( b = 9 \)となり、$b$は3の倍数という条件と合致
よって、求める$a$,$b$の値は\( (a,b) = (9,12),(12,9) \)
答え.
(1)(上の〈証明〉参照)
(2)(上の〈証明〉参照)
(3)\( (a,b) = (9,12),(12,9) \)