この問題のポイント
正弦定理・余弦定理を使って、辺だけの等式に書き直して変形しよう!
\( \sin \)とか\( \cos \)だけで言われても実態としてピンときませんし、これだけだと式をいじって考えることもできません。
そこで正弦定理や余弦定理を使って、\( \sin \)や\( \cos \)を書き換えます。正弦定理や余弦定理をそれぞれ確認しましょう。
まず正弦定理は、
\( \displaystyle \frac{a}{\sin{A}} = \frac{b}{\sin{B}} = \frac{c}{\sin{C}} = 2R \)
($R$は外接円の半径)
一方、余弦定理は、
\( a^2 = b^2+c^2-2bc\cos{A} \)
\( b^2 = c^2+a^2-2ca\cos{B} \)
\( c^2 = a^2+b^2-2ab\cos{C} \)
これを応用して\( \sin \)や\( \cos \)を書き換えます。正弦定理を使って書き換えると、
\( \displaystyle \sin{A} = \frac{a}{2R} \),\( \displaystyle \sin{B} = \frac{b}{2R} \),\( \displaystyle \sin{C} = \frac{c}{2R} \)
余弦定理を使って書き換えると、
\( \displaystyle \cos{A} = \frac{b^2+c^2-a^2}{2bc} \)
\( \displaystyle \cos{B} = \frac{c^2+a^2-b^2}{2ca} \)
\( \displaystyle \cos{C} = \frac{a^2+b^2-c^2}{2ab} \)
これで辺を使った形に書き換えられます。このパターンの問題では\( \sin \)や\( \cos \)などの角を、辺だけを使った形に書き換えるのがポイントです。
では、その書き換えたものを代入していきましょう。すると、この2つがイコールで結ばれることとなります。
\begin{eqnarray} &&\frac{a}{2R}・\frac{b^2+c^2-a^2}{2bc}\\ &&~~~~= \frac{b}{2R}・\frac{c^2+a^2-b^2}{2ca}+\frac{c}{2R}・\frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}\\ \end{eqnarray}
これだと分母がじゃまですから、分母をはらいましょう。両辺に$4Rabc$をかけると、
\begin{eqnarray} &&a^2(b^2+c^2-a^2)\\ &&~~~~= b^2(c^2+a^2-b^2)+c^2(a^2+b^2-c^2)\\ &&a^2b^2+a^2c^2-a^4\\ &&~~~~= b^2c^2+b^2a^2-b^4+a^2c^2+c^2b^2-c^4\\ \end{eqnarray}
全部を=の左側に移して整理すると
\begin{eqnarray} &&b^4-2b^2c^2+c^4-a^4 = 0\\ &&(b^2-c^2)^2-a^4 = 0\\ &&(b^2-c^2)^2-(a^2)^2 = 0\\ \end{eqnarray}
\( A^2-B^2 = (A+B)(A-B) \)を利用して変形すると
\( (b^2-c^2+a^2)(b^2-c^2-a^2) = 0 \)
これより、\( b^2-c^2+a^2 = 0 \)または\( b^2-c^2-a^2 = 0 \)のどちらかが成り立つとわかります。
これらの式、何かの式に似ていると思いませんか?\( a^2+b^2 = c^2 \)という三平方の定理に似ていると思いませんか?これに似る形になるように変形してみましょう。
\( b^2-c^2+a^2 = 0 \)は$-c^2$を=の右側に移すと
\( b^2+a^2 = c^2 \)
\( b^2-c^2-a^2 = 0 \)は$-c^2-a^2$を=の右側に移すと
\( b^2 = a^2+c^2 \)
つまり、\( a^2+c^2 = b^2 \)
\( b^2+a^2 = c^2 \)について、$c$は$∠C$の対辺ですから、これは$∠C = 90°$の直角三角形をあらわした式となります。
同じように、\( a^2+c^2 = b^2 \)については、$b$は$∠B$の対辺なので、$∠B = 90°$の直角三角形をあらわした式となります。
というわけで、問題文の式が成り立つのは、$∠C = 90°$または$∠B = 90°$の直角三角形ということになります。
解答のチェックポイント
- 直角三角形であるということにふれているか
- $∠C = 90°$または$∠B = 90°$ということを明示しているか
(どこが直角なのかを示しているか)
補足
このパターンの問題では、答えとしては「直角三角形」「二等辺三角形」「直角二等辺三角形」のどれかが答えになります。あとは、どこが直角なのかとか、どの辺とどの辺が等しいのかを示すのがカギとなります。
$○ = △$という式になれば、その2つの辺が等しい二等辺三角形、$○^2+△^2 = □^2$という式になれば、□の対辺が直角の直角三角形となります。
さっきみたいに、辺だけを使った式にした後は、このどちらかの式(直角二等辺三角形ならば両方の式)に変形できるようになっています。