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この問題のポイント

「A→B」ならAは十分条件、「A←B」ならAは必要条件という関係をちゃんとおさえよう!

「AならばB」(矢印を使って書くと「A\( \Rightarrow \)B」)というのが成り立っているとき、AはBであるための十分条件といいます。
逆に「BならばA」(「B\( \Rightarrow \)A」、わかりやすくするために逆に書くと「A\( \Leftarrow \)B」)というのが成り立っているとき、AはBであるための必要条件といいます。

矢印の先にあたるのが必要条件だと覚えればいいでしょう。
または、「AならばB」なら「Aが成り立つにはBが必要」「Bが成り立つためにはAが成り立てば十分」という覚え方でもいいですね。

この、十分条件と必要条件のちがいに注意して証明をしていきましょう。

(1)十分条件だということだけを証明すればいいんですから、「$n-1$が7の倍数\( \Rightarrow \)$n^3-1$が7の倍数…①」ということを証明すればいいですね。
逆に、必要条件ではダメですから、逆方向の「$n^3-1$が7の倍数\( \Rightarrow \)$n-1$が7の倍数…②」は成り立たないということも証明しないといけません。

まずは①を証明することにしましょう。
$n-1$は7の倍数なんですから、\( n-1 = 7k \)($k$は0以上の整数)とおくことができます。このように、「○は△の倍数」という表現があれば、まずは○ = △×$k$とおくことが大切です

これを$n^3-1$に応用できるようにしたいわけですから、$n$に代入できるように、\( n-1 = 7k \)を変形させましょう。すると、
\( n = 7k+1 \)

これを$n^3-1$に代入して、
\( (7k+1)^3-1 \)
\( = 7^3・k^3+3・7^2・k^2+3・7・k・1^2+1^3-1 \)
\( = 343k^3+441k^2+21k \)
\( = 7(49k^3+63k^2+3k) \)

つまり、7との積の形になったので、$n^3-1$も7の倍数だとなります。よって、①は成り立つということになります。

次に、②は成り立たないということを証明しましょう。ある事柄が証明しないことを示すには、反例、つまり「この場合だと成り立ちませんよ」という例を1個示せばいいです

たとえば、\( n = 2 \)のときは、$n^3-1$は\( 2^3-1 = 7 \)で7の倍数となりますが、$n-1$は2-1 = 1ですから、これは7の倍数ではありません。
「$n^3-1$が7の倍数\( \Rightarrow \)$n-1$が7の倍数である」は成り立たないということはこれで示されました。

これで①も②も示すことができましたから、$n-1$が7の倍数であることは、$n^3-1$が7の倍数であることの十分条件だが必要条件でないと示されました。

解答のチェックポイント

(2)この問題では、十分条件となってはダメですから、「$m^2$が$n$の倍数\( \Rightarrow \)$m^2$が$n^2$の倍数…③」が成り立たないということを証明しないといけません。
逆に、必要条件だということを証明しないといけませんから、逆方向の「$m^2$が$n^2$の倍数\( \Rightarrow \)$m^2$が$n$の倍数…④」を証明すればいいですね。

では、まずは③が成り立たないということを(1)と同じように反例を使って証明しましょう。

たとえば、\( m = 4 \),\( n = 8 \)のときは、\( m^2 = 16 \)は、$n$(= 8)の倍数ではありますが、$n^2$(= 64)の倍数ではありません。③が成り立たないことは、これで示されました。

次に④が成り立つことの証明です。
(1)と同じように、○ = △×$k$の形を使いましょう。$k$は(1)で使いましたから、別の文字$l$を使うことにして、「$m^2$が$n^2$の倍数」ということを表すと、
\( m^2 = n^2・l \)

これを、$m^2$ = $n$×○という形にできればいいですよね。
ただ、もともと$n^2$というのは$n×n$のことなんですから、\( m^2 = n^2・l \)を変形すると、
\( m^2 = n・n・l \)
\( m^2 = n・(nl) \)

これで、$m^2$は$n$の倍数であることが示されましたから、④が成り立つことが証明できました。
よって、$m^2$が$n$の倍数であることは、$m^2$が$n^2$の倍数であることの必要条件ですが十分条件ではありません。

解答のチェックポイント