この問題でおさえておきたいこと
蒸散の計算では、どの試験管でどこの部分で蒸散がされていたかをおさえて計算をする!
実験ではワセリンの役割や水面に油を入れる理由に注意!
解答
🄰
(1)
①…気孔 ②…イ
(2)
6.1g
(3)
水の減少量…大きくなる
理由…(例)蒸散だけでなく水面からの水の蒸発もあるから。
🄱
(1)
AとD
(2)
ア…f-a イ…a+b-f
(3)
28.4g
重要事項のまとめ
・蒸散とは
植物は根から水を吸い上げるが、よぶんな水分は葉や茎にある気孔から水蒸気として放出する。
このはたらきを蒸散という。
気孔は孔辺細胞という細胞が開いたり閉まったりしてできるすき間であり、そこから水蒸気が出ていく。
気孔は葉の裏側に多くあるので、蒸散も葉の裏側のほうがさかんである。
水蒸気以外にも、光合成や呼吸にかかわる酸素や二酸化炭素も気孔から出入りする。
・蒸散の役割
おもな役割として次のようなものがある。
- 体内の水分量を調節する
- 植物の体温調節を助ける
- 根から水をさかんに吸収するようになる
解説
🄰
(1)①については「重要事項のまとめ」を参考にすればじゅうぶんでしょう。
②について、AとBを比べると、Aのほうが水が多く減少しています。Aは葉の表側にワセリンがぬられていますが、ワセリンをぬると気孔がふさがってその部分の蒸散が止まるので、Aでは葉の裏側でのみ蒸散をしていることになります。そのAのほうが蒸散が多いので、気孔は葉の裏側に多いと考えることができます。
(2)A~Cについて、蒸散をしているところを〇として表に整理すると、このようになります。
葉の表側 |
葉の裏側 |
茎 |
|
A |
× |
〇 |
〇 |
B |
〇 |
× |
〇 |
C |
× |
× |
〇 |
Aでは葉の裏側と茎、Bでは葉の表側と茎で蒸散がされています。この2つの水の減少量をたすと葉の両側の蒸散量を計算できますが、そうすると茎からの蒸散量が2回分計算されていることになります。よって、茎からの蒸散量のみ1回分引く必要があります。茎からの蒸散は見落としがちなので要注意ですね。
茎からの蒸散量はCの値であることが問題文にありましたから、これを利用するといいですね?よって、求める値は、
4.7+2.5-1.1 = 6.1g
(3)蒸散の実験をするときは、水面に油を入れておきます。油は水より軽いので油が水面に浮きます。すると、水面にふたがされた形になるので水面から水が蒸発するのを防ぐことができ、蒸散によって減少した水分の量をより正確に測ることができます。よって、油を入れておかないと、その水の蒸発もあり水の減少量が多くなるんです。
🄱
まず、【A】~【F】の条件をさっきの表のように整理してみましょう。
葉の表側 |
葉の裏側 |
茎 |
光 |
|
【A】 |
× |
〇 |
〇 |
〇 |
【B】 |
〇 |
× |
〇 |
〇 |
【C】 |
× |
× |
× |
〇 |
【D】 |
× |
〇 |
〇 |
× |
【E】 |
× |
× |
〇 |
× |
【F】 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
(1)調べたい条件以外の条件はすべて同じという形にしないと正しく比べたことになりません。光の条件だけがちがっていて、その他の条件がすべて同じという組み合わせはAとDなので、これが適切な組み合わせということになります。
(2)ア まず、光が当たっているときの蒸散量についてなので、光が当たっていないときの量であるdとeは使えません。よって、a,b,c,fのみで考えることとなります。
葉の表からの蒸散量が含まれているのは、b(表と茎)とf(表と裏と茎)です。このどちらかを使うことになりそうですが、aについては裏と茎の蒸散量になるわけですから、表と裏と茎の蒸散量のfから、裏と茎の蒸散量のaをひけば、表だけの蒸散量になります。よって、f-aで求まります。
イ これも光が当たっているときの蒸散量についてなので、dとeは使えません。茎からの蒸散量が含まれているのは、a(裏と茎),b(表と茎),f(表と裏と茎)ですから、これらを使って求めることができるはずです。
いったんaとbを足すと、葉の表と裏と茎2つ分の蒸散量になりますね?この値から、fをひけば、葉の表と裏の分を消去することができ、さらに茎の蒸散量についても1つ分だけにすることができます。茎からの蒸散量はこれで求まるので、a+b-fでよいということになります。
(3)aは葉の裏と茎からの蒸散量を示しています。葉の裏からは25.8g,茎からは2.6gの蒸散がされたと予想されていると問題文にあるので、
a = 25.8+2.6 = 28.4g