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この問題でおさえておきたいこと

心臓から肺を通ってまた心臓に戻るのが肺循環、全身に血液を流して心臓に戻るのが体循環!
器官を通った後の血液に何が多く含まれているのかも理解する!

解答
(1)キ
(2)肺動脈
(3)肺循環
(4)②
(5)⑬
(6)番号…⑧   血管の名前…肝門脈
(7)68.4%

重要事項のまとめ

・血管の種類

次の2種類がある。

1)動脈

心臓から出ていく血液が流れる血管。心臓から勢いよく流れ出ていくため、破れないように分厚く丈夫になっている。
とくに心臓から肺に向かう血管を肺動脈,心臓から全身に向かう血管を大動脈という。

2)静脈

心臓へ戻っていく血液が流れる血管。勢いがないため、逆流を防ぐための弁がある
とくに肺から心臓に戻る血管を肺静脈,全身から心臓に戻る血管を大静脈という。

・血液の循環

おもに次の2種類がある。

1)肺循環

心臓(右心室)から肺動脈を通って肺に行き、そこから肺静脈を通ってまた心臓(左心房)に戻るという循環である。
この循環によって肺で酸素をもらい、二酸化炭素を与える。

2)体循環

心臓(左心室)から大動脈を通って全身に向かい、そこから大静脈を通ってまた心臓(右心房)に戻るという循環である。
この循環によって肺でもらった酸素を与え、二酸化炭素や不要物をもらって排出する。

・血液の種類

次の2種類がある。

1)動脈血

酸素を多く含んでいる血液。酸素を多く含むのであざやかな赤色をしている。
(=肺を出て肺以外の全身に向かうまでの血液)

2)静脈血

二酸化炭素を多く含んでいる血液。酸素が少ないので暗い赤色をしている。
(=肺以外の全身を出て肺に着くまでの血液)

※肺静脈は肺で酸素をもらって心臓に着くまでの血管なので酸素が多い動脈血が流れています。肺動脈は心臓から肺に向かうのでまだ酸素を取り込んでいないため酸素が少ない静脈血が流れています。名前が一致していないので注意しましょう。

解説

(1)肺を通った後の血液は肺静脈を通って心臓の左心房に着き、左心房から心臓の左心室を流れて大動脈を通ることで全身へと運ばれていきます。

よって、心臓の片側だけしか通らずに全身へと流れていくことになるので、問題の図に、肺を通ったあとの血液が心臓に戻るまでの流れを書きこむと下の図のようになります。(心臓部分の色をつけた部分は血液が通るところ)

中学 理科 問題演習 血液の循環を示した模式図

これより、Aでは心臓から頭部へと向かうので左向き、Bではあしから心臓へと向かうので左向き、Cでも心臓へと向かう向きなので上向きの方向となるので、キが正解となります。

(2)「重要事項のまとめ」の説明のとおり、心臓を出て肺へと向かう血管なので肺動脈です。心臓を出る血液が流れるのが動脈、心臓へと戻る血液が流れるのが静脈です。

(3)「重要事項のまとめ」にあるとおり、心臓→肺動脈→肺→肺静脈→心臓という循環は肺循環です。心臓→大動脈→全身→大静脈→心臓という循環は体循環でしたね?

(4)肺で酸素をもらうわけなので、肺を通った直後に流れる肺静脈にある血液の酸素の割合が最も多いです。

(5)尿素は肝臓でつくられます。そのため、肝臓を通った直後である⑬の血管にある血液が、尿素の割合が最も多いです。

このように、血液の循環についての問題では、どこの臓器や器官で何がつくられるかという知識を使うものが多いです。その臓器や器官を通ったあとの血液では、そこでつくられたものを多く含むからです。

(6)デンプンは消化されるとブドウ糖になり、小腸の内側にある柔毛で吸収されます。吸収されたブドウ糖は肝門脈という血管を通って肝臓に運ばれ、肝臓内に貯蔵されたり、脂肪やタンパク質の合成に使われたりします。

(7)赤血球に含まれているもので酸素と結合するものなので、タンパク質Hとはヘモグロビンのことです。教科書にある基本的な事柄なので、今回の問題では出題されていませんが、ぜひピンときてほしいところです。ここからはタンパク質Hをヘモグロビンと記述していきます。

頭部に流入するときは95%のヘモグロビンが酸素と結合していましたが、頭部から流出したときは30%のヘモグロビンしか酸素と結合していなかったわけなので、頭部で95-30 = 65%のヘモグロビンが酸素を放出したことになります。

問題では「頭部に流入した血液に含まれる酸素のうち何%」と尋ねられていますから、分母は頭部に流入した95%のヘモグロビンにして計算しないといけないので、
\( \displaystyle \frac{65}{95}×100 \) = 68.421… ≒ 68.4%です。