この問題でおさえておきたいこと
それぞれの前線がどうやってできるのか、どういう雨を降らせるのかを理解しよう!
温暖前線・寒冷前線については、通過後にどのような変化が起こるかも要確認!
解答
(1)ウ
(2)閉そく前線
(3)ア,エ
(4)イ
(5)ア
重要事項のまとめ
・前線とは何か
大気中で温かい気団(空気のかたまり)と冷たい気団がぶつかると境界面ができる。この境界面を前線面といい、この前線面と地面が接しているところを前線という。
・前線の種類
主に4つある。
- 温暖前線…
暖気の勢力が寒気の勢力より強いときに、暖気が寒気の上にはい上がることでできる
乱層雲など横幅が長い層状の雲ができる→広範囲に長い時間、弱い雨を降らせる
通過後は暖気により風は南寄りになり、気温は上がる - 寒冷前線…
寒気の勢力が暖気の勢力より強いときに、寒気が暖気を押し上げることでできる
積乱雲ができる→せまい範囲に短時間の強い雨を降らせる
通過後は寒気により風は北寄りになり、気温は下がる - 停滞前線…
暖気の勢力と寒気の勢力がほぼ同じときにできる
勢力がほぼ同じため、あまり動かない→長期間にわたって雨が続く
6月~7月の梅雨の時期に生じる梅雨前線や、9月~10月の時期に生じる秋雨前線などがある - 閉そく前線…
寒冷前線が温暖前線に追いついたときにできる
※4つの前線それぞれは、天気図では下の記号で表されます。
解説
(1)ふつう、日本あたりに存在する低気圧で2本の前線をともなっている場合は、東側に温暖前線、西側に寒冷前線があります。そこから考えると、前線Xは温暖前線ということになるので、「重要事項のまとめ」にある説明より、ウが適切だといえます。
(2)前線Yは寒冷前線と考えられますから、「重要事項のまとめ」より、寒冷前線が温暖前線に追いつくことでできる閉そく前線が生じると予想できます。
(3)ア:地点Aは寒冷前線の近くにあります。「重要事項のまとめ」にあるとおり、積乱雲があると考えられます。
イ:地点Bは2本の前線の間にあります。その場所では前線の暖気におおわれている状態となっており、晴れていることが多いです。
ウ:地点Bは温暖前線の暖気側、地点Cは温暖前線の寒気側にあります。よって、気温が高いのは地点Bのほうです。
エ:地点Aと地点Bでは地点Bのほうが低気圧の中心に近いですから、地点Bのほうが気圧が低いと考えられます。(ただし、前線付近では周囲より気圧が低いので、地点Aのほうが気圧が低い可能性もあります)
オ:地点Aでは寒冷前線によ強い雨が、地点Cでは温暖前線により弱い雨が降っていると考えられるので、地点Aのほうが激しい雨が降っています。
カ:地点Bでは温暖前線が通過した後なので、「重要事項のまとめ」にあるとおり、南寄りの風が吹いています。
これらより、正しいと考えられる選択肢はアとエということになります。
(4)16日17時から16日22時という長時間にわたって雨が降っていたんですから、これは温暖前線による雨だと考えられます。この前線の通過後に気温が上がるはずですから、そのようなグラフになっている①が気温のグラフだと考えられます。
よって、観測地点は地点Cだと考えられますが、そこでは、温暖前線通過後に寒冷前線の影響を受けます。つまり、もう一度雨が降ることになりますが、温暖前線通過後に雨がやむと湿度は下がり、寒冷前線の通過時に雨が降るとまた湿度が上がることになります。その変化があらわれている②が湿度のグラフといえます。
残ったグラフである③が気圧のグラフです。②よりも変化のしかたがゆるやかであることも判断の根拠といえるでしょう。
(5)16日の22時から24時では、グラフを見ると気温が上がって湿度が下がっています。よって、温暖前線が通過し、雨があがったということがわかります。そして、17日の8時から10時では、グラフを見ると気温が下がって湿度が上がっています。これより、寒冷前線が通過したと考えることができます。