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この問題でおさえておきたいこと

どの大統領(政権)のときにどのような政策がとられたかを、外交政策を中心に整理しよう!

解答
設問1
(1)…封じ込め   (2)…マーシャル
(3)…巻き返し   (4)…フルシチョフ
(5)…周恩来   (6)…ウォーターゲート
(7)…スリーマイル   (8)…アフガニスタン
設問2

設問3

設問4
第五福竜丸事件
設問5

設問6

設問7

解説

設問1

(1) 「ポイントのまとめ」を参照してください。

(2) ヨーロッパ経済復興援助計画とは「ポイントのまとめ」にあるマーシャル=プランのことです。マーシャルはトルーマン政権の国務長官です。マーシャル=プランによる支援を東ヨーロッパは拒否し、西ヨーロッパは受け入れたので、西ヨーロッパ諸国は経済復興を成し遂げ、共産主義勢力の浸透も防ぎました。

(3) アイゼンハウアー政権の「巻き返し政策」とトルーマン政権の「封じ込め政策」はセットで整理するようにしましょう。また、アイゼンハウアー政権の国務長官はダレスであることも要注意なポイントです。

(4) アイゼンハウアーとフルシチョフの会談は、大統領別荘であるキャンプ=デービッドでおこなわれました。大学入試レベルでは、キャンプ=デービッドでなされた会談として①アイゼンハウアーとフルシチョフの会談、②カーターによるエジプトとイスラエルの和平交渉仲介の2つをおさえておきたいところです。

(5) 周恩来は1936年の西安事件で蒋介石を説得し、抗日民族統一戦線の結成を実現させたこともポイントです。

(6) ウォーターゲート事件は、ニクソンが再選をめざす大統領選挙におけるライバルの民主党本部に盗聴器がしかけられた事件です。これにニクソンが関与していたことが後にわかり、ニクソンは辞任に追い込まれました。任期中に辞任したアメリカ合衆国大統領は歴史上、ニクソンしかいません。

(7) かなりの難問ですが、大学入試レベルで出題される原子力発電所の事故として、①アメリカのスリーマイル島、②ソ連のチェルノブイリ原子力発電所(所在地は現在のロシアではなくウクライナ)、③日本の福島第一原子力発電所の3つをおさえましょう。

(8) 「ポイントのまとめ」にあるとおり、攻撃をされたのはアフガニスタンです。イスラーム教原理主義者の武装組織が政権を担っているアフガニスタンが、同時多発テロ事件の首謀者であるビン=ラーディンをかくまっているとして、G.W.ブッシュは攻撃に踏み切りました。

設問2

出題されているいくつかの条約について解説します。〔あ〕の部分的核実験停止条約は、地下核実験以外の核実験を禁止した条約です。地下核実験のみ禁止されていないということになるので、「部分的」となっていると理解すればよいでしょう。

〔い〕の核拡散防止条約は、核兵器を所有することができる国を米英仏中ソの5カ国に限定するとした条約です。しかし、これは「核を持てる国と持てない国を線引きする条約」と多くの国から反発を受けました。

そして、〔お〕の包括的核実験禁止条約は問題の年表にもあったとおり、1996年に国連で採択されましたが、批准している国の数が条件を満たしておらず、現時点でもまだ発効していません。

設問3

朝鮮戦争が始まり、緊急の国連安全保障理事会が開かれましたが、ソ連は中国の代表権問題で欠席をしました。したがって、ソ連は拒否権を行使することができず、安全保障理事会は北朝鮮の侵攻を「平和の破壊」と断定して国連軍を編成することとなりました。

設問4

アメリカが太平洋のビキニ環礁で水爆実験をおこなったときに、日本の漁船である第五福竜丸が死の灰(水爆実験によって発生した放射性物質)を浴びて被曝し、乗組員が死傷しました。これが第五福竜丸事件であり、国際的に原水爆禁止運動を高めたという歴史的意義を帯びた事件となりました。

設問5

①:ケネディ大統領が支援した南ヴェトナムの正式名称はヴェトナム共和国です。ヴェトナム民主共和国は北ヴェトナムの正式名称です。

②:「ポイントのまとめ」にあるとおり、この文の内容は正しいです。

③:南ヴェトナム解放民族戦線が結成されたのはヴェトナム戦争より前のことなので、ニクソン大統領時代にはすでに存在していました。よって、この文の内容は誤りです。

④:アメリカ軍をヴェトナムから撤退させたのは、「ポイントのまとめ」にあるとおり、カーター大統領ではなくニクソン大統領です。

⑤:1973年にアメリカが和平協定に調印してアメリカ軍をベトナムから撤退させます。ヴェトナム社会主義共和国は1976年に誕生します。よって、この文の内容も誤りです。

設問6

①:「ポイントのまとめ」にあるとおり、「ニューフロンティア」というスローガンがかかげられたのはケネディ大統領時代です。

②:「ポイントのまとめ」にあるとおり、「人権外交」が展開されたのはカーター大統領時代です。

③:レーガン大統領は、「小さな政府」をめざして福祉支出を削減し、新自由主義路線をとりましたから、この文の内容は正しいです。

④:レーガン大統領時代は「ポイントのまとめ」の説明にあるとおり、「双子の赤字」という状況だったので、巨大な貿易黒字はありませんでした。また、「小さな政府」をめざしたので社会福祉の充実をめざしたとはいえません。

⑤:「ポイントのまとめ」にあるとおり、「偉大な社会」というスローガンがかかげられたのはジョンソン大統領時代です。

設問7

ルーズベルト→トルーマン,ケネディ→ジョンソン,ニクソン→フォードの各組は、在任中に大統領が死去または辞任したため、副大統領が昇格して大統領になったという流れです。なので、それぞれの組において所属政党は同じです。また、G.H.W.ブッシュとG.W.ブッシュは親子なので、所属政党は同じです。

それぞれの選択肢を見ると、そのすべての条件を満たしているのは④しかありませんので、これが正解とわかります。

ポイントのまとめ

1945年~2020年までのアメリカ合衆国の政権と所属政党、政策やできごと

トルーマン

民主党

  • フェアディール(公正な扱い)を掲げ、最低賃金の引き上げ、住宅政策、社会保障の拡大を実現
  • 共産圏に対する「封じ込め政策」の推進
    (共産主義勢力から切り離すため、トルーマン=ドクトリンでギリシア・トルコの支援を発表、マーシャル=プランで西ヨーロッパを支援)
  • マッカーシズムで共産主義者を摘発
  • 1950年 朝鮮戦争の勃発

アイゼンハウアー

共和党

  • 共産圏に対する「巻き返し政策」(より積極的に攻勢する姿勢)を掲げる
  • 1953年 朝鮮戦争休戦
  • 1955年 ジュネーヴ4巨頭会談(米ソ英仏の首脳会談)に出席し、平和共存路線を共有
  • 1959年 フルシチョフが訪米

ケネディ

民主党

  • 「ニューフロンティア」政策をかかげ、貧困、差別(とくに黒人差別)の解消や教育問題に取り組む
  • 1962年 キューバ危機に対処
  • 1963年 部分的核実験停止条約(PTBT)をイギリス、ソ連とともに締結

ジョンソン

民主党

  • 「偉大な社会」をスローガンにかかげて貧困、差別の解消に取り組む
  • 1964年 公民権法を成立させ、黒人にも平等な人権を保障
  • 1965年 北ヴェトナム空爆(北爆)を始め、ヴェトナムに軍事介入(=ヴェトナム戦争開始)、その後泥沼化

ニクソン

共和党

  • 1971年 ヴェトナム戦争による財政難によりドルと金の交換を停止
  • 1972年 中国訪問、中華人民共和国を事実上認める
  • 1973年 ヴェトナム軍事撤退(=ヴェトナム戦争に敗北)
  • 1974年 ウォーターゲート事件により、アメリカ合衆国大統領ではじめて任期中に辞任

フォード

共和党

  • ソ連とのデタント(緊張緩和)を推進
  • 1975年 全欧安全保障協力会議(CSCE)を主導し、ヘルシンキ宣言をまとめる

カーター

民主党

  • 「人権外交」をかかげ、人権抑圧のある国家への経済的援助を停止
  • エジプト=イスラエル平和条約の仲介
  • 1979年 米中国交正常化

レーガン

共和党

  • 「強いアメリカ」をかかげる
    (「小さな政府」による福祉支出を削減、徹底した市場原理にゆだねた新自由主義路線をとる)
  • 財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」に悩まされる
  • 1985年 プラザ合意により、各国がドル安政策を容認
  • 1987年 中距離核戦力(INF)全廃条約をソ連と締結

G.H.W.ブッシュ(ブッシュ父)

共和党

  • 1989年 マルタ会談で冷戦の終結を宣言
  • 1991年 湾岸戦争開始、クウェートに侵攻したイラクを攻撃

クリントン

民主党

  • パレスチナ暫定自治協定の仲介
  • 北米自由貿易協定(NAFTA)の発効にこぎつける

G.W.ブッシュ(ブッシュ子)

共和党

  • 2001年 同時多発テロ事件に直面
  • 2001年 同時多発テロ事件の首謀者であるビン=ラーディンの潜伏先であったアフガニスタンを攻撃
  • 2003年 イラク戦争開始、イラクを攻撃

オバマ

民主党

  • アメリカ合衆国大統領ではじめての黒人大統領
  • 「核なき世界」に向けた国際社会への働きかけでノーベル平和賞を受賞

トランプ

共和党

  • 「アメリカ第一主義(アメリカ=ファースト)」をかかげる
  • 北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉、米国、メキシコ、カナダ協定(USMCA)を発効させアメリカ国内の生産に有利な形にする