この問題でおさえておきたいこと
古代ローマではラティフンディアからコロナートゥスへ変化!
ノルマン人の民族移動でリューリクはノヴゴロド国、ロロはノルマンディー公国を建国!
解答
(1) レピドゥス
(2) コンスル(執政官・統領)
(3) (例)奴隷を利用したラティフンディアから小作人を利用したコロナトゥスへ変化した。(37字)
(4)(ア) リューリク (イ) ロロ
(5) アタナシウス派(カトリック)に改宗したこと。
(6) マジャール人
(7) ヒンデンブルク
解説
西洋史を範囲とした「軍事指導者と権力」についてのテーマ史の問題です。ほとんどの問題が基本的事項について出題していますから、正解できなかった問題についてはしっかり確認するようにしましょう。
(1) レピドゥスはカエサルの部下だった人物で、第2回三頭政治に参加し、属州アフリカの統治を任されていました。
(2) コンスルは古代ローマの共和政における任期1年の最高官職で、2人選出されていました。最初は貴族のみから選出されていましたが、紀元前367年のリキニウス・セクステウス法で2名のうち1名は平民から選出することが定められたことも要確認です。
(3) ローマの征服戦争が長引くと中小農民が没落するようになり、奴隷を労働力として、彼らの農地や支配地の公有地にて農業経営をする大土地所有制(ラティフンディア)が拡大するようになりました。
しかし、征服戦争が終わって奴隷の供給が止まるようになると、奴隷に代わって小作人(コロヌス)に土地を耕作させる小作制(コロナトゥス制)が一般化するようになりました。
「30~40字程度」という字数制限があるので、ラティフンディアからコロナトゥスへの変化だけを書けばじゅうぶんです。その2つで一番違うのは、誰を労働力としたのかという点なので、それにもふれて書くとよいでしょう。
解答のチェックポイント
- 「ラティフンディア(または大土地所有制)」「コロナトゥス(または小作制)」という用語を使って変化を説明しているか
- 大土地所有制(ラティフンディア)は奴隷を、小作制(コロナトゥス制)は小作人を労働力としていることにふれているか
(4) リューリクはルーシと呼ばれるノルマン人集団を率いてドニェプル川流域にロシア国家の起源となるノヴゴロド国を建国し、ロロは西フランク国王からセーヌ川上流域を封土として与えられてノルマンディー公国を建国しました。
2つともノルマン人の民族移動で建国された国というわけですが、ほかにもノルマン人はイタリア南部に両シチリア王国(ルッジェーロが建国)、イングランドにノルマン朝(ノルマンディー公ウィリアムがイングランドを征服)を成立させました。
(5) 496年にメロヴィング朝のクローヴィスは異端派のアリウス派からアタナシウス派に改宗しました。これによりカトリック教会との提携が円滑になり、フランク王国の発展の一因となりました。
(6) オットー1世が破った民族であるマジャール人は、現在のハンガリーの主要民族でもあります。ちなみに、似た民族名で、カール大帝が破ったモンゴル系民族のアヴァール人というものがあります。混同しないように注意しましょう。
(7) ヒンデンブルクは第一次世界大戦中の1914年、タンネンベルクの戦いでロシアを破った将軍です。1925年にワイマール共和国第2代大統領に就任し、1933年にヒトラーを首相に任命しました。