この問題でおさえておきたいこと
19世紀アメリカが、外交・経済・民主主義・領土それぞれで独立国としての力を蓄えた過程を整理しよう!
領土はどこをどの国から譲り受けたかも要チェック!
解答(例)
1783年にパリ条約を結んでイギリスからミシシッピ川以東のルイジアナを獲得したアメリカは、財政難であったフランスから1803年にミシシッピ川以西のルイジアナを買収し、1819年にインディオ討伐を理由にスペインからフロリダを買収した。1845年にテキサスを併合してメキシコが反発し米墨戦争が起こるが、アメリカが勝利し、メキシコからカリフォルニアとニューメキシコを獲得した。さらに1846年にイギリスからオレゴンを獲得した。(200字)
解説
「ポイントのまとめ」の「領土の拡大」にあることを時系列にそって説明すればいいでしょう。ただし、「いつ頃」「どの地域を」「どこの国から」「何を契機に」獲得したかを説明しなければいけません。なので、それについても洗い出しましょう。
ミシシッピ川以東のルイジアナ
いつ頃…1783年
どこの国から…イギリス
何を契機に…独立戦争終結となったパリ条約
ミシシッピ川以西のルイジアナ
いつ頃…1803年
どこの国から…ナポレオンが治めるフランス
何を契機に…対英戦争に備えたいフランスの財政難
フロリダ
いつ頃…1819年
どこの国から…スペイン
何を契機に…インディオの討伐
テキサス
いつ頃…1845年
どこの国から…併合当時は独立国(メキシコから独立)
何を契機に…アメリカ人入植者による希望
カリフォルニア・ニューメキシコ
いつ頃…アメリカ=メキシコ[米墨]戦争後
どこの国から…メキシコ
何を契機に…アメリカ=メキシコ[米墨]戦争の勝利
オレゴン
いつ頃…1846年
どこの国から…イギリス
何を契機に…アメリカ人入植者の増加
これらを制限字数内におさまるようにまとめましょう。ただし、歴史用語(パリ条約、アメリカ=メキシコ[米墨]戦争)や地域名は盛り込むようにするといいでしょう。
解答のチェックポイント
- 1783年にミシシッピ川以東のルイジアナを獲得したことが書かれているか
- ミシシッピ川以東のルイジアナ獲得が許されたのがパリ条約、その条約を結んだ相手国がイギリスだということが明示されているか
- 1803年にミシシッピ川以西のルイジアナを獲得したことが書かれているか
- ミシシッピ川以西のルイジアナを譲ったのがフランス、あるいはその統治者であるナポレオンだということが明示されているか
- 1819年にフロリダを獲得したことが書かれているか
- フロリダを譲ったのがスペインだということが明示されているか
- 1845年にテキサスを獲得したことが書かれているか
- アメリカがカリフォルニアとニューメキシコを獲得し、譲ってくれたのがメキシコだということが書かれているか
- カリフォルニアとニューメキシコを獲得できた原因としてアメリカ=メキシコ[米墨]戦争にふれており、その戦争にアメリカが勝ったということが書かれているか
- 1846年にオレゴンを獲得したことが書かれているか
- オレゴンを譲ったのがイギリスだということが明示されているか
- ミシシッピ川以西のルイジアナ、フロリダ、オレゴンの少なくとも1つについて、なぜその地域を獲得できたのかについてふれているか
ポイントのまとめ
アメリカ外交方針の確立
ワシントンの孤立主義外交により、フランス革命でも中立を通す
↓
1823年 第5代大統領モンローがモンロー教書を発表
内容:アメリカ大陸とヨーロッパ諸国の相互不干渉=孤立主義の明確化
背景:ヨーロッパ旧君主国のアメリカ大陸への干渉が過熱化・アラスカへロシアが南下
ねらい:ヨーロッパのラテンアメリカ独立への干渉排除・合衆国の南北アメリカに対する支配権確立
アメリカの経済的自立の達成
1812~1814年 アメリカ=イギリス[米英]戦争
ナポレオン戦争で中立を守るアメリカに対し、イギリスが通商を妨害
↓
イギリスの工業製品流入の流入が止まり、独自の工業化が始まる
→綿工業を中心にアメリカの産業革命がスタート
アメリカの民主主義の進展
第3代大統領ジェファソンが南部地主・西部農民・都市職人の支持を背景に就任、のちにリパブリカン党結成
↓
第7代大統領に西部出身としてはじめてジャクソンが選出
- 白人男性普通選挙制の普及
- 二大政党の形成
反ジャクソン派はホイッグ党を結成(のちの共和党)
ジャクソン派は民主党を結成
同時に、西部開発にも力を入れたため、インディアンを迫害
- 先住民強制移住法を制定
- ミシシッピ川以西の保留地に強制移住(「涙の旅路」)、インディアンの人口激減
領土の拡大
- 1783年 パリ条約によりイギリスからミシシッピ川以東のルイジアナを獲得
- 1803年 フランスからミシシッピ川以西のルイジアナを買収
- 1819年 スペインからフロリダを買収
- 1840年代には「明白な天命」(マニフェスト・デスティニー)の思想が広まる
(西方への領土拡張は神から与えられた使命であると領土拡大を正当化) - 1845年 テキサスを併合
- 1846年 オレゴンを併合
アメリカ・イギリスで分割共有し、北緯49度をカナダとの国境とした - 1846年~1848年 アメリカ=メキシコ[米墨]戦争
→カリフォルニア・ニューメキシコを獲得
※1848年にカリフォルニアで金鉱が発見され、移民が殺到し(ゴールドラッシュ)、人口が急増しました。