問題ページにもどる

この問題でおさえておきたいこと

一次遷移は遷移の過程を確認しよう!
二次遷移は一次遷移と異なる点と遷移が速い理由をチェック!

解答
問1 ⑥   問2 ⑦   問3 ①   問4 ③

重要事項のまとめ

・遷移とは何か

ある場所の植生(生育している植物全体のこと)が、長い年月の間に変化していく過程を遷移(植生遷移)という。遷移には次の2種類がある。

・一次遷移の過程

1.乾性遷移

裸地地衣類コケ植物が侵入(このように侵入して遷移をすすめるきっかけとなる植物を先駆種(パイオニア種)という)
これにより荒原(植物が少ない)ができる

多年生草木が侵入、定着して草原ができる
この段階で土壌ができる

草原に陽樹が侵入、陽樹による低木林ができる

日なたでよく生育する陽樹にとって、日光をさえぎるような高い木がない場所は都合がいいので、陽樹が成長していって高木林となる

林床では光の強さが弱くなるので、陽樹の幼木は生育できなくなり、弱い光でも生育できる陰樹が生育するようになる
これにより、陽樹と陰樹が混合するようになる

陽樹が枯れ、陰樹が安定的に維持されるようになっていく
これが遷移の最終的な状態であり、この状態を極相(クライマックス)という

※極相になった森林では陰樹が多く、林床では光の強さは弱いですが、陰樹が枯れて倒れた場所では日光が林床にも届くので、そこでは陽樹が育ちます。このような日当たりのよい場所をギャップといいます。

2.湿性遷移

湖沼などに全身が水中にある沈水植物(クロモなど)から遷移がはじまる

周囲の土壌の流入や植物の遺骸などの堆積で水深が浅くなる
葉が水面に浮かんでいる浮葉植物(スイレンやヒシなど)が生育するようになる

さらなる堆積で水深がさらに浅くなる
全身の大部分は水上にあって根だけが水中にある抽水植物(ヨシなど)が生育するようになる

水深がさらに浅くなり、湖沼は湿原となる
そこから草原となっていき、乾性遷移に移っていく

・二次遷移について

二次遷移では、一次遷移とちがって土壌がすでにできあがっているので、遷移の進行は速い

解説

問1 光合成は植物の成長に必要なものなので、「林冠に達してから」されるものと考えるのは不適当です。そして、同じ文の文末が「陰樹が次の世代を残せない」となっているので、それとのつながりも考えると、   ア   には種子生産が入ると考えるべきです。

そして、「陰樹が次の世代を残せない」という文言とのつながりを考えて、陰樹が発芽すると考えるのは不自然なので、   イ   には草本が入ります。または、同じ文に「明るい裸地」とあるとおり、裸地からの遷移のことなので、遷移のはじめのほうでできる草本のほうがより適当とする考え方でもいいでしょう。

   ウ   については、山火事後の場所で土壌がある状態からの遷移なので二次遷移が入るといえます。

問2 「重要事項のまとめ」を参考にすれば解くことができるでしょう。森林伐採の跡地などから始まるのが二次遷移で、溶岩台地から始まるのが一次遷移です。二次遷移でははじめから土壌が存在しているため、二次遷移のほうが遷移の進行が速いです。

問3 ①:極相となっている森林では陰樹が安定的に維持されるようになっており、種の構成にほとんど変化がみられないことが多いので、この文は正しいです。

②:「重要事項のまとめ」にあるとおり、ギャップが発生してしまうと、そこでは陽樹が生育できるぐらいの明るさになります。

③:典型的な遷移は裸地・荒原→草原→低木林→高木林という順です。

④:溶岩台地から始まる遷移は一次遷移ですが、一次遷移のはじまりでは土壌が存在しておらず、栄養塩や水分は含まれていません。

⑤:「重要事項のまとめ」にあるとおり、湖沼からはじまる遷移は湿性遷移です。

問4 極相林から土を採取したということは、陰樹の林にあった土だと考えられます。しかし、実験1での芽ばえは、その極相林の主要な構成種ではなかったことと、日当たりの良い条件のもとで芽生えたことから、陽樹の芽ばえだと考察できます。

実験2での芽ばえも実験1と共通ですから、陽樹のものであるとしている③が正解となります。極相林の構成種と関係がないものが芽生えたのですから、極相林と残したものから芽生えたとする①・④は不適ですし、②では芽生えたのが陰樹ということになるので、その部分が誤りといえます。