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この問題でおさえておきたいこと

生物の分類体系の例である五界説や三ドメイン説をくわしくおさえよう!
進化の道筋を示した系統樹を上手に読み取ろう!

解答
問1
   ア   …原核生物(モネラ)   
   イ   …原生生物(プロティスタ)
   ウ   …動物   
   エ   …菌   
   オ   …植物
問2
ⓐ…原核生物界(モネラ界)   
ⓑ…植物界
ⓒ…動物界   
ⓕ…原核生物界(モネラ界)
問3
ⓐ…真正細菌ドメイン(細菌ドメイン)   
ⓑ…真核生物ドメイン
ⓒ…真核生物ドメイン   
ⓓ…真核生物ドメイン
ⓔ…真核生物ドメイン   
ⓕ…古細菌ドメイン
問4
1)葉緑体…Ⓐ   ミトコンドリア…Ⓑ
2)(例)Ⓑが示すミトコンドリアは全ての真核生物にあり、Ⓐが示す葉緑体は植物のみにあるので、Ⓑが共生して真核生物が生じ、その後にⒶが共生して植物が生じたと考えられるため。(80字)
3)ⓑ…①   ⓒ…②   ⓓ…②

重要事項のまとめ

・生物の分類

1.分類の単位

形態的・生理的に共通した特徴をもつ個体の集まりのうち、「自然状態で交配して子孫を残し、その子孫が繁殖能力をもつもの」をと定義され、これが分類の基本単位になっている
種は共通性の程度によって段階的にグループ分けでき、現在はこのような階層構造になっている

ドメイン

例:イヌの場合
ドメイン…真核生物
界…動物界
門…脊椎動物門
綱…哺乳綱
目…ネコ目
科…イヌ科
属…イヌ属
種…イヌ

2.生物の名前

生物の種には、世界共通の学名がつけられていて、学名は属名種小名を並べて書く二名法が使われている(リンネが18世紀中ごろに確立)。

例:ヒトはHomo sapiens
(ギリシャ語やラテン語を用いてこのように斜体で書く)

・進化の系統

生物の進化の過程を系統という。

共通の祖先から進化・派生して現在はいろいろな種ができているが、共通性が多いほど祖先から分かれた時間が短いと考えられる。このように系統をもとに分類することを系統分類といい、進化した道筋を樹木のような形にして表したものを系統樹という。

近年では、DNAの塩基配列やたんぱく質のアミノ酸配列によって分類できるようになり、その分子データにもとづいてつくられる系統樹を分子系統樹という。

・生物の分類体系

1.五界説

アリストテレスが植物と動物を分けた二界説からはじまり、ヘッケルが三界説を唱え、その後ホイッタカーが提唱してマーグリスなどが改良してできた五界説ができた。この五界説では、生物を原核生物界(モネラ界)原生生物界植物界動物界菌界の5つに分けている。

2.三ドメイン説

ウーズらは、リボソームRNAの塩基配列を解析し、その成果から、生物を細菌(バクテリア)古細菌(アーキア)真核生物(ユーカリア)の3つに分けている。

解説

問1 「重要事項のまとめ」で説明した五界説の分類を入れて解くことができます。「   ア   界」は細菌類が分類される界なので原核生物界(モネラ界)、「   イ   界」はゾウリムシやアメーバなどが分類される界なので原生生物界です。

   ウ   界」と「   エ   界」の区別が難しいところですが、「摂取によって栄養を獲得する」というところを、その対象を直接食べて栄養をとると解釈して「   ウ   界」は動物界、「吸収によって栄養をとる」というところを、その対象を分解して有機物を吸収すると解釈して「   エ   界」は菌界と判断します。

   オ   界」は「光合成により栄養をとる」ともあるので、残った植物界とできます。

問2 問4と重なる部分がありますが、ⓐの持っている葉緑体やミトコンドリアが共生してます。シアノバクテリアの葉緑体や好気性細菌のミトコンドリアが共生するのですから、ⓐは原核生物界(モネラ界)と判断できます。そして、特に葉緑体やミトコンドリアなどの共生などをしていないでそのままの形を維持したⓕも原核生物界(モネラ界)です。

また、この部分も問4と重なりますが、ⓑは葉緑体の共生を受けているので、ⓑは植物界と判断できます。残ったⓒが動物界です。

問3 「重要事項のまとめ」で説明した三ドメイン説の分類を入れて解くことができます。残りの動物界、植物界、菌界に分類される生物は、真核生物ドメインとなります。

問2の解説でふれましたが、ⓐはシアノバクテリアや好気性細菌などの分類の生物です。シアノバクテリアや好気性細菌などは真正細菌ドメイン(現在は細菌ドメインというのが普通)です。そして、原核生物だけども葉緑体やミトコンドリアがない生物がⓕですので、ⓕは古細菌ドメインに分類されます。

残りの動物界、植物界、菌界に分類される生物は、真核生物ドメインとなります。

問4

1)Ⓐはⓑのみ共生していますが、Ⓑはⓑ~ⓔと幅広い生物に共生しています。ここから、ⓑは植物界をあらわしていて、植物にしか存在しない葉緑体をⒶがあらわしていると判断できます。ミトコンドリアは植物にも動物にも存在していますので、Ⓑはミトコンドリアをあらわしていると考えればつじつまが合います。

2)問2、問4の1)の解説を参考にしてください。

解答のチェックポイント

3)ⓑ,ⓒ,ⓓすべて真核生物なので、細胞核はどれも「有」です。また、ⓑ~ⓔにミトコンドリアが共生したのですから、ⓑ,ⓒ,ⓓすべてミトコンドリアは「有」です。

葉緑体は動物にはありませんが、植物にはあります。そして、菌界に分類される生物はふつう光合成をしませんので、葉緑体はありません(そもそも葉緑体はⓑにしか共生していません)。よって、ⓑはすべて「有」ですが、ⓒ,ⓓは葉緑体だけ「無」です。