この問題でおさえておきたいこと
重複受精の過程でできる細胞などは図を使って名称を覚える!
核相やDNA量の変化についてもおさえる!
解答
A
B
イネ,エンドウ
C
卵細胞:$n$ 胚:$2n$ 胚乳:$3n$
D
1 …助
2 …花粉管誘引
3 …阻害
E(例)
変異$m$のヘテロ接合体から得た花粉から出た花粉管は、50%の確率で重複受精が起こり、その場合は残りの助細胞の花粉管誘引物質の放出はなされない。重複受精が起こらなかった場合では、助細胞の花粉管誘引物質の放出がなされるので、2度目の花粉管進入が起こり、そのうち50%で同様に重複受精が起こる。これは50%の50%なので全体のうちの25%ということになるので、全体として50%+25% = 75%の確率で重複受精が成立することになる。
重要事項のまとめ
・被子植物の配偶子の形成
1.精細胞の形成
おしべの葯にて、1個の花粉母細胞(核相:$2n$)が減数分裂をして花粉四分子(核相:$n$)という4個の細胞になる
↓
花粉四分子のそれぞれは、花粉管細胞とその中にある雄原細胞(核相:$n$)に分かれて、やがて花粉となる
↓
花粉が柱頭につくと、胚珠の方向に花粉管を伸ばす
その花粉管の中で雄原細胞が分裂して2個の精細胞(核相:$n$)となる
2.卵細胞の形成
![高校 生物 問題演習 卵細胞が作られるまでの、核あたりのDNA量の変化を示したグラフ](doubleJusei_ransaibo.jpg)
胚珠にて、胚のう母細胞(核相:$2n$)が形成され、減数分裂をして1個の胚のう細胞(核相:$n$)と3つの小さな細胞になる
↓
胚のう細胞が3回の核分裂をして8個の核を生じる
↓
胚のう細胞は右の図のようになる。つまり、8個の核のうち、
3個は1個の卵細胞(核相:$n$・図の⑤)と2個の助細胞(図の④)の核となる
ほかの3個はそれらの反対側で反足細胞(図の①)となる
残りの2個は中央に集まって極核(図の③)とよばれる中央細胞(核相:$2n$・図の②)の核となる
・重複受精
雄原細胞が分裂してできた2個の精細胞が花粉管の中を移動して胚のうに着くと、1個が卵細胞と受精して受精卵となり、それが成長すると胚(核相:$n+n$ = $2n$)になる
もう1個のほうは中央細胞と受精し、それが成長すると胚乳(核相:$2n+n$ = $3n$)になる
このとき、助細胞と反足細胞は退化していき、消失する
※重複受精は被子植物のみでみられるものであり、裸子植物やシダ植物などでは起こりません。
解説
A まず、胚のう母細胞が減数分裂をして胚のう細胞などになります。減数分裂では、S期でDNAの複製がされるので、このときにDNA量が2倍、つまり4となります。
そして、第一分裂が終わると、細胞は2つになるのでDNA量は2つに等分されますから、DNA量は2に戻り、第二分裂が終わると、さらにDNA量は2つに等分されますから、DNA量は1となります。
この減数分裂が終わって胚のう細胞ができますが、この胚のう細胞はさらに3回核分裂をします。核分裂の過程では、S期でDNAの複製がされるのでここでDNA量は2となりますが、分裂が終わったら、DNA量はまた1に戻ります。この変化が3回つづくグラフをかけば完成となります。
B 「重要事項のまとめ」にあるとおり、重複受精は被子植物のみでみられるものですから、与えられた選択肢から被子植物を選べばいいということになります。よって、イネとエンドウの2つが答えとなります。
C 「重要事項のまとめ」にある説明を参考にしてください。
D 花粉管が2本進入するのは、実験1の結果2・3より、重複受精が成立しなかった胚のうだとわかります。ところが、実験2で助細胞の1つを破壊すると、花粉管は1本しか進入しないようになります。
このことより、助細胞1個につき1本の花粉管を誘引する物質を放出していると考えられます。よって、花粉管を2本以上進入させないためには、その助細胞の機能を妨げるようにすればよいということになります。
E 実験2の結果1より、変異$m$のヘテロ接合体の花粉では50%の確率で重複受精が起こると考えることができます。そして実験1の結果1・2より、助細胞による花粉管誘引物質の放出が阻害されるきっかけの1つが重複受精だと推測できます。
すると、重複受精に成功しなかった50%については2本目の花粉管が進入することになりますが、このときにも重複受精が起きます。つまり、この2本目の花粉管で50%の確率で重複受精が起きます。
すなわち、全体の4分の3が重複受精に成功するわけですが、そのうちの3分の2は1本目の花粉管、3分の1は2本目の花粉管の進入のときに重複受精をしていたというわけです。
解答のチェックポイント
- 変異$m$のヘテロ接合体から得た花粉は50%の確率で重複受精を起こすことにふれているか(1本目の花粉管進入で重複受精に成功する確率が50%であることを述べているか)
- 2本目の花粉管進入で重複受精に成功するのは、全体の25%であることを述べているか
- 以上2つの合計だから75%になるということを述べているか