この問題でおさえておきたいこと
微小管、アクチンフィラメント、中間径フィラメントそれぞれについて、どういうはたらきをするか、何のモータータンパク質を持つかをおさえよう!
解答
問1 アデノシン三リン酸(ATPでもOK)
問2 イ、ウ
問3 中心体(中心小体、中心粒という解答でもOK)
問4 ウ
問5 (例)リソソームは神経終末に蓄積されたタンパク質を分解する。それによる生成物はダイニンによって神経終末から細胞体へと逆行輸送され、細胞体部分にてまた利用される。(77字)
重要事項のまとめ
重要用語
・細胞骨格…
細胞内に広がっている繊維状の構造。これにより、細胞の形が維持されていたり、細胞内の物質輸送ができたりする。
・モータータンパク質…
細胞骨格をレールのようにしてその上を移動するタンパク質
細胞骨格の役割を果たすのに必要
ATP分解酵素を持っていて、ATPを分解して得られるエネルギーを利用している
細胞骨格のはたらきとモータータンパク質
主に次の3つの細胞骨格がある
・微小管
構成タンパク質…チューブリン
モータータンパク質…ダイニン、キネシン
はたらき…べん毛・繊毛運動、染色体の移動、細胞小器官の移動
※ダイニンは神経細胞では神経終末から細胞体へ物質を輸送し、キネシンは神経細胞では細胞体から神経終末へ物質を輸送します。
・アクチンフィラメント
構成タンパク質…アクチン
モータータンパク質…ミオシン
はたらき…アメーバ運動、原形質流動、筋収縮
・中間径フィラメント
構成タンパク質…ケラチン
モータータンパク質…(なし)
はたらき…細胞の形の維持
解説
問2 アは微小管とキネシン、ダイニンが関与している現象、エとオは微小管とダイニンが関与している現象です。
問3 卵内に進入した精核は中心小体が前側となりますが、その中心小体は複製されて中心体となり、さらに無数の微小管が伸びて星状体が形成されます。その星状体が接すると卵核も移動し、2つの核が融合されるのです。
問4 ア、イ:ミトコンドリアはA,Bどちらにもたまっています。ということは、順行輸送も逆行輸送もされていることになりますから、キネシンもダイニンも関与しているということになります。
ウ:キネシンがAにたまっているわけなので順行輸送をしているということがわかります。そして、もし神経終末側で合成されているならBのところにもたまるはずですが、それがありませんから細胞体でつくられていることもわかります。
エ:ダイニンはキネシンと輸送方向が逆だと問題文にありましたから、逆行輸送にはたらきます。ダイニンがAにたまっているのは、順行輸送しているからではなく、ダイニン自身が神経終末側へと輸送されているところだからです。
オ:Aにもたまっていて、ダイニンは神経終末側へと輸送されているということは、ダイニンがつくられているのは細胞体ということになります。
問5 リソソームは細胞内外の物質を加水分解し、細胞内消化をする細胞小器官です。
このリソソームがBにたまっているということは、逆行輸送をされていることがわかります。逆行輸送をされているということは、リソソームの輸送にはダイニンが関わっているということになります。「輸送のしくみ」についても解答でふれるよう問題文の指示にありましたから、このダイニンの逆行輸送についても書く必要があるでしょう。
リソソームが逆行輸送されているということは、神経終末側で分解をしたと考えられますが、何を分解したかについては、問題のリード文からタンパク質と考えるのが自然でしょう。以上のことを解答にまとめるといいですね。
解答のチェックポイント
- リソソームのはたらきは、神経終末にあるタンパク質を分解することであることが示されているか
- 分解されたものはダイニンによって輸送されることが示されているか
- 輸送の方向は神経終末側から細胞体側であることが示されているか
- 輸送されたものは細胞体にて再び利用されるということが示されているか