この問題でおさえておきたいこと
染色体数に注意して、第一分裂期と第二分裂期でどのような分裂をしているかをつかもう!
解答
問1 ④ 問2 ③ 問3 ②
重要事項のまとめ
・減数分裂とは
減数分裂…精子や卵のような配偶子(生殖細胞)をつくるための分裂
・減数分裂の過程
2回の分裂が連続して起こる
DNA量を2、核相(相同染色体の数)を$2n$とすると…
間期
- DNAの合成
→DNA量が2倍に(=DNA量は4)
第一分裂
前期
- 相同染色体どうしが対合し、二価染色体ができる
- 中心体が2つにわかれる
- 相同染色体どうしで遺伝子を交換する乗換えが起こることもある
中期
- 二価染色体が赤道面に並ぶ
- 中心体から紡錘糸が伸びてきて染色体の動原体に結合する
(=紡錘体の形成)
後期
- 二価染色体が分離し、両極に移動
終期
- 2つの細胞に分裂し、核膜もできる
- 終期が終わるときにはDNA量は2、核相は$n$になる
(←二価染色体としてくっついていた相同染色体が分裂してしまったため)
第二分裂…ここからは体細胞分裂と同じ
前期
- 核膜の消失、染色体の形成
中期
- 染色体が赤道面に並ぶ
- 紡錘体が完成
後期
- 染色体が2本に裂け、それぞれが両極に移動する
終期
- 2つの細胞に分裂し、核膜もできる
- 終期が終わるときにはDNA量は1になり、核相は$n$のまま
(←二価染色体としてくっついていた相同染色体が分裂してしまったため)
解説
問1 ①:葯のほうではつぼみの長さが15mmのときに、胚珠のほうではつぼみの長さが50mmのときに減数分裂が始まっていますから、葯内における減数分裂のほうが早く始まっています。
②:減数分裂が起こっているのは、葯のほうではつぼみの長さが15mm~25mmの間、胚珠のほうではつぼみの長さが50mm~140mmの間なので、胚珠内における減数分裂のほうが時間がかかっています。
③:「分裂の進行の同調性」とは、細胞どうしの分裂のタイミングがそろっているということです。葯については、つぼみの長さが25mmのときに第一分裂と第二分裂の細胞が混じっていますが、胚珠については、つぼみの長さが110mmのときに第一分裂と第二分裂、さらに分裂が終わったものが混じっています。よって、葯のほうが同調性が高いです。
④:葯については、第一分裂がつぼみの長さ15mm~25mmの間で第二分裂が25mmのときのみ、胚珠については第一分裂がつぼみの長さ50mm~140mmの間で第二分裂が90mm~140mmの間のときに起こっていますから、どちらも第一分裂のほうが時間がかかっています。よって、この文が正しいです。
⑤:減数分裂において、第一分裂と第二分裂の間に間期はありません。
問2 ①:相同染色体の対合が起こるのは第一分裂の前期で、これにより二価染色体ができるので、正しいといえます。
②:乗換えが起こるのは第一分裂の前期なので、正しいといえます。
③:相同染色体の分離が起こるのは第一分裂の後期なので、これが誤りといえます。
④:紡錘体の極は1個の細胞につき2つあります。第二分裂ではもとの細胞が2個に分かれてという形になっていますから、紡錘体の極は2×2 = 4個なので、正しいといえます。
⑤:「重要事項のまとめ」にもあるとおり、第二分裂は体細胞分裂と同じ過程をたどりますから、正しいです。
問3 第一分裂の中期について、「染色体数」といわれると相同染色体の本数か、二価染色体の本数かどちらを答えればよいか迷われたかもしれませんが、「『観察される』染色体数」とあることに注意してください。
第一分裂の中期では、相同染色体が対合して二価染色体となっていますから、観察できる染色体とは二価染色体のことといえます。\( 2n = 24 \)ですから、二価染色体の本数は12本です。
第二分裂の中期では、核相は$n$ですから、\( n = 12 \)となり、12本の染色体が観察されます。