この問題でおさえておきたいこと
組換え価の計算方法を応用して考えよう!
遺伝子間の距離が遠いほど乗換えは起こりやすくなる!
解答
(1) $WwTtBb$
(2) 120
(3) 80
(4) (ア) 12 (イ) 8 (ウ) $w$ (エ) $b$
重要事項のまとめ
・乗換えと組換え
相同染色体の間で、染色体の一部が交換されることがあり、この現象を乗換えという。
これにより、遺伝子の組み合わせが変わることがあり、この現象を組換えという($A$と$B$の遺伝子について、$Ab$と$aB$をもつ配偶子ができる、など)。
・組換え価
全部の配偶子のなかで組換えがどれぐらいの割合で起こったかを示す値。以下の公式で求まる。
組換え価(%) = | 組換えの起こった配偶子の数 | ×100 |
全部の配偶子の数 |
・染色体地図
染色体にある遺伝子の位置を示したもの。
モーガンの「組換え価が大きいほど遺伝子間の距離も長くなる」という考えが前提になっている。
解説
(1)$WWTTBB$と$wwttbb$の間でできた子どもということになりますから、遺伝子型は$WwTtBb$です。
(2)本来ならば、$WB$と$wb$の遺伝子の組み合わせだけということになるはずですから、「赤眼・丸眼」と「白眼・棒眼」の形質のものしか現れないはずです。しかし、乗換えが起こることによって、「赤眼・棒眼」($Wb$)と「白眼・丸眼」($wB$)の形質のものもできます。
ですから、乗換えの起こった個体は、「赤眼・棒眼」と「白眼・丸眼」の個体だということになります。これらの数は、
56+52+7+5 = 120
(3)(2)と同じように考えると、乗換えが起こることによってできた個体は、「正常翅・棒眼」($Tb$)と「切れ翅・丸眼」($tB$)の形質のものです。この個体の数は、
35+33+7+5 = 80
(4)染色体地図をつくる問題ですから、組換え価を求めないといけません。まず、$w$と$b$についての組換え価ですが、1000個体中、組換えが起こったのは(2)より120個体なんですから、
\( \displaystyle \frac{120}{1000} \) = 12%
$t$と$b$についての組換え価については、1000個体中、組換えが起こったのは(3)より80個体なんですから、
\( \displaystyle \frac{80}{1000} \) = 8%
$w$と$t$についても考えましょう。乗換えが起こることによってできた個体は、「赤眼・切れ翅」($Wt$)と「白眼・正常翅」($wT$)の形質のものです。その数は、
56+52+35+33 = 176なので、組換え価は、\( \displaystyle \frac{176}{1000} \) = 17.6%
以上のことから、$w$と$t$が一番離れていることになりますから、(ウ)に入るのが$w$で、(エ)に入るのが$b$となります。(ア)に入るのが$w$と$b$についての組換え価である12、(イ)に入るのが$t$と$b$についての組換え価である8となります。
ちなみに、「(ア)の数値が12で、(イ)の数値が8なら、$w$と$t$についての組換え価は12+8 = 20%になるんじゃないのか?」と疑問に思われたかもしれませんが、17.6%となってしまっているのは、二重乗換えが起こったからだと考えられるので、矛盾はしません。