この問題でおさえておきたいこと
旧石器時代は気候や打製石器、化石人骨をチェック!
縄文時代は衣食住のほか風習や道具、交易についてもおさえる!
解答
1 イ 2 エ
3 オ 4 ア
5 エ 6 ア
7 ウ
解説
1 日本では、後期旧石器時代の後半ごろにつくられたと考えられている局部磨製石斧が多く出土しています。後期旧石器時代ごろと考えられる磨製石器が発見されているのは、日本とオーストラリアだけです。
2 「ポイントのまとめ」を参照してください。
3 下線③を含む文の1つ前の文を見ると、「一万年前頃から」とあることから、縄文時代について考えればよいとわかります。
すると、オの選択肢にある「農耕牧畜」について、「農耕」は日本の弥生時代から始まり、「牧畜」は日本で行われていたというはっきりとした証拠がありません。つまり、オは縄文時代における事柄として適切ではありません。
4 「ポイントのまとめ」にもあるとおり、縄文時代の採集の対象となっていたのは木の実でした。石皿やすり石は、木の実をすりつぶすために使われていたということをヒントに解いてもいいでしょう。
5 弥生時代になって青銅器や鉄器が日本に伝わりました。よって、青銅器の一種である銅鐸が縄文時代とは無関係のものとわかります。
6 「ポイントのまとめ」でもふれられているとおり、更新世を迎えて温暖化が進んだことで海面が上昇し、現在の日本列島の姿がかたちづくられていきました。
7 与えられた選択肢のうち、エやオの集落はまったくなじみがないことだろうと思われます。そのような選択肢はいったん除外して考えてみましょう。また、アやイの高地性集落や環濠集落は弥生時代にみられた集落です。以上より、ウが最も適切でしょう。
ポイントのまとめ
・旧石器文化
1)気候
地球は更新世(氷河時代)を迎えており、日本列島が大陸と陸続きになっていたことがあった。
→陸続きのときに、ナウマンゾウやマンモス、オオツノジカなどの大型動物が日本に分布
(長野県の野尻湖ではナウマンゾウの化石が発見)
2)道具
打製石器を使用
- 石斧…ハンドアックスともいう。大型動物への打撃に使う。
- 石刃…肉を切るときのナイフとして使う。
- 尖頭器…やりのように突いて使う。
- 細石器…木の柄などにはめこみ、投げやりなどとして使う。末期ごろから使われ始める。
3)発見された化石人骨
世界では、人類は猿人,原人,旧人,新人の順に出現していた。
沖縄県の港川人、静岡県の浜北人が、日本で発見された旧石器時代で有名な新人である。
・縄文文化
1)気候
地球は完新世を迎えて温暖化
→海面が上昇し(縄文海進)、日本列島が形成
2)食生活・住居
旧石器時代は主に狩猟や採集で食料を調達していたが、食料獲得手段が多様化した。
- 狩猟…
大型動物ではなく、イノシシやニホンシカなど中小動物を対象に、弓矢や落とし穴を使って狩りをした。 - 採集…
完新世になり植生が変化することで、豊富な木の実を採集するようになった。 - 漁労…
骨角器を釣り針やもりに使用し、丸木舟に乗って魚介類をとった。
食料獲得手段の変化で生活が安定するようになり、竪穴住居をつくって定住がすすむ。
食べた貝がらなどを捨てるゴミ捨て場としての貝塚などもできる。
※貝塚の例として、アメリカ人のモースが発見した大森貝塚(東京都)、国内最大の貝塚である加曽利貝塚(千葉県)などがあります。
3)道具
磨製石器が使用されるようになった。
- 石鏃…矢の先に取り付ける。
- 石匙…動物の皮をはぐときに使う。
- 石皿・すり石…木の実をすりつぶすときに使う。
- 石錘…魚をとるための網のおもりに使う。
- 縄文土器…土器の形によって、草創期・早期・前期・中期・後期・晩期という6つの時期に区分できる。
4)交易
産地が限定される石が別の場所から出土している。
=遠方の集団と交易が行われていた。
- 黒曜石…
長野県の和田峠や熊本県の阿蘇山、北海道の十勝岳などが産地 - ひすい…
新潟県の姫川などが産地 - サヌカイト…
奈良県の二上山などが産地
5)信仰・風習
自然物や自然現象には精霊が宿っているというアニミズムの考えがあり、この影響を受けてさまざまな信仰や呪術、風習が生まれた。
- 屈葬…
死者を埋葬するときに、その死者の体を折り曲げる。
魂が体から抜け出て迷ってしまうことを防ぐために行った。 - 抜歯…
成人になるための通過儀礼として歯を抜いた。 - 土偶・石棒…
土偶は女性をかたどって(意図的な欠損がみられる)、石棒は男性生殖器をかたどってつくられている。