この問題でおさえておきたいこと
国際環境の変化がアメリカの占領政策に影響し、日本の経済政策にどのような変化を与えたのかを理解しよう!
解答
1.イ 2.イ 3.ア
4.エ 5.イ 6.イ
解説
3.経済安定九原則の9項目を覚えていなくても、当時の時代背景などをもとに正解にたどり着くことができます。
当時の日本は急激なインフレーションに悩まされており、そしてアメリカの援助なしに日本経済を存続させることができませんでした。この状態を脱却し、アメリカの援助に頼らずとも日本経済を持続させることができるようにしなければなりません。
そのためには、インフレーションを収束させることが必要ですが、貸出を促進して出回る通貨量を増やせば、インフレーションがさらに加速してしまいます。よって、これが9項目に入るはずがありません。
5.シャウプ勧告では、所得税中心主義の方針がとられていますが、所得税は直接税であるため、間接税中心主義は誤りといえます。
6.高田事件は1883年に、新潟県で政府高官の暗殺を計画したとして、自由党員が処罰された事件で、自由民権運動への弾圧事件の一つとされています。
ポイントのまとめ
当初のGHQの対日政策方針は、日本の非武装、経済集中排除=日本を軍事的にも経済的にも小国にしておく目標
この方針下のころは、日本経済は窮乏したまま
さらに、物資不足・復員による失業者増大により、悪性インフレの発生
これをおさえるためにとられた政策・方式
1.金融緊急措置令
幣原喜重郎内閣が1946年に発令
新円を発行し、旧円の流通を禁止、一定額以上の預金も封鎖して貨幣流通量をおさえようとした
↓
効果は一時的
2.傾斜生産方式
第1次吉田茂内閣から実施
資金と資材を石炭・鉄鋼などの重要産業部門に集中して投下
資金は復興金融金庫から出される
↓
あふれるほどの資金や賃上げの圧力
↓
復金インフレ
↓
窮乏生活から労働運動が激化
例:
・食糧メーデー(1946年5月)
・二・一ゼネスト計画(1947年)
…全官公庁共同闘争委員会が計画した戦後最大の労働闘争計画。前日にGHQが中止命令。
↓
東西冷戦の激化
例:
・朝鮮半島の南半分に大韓民国(自由主義陣営)、北半分に朝鮮民主主義人民共和国(社会主義陣営)が成立
・社会主義陣営の中華人民共和国が成立
↓
GHQが対日政策を転換
小規模の再軍備を認め、経済的に強力な同盟国にする目標
この目標のためにアメリカが日本に要求したこと
1.経済安定九原則
1948年にGHQが吉田内閣に出した日本経済自立のための指示。
予算の均衡・徴税強化・資金貸出制限・賃金安定・物価統制・貿易改善・物資割当改善・増産・集荷改善の9項目。
2.ドッジ=ライン
デトロイト銀行頭取であるドッジによる、経済安定九原則の実施のための具体策。
赤字を許さない超均衡予算の編成・単一為替レートの設定。
3.シャウプ勧告
コロンビア大学教授であるシャウプによる税制改革の勧告。
所得税中心主義・地方税の独立・資本蓄積のための減税などを勧告した。
↓
不況が深刻化、労働運動の激化による事件の発生
例:
・下山事件…国鉄総裁である下山定則が常磐線綾瀬駅付近で死体で発見された
・三鷹事件…東京中央線の駅構内で無人電車が暴走
・松川事件…東北本線で起こった列車転覆事件