この問題でおさえておきたいこと
国際社会はどのようにして秩序を維持しているのか、国際連盟はどのように成立してどんな欠点があったために破綻したのかを確認しよう!
解答
(1)
A …主権国家
B …ウェストファリア条約
C …グロティウス(グロチウスでもOK)
D …ハーグ
(2)
a…ア b…カ
(3)
①…エ ②…ア ③…イ
(4)
イ
解説
(1)すべて「ポイントのまとめ」を参照すると何が入るかわかるかと思います。ちなみに、 D に関連する内容ですが、国際紛争の平和的処理条約は開催地の場所からハーグ条約と呼ばれていて、それ以来、国際的な裁判所の所在地はハーグとなっています。
(2)《 a 》については「ポイントのまとめ」を参照すると理解しやすいかと思います。
《 b 》に関連することとして、平時国際法の平時とは平常時のことを意味し、平常時に適用される国際法のことをいいます。国際組織や国際紛争の解決などについて規定しています。
一方、戦時国際法とは戦争時の軍事組織などに対する義務を定めた国際法です。戦闘員以外の民間人を殺傷したり、捕虜となった敵国の兵士を虐待したりすることの禁止などが明文化されています。
(3)( ① )に入るのは常設仲裁裁判所で、世界最初の国際的司法機関として設立されました。第一次世界大戦後に国際連盟の機関の一つとして常設国際司法裁判所ができ、それにより役割は低下しました。ただ、存続はしていて、1990年代以降は国家間紛争の仲裁にあたる機関として機能しています。
( ② )に入るのは、さっきの説明にもふれられましたが、常設国際司法裁判所です。国際連盟の設立の際に、より実効性のある国際裁判所として設立されました。常設の15人の裁判官で構成され、判決には拘束力を持つものでしたが、国際紛争の解決として十分な活動ができませんでした。
( ③ )に入るのは国際司法裁判所です。これについては「ポイントのまとめ」で解説されているとおりです。
(4)ア:「ポイントのまとめ」にあるとおり、アメリカは国際連盟に参加していませんでしたので、この文は誤りです。アメリカは当時、モンロー主義(孤立主義)の外交を展開しており、アメリカの議会の賛成を得られなかったのです。
イ:この文に書かれている内容は正しいです。ちなみに、国際連盟の理事会の常任理事国はイギリス、フランス、イタリア、日本でした。
ウ:「ポイントのまとめ」にあるとおり、経済制裁しか行うことができなかったので、この文は誤りです。
エ:日本は国際連盟の理事会の常任理事国でしたが、満州事変での侵略行為を非難され、1933年に国際連盟を脱退しました。よって、この文の内容も誤りです。
ポイントのまとめ
・国際社会について
国際社会はそれぞれ独立した主権国家を単位として成り立っているが、国家は次の3つがあれば成立するとされている。
- 領域…
領土、領海(海岸線から12海里以内の海)、領空の3つからなる
ちなみに、海岸線から200海里以内の範囲は排他的経済水域といい、漁獲資源や地下資源の採取が認められている - 国民…
領土内に住んでいる人々 - 主権…
国民や領域を支配する力や、ほかの国から干渉されないという対外独立性を有する権利
ヨーロッパじゅうの国をまきこんだ三十年戦争を終わらせるために結ばれたウェストファリア条約により、各国はそれぞれの国を主権国家として存在を認めあうという国際社会の構造が成立した。
・国際法について
グロティウス(グロチウス)は『戦争と平和の法』にて、世界平和を実現させるために、世界中の国が守るべきルールである自然法としての国際法の必要性を説いた。
(これにより、彼は「国際法の父」と呼ばれている)
国際法には2つの種類がある。
- 条約(成分国際法)…
2つ以上の国が守るべきルールとして文章にして示したもの - 国際慣習法(慣習国際法)…
文章にされているわけではないが、各国がこれまでやっていたものがルールとして定着していったもの。
国際社会における司法機関として、主なものには次の2つがある。(どちらもオランダのハーグに設置されている)
- 国際司法裁判所…
国際紛争を解決することが目的。双方の紛争当事国が裁判することに同意しなければ裁判することができない。
国家どうしの問題が主になるので、個人を裁くことはできない。 - 国際刑事裁判所…
2002年に設置された。戦争犯罪など人道に反する犯罪を裁くことが目的。
個人を裁くことができる。
・国際連盟の成立
1)成立に至る過程
フランスの思想家であるサン=ピエールが『永久平和案』にて、国際平和機構や国際軍の設置を主張した。
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ドイツの哲学者であるカントに影響
『永久平和のために』にて、永久平和のために集団安全保障体制に基づく国際平和機構を作る必要性を説いた。
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戦争を防ぐためには敵対する国と軍事力の均衡を保ち、敵対国が攻め込みにくい状況をつくる勢力均衡により成し遂げられると考えられていたものが、第一次世界大戦の勃発により崩壊する。
多くの国々が戦争を起こさないことを約束し、その約束に違反した国に対してはすべての加盟国で制裁を加えることによって平和を維持する集団安全保障が考え出される。
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アメリカのウィルソン大統領が「平和原則14カ条」を発表、カントが説いた集団安全保障体制に基づく国際平和機構の設立を提案する。
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1920年 国際連盟が設立
2)国際連盟の欠点
①大国の不参加
設立を提案したアメリカは議会の反対により不参加
社会主義国であったソ連も当初は加盟できず(後に加盟するが、再び除名)
ドイツや日本、イタリアも後に脱退
②決議が困難な投票方法
全会一致制の投票方法であった
=反対する国が1つでもあれば決議できず、すばやい対応ができない。
③効果のない制裁
経済制裁しか行えないので、先進国などには効果がない。
また、勧告を行うだけなので法的な拘束力もなかった。