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この問題でおさえておきたいこと

新しい人権の内容だけでなく、憲法上の根拠や重要な判例、関連する法律の内容もおさえよう!

解答
問1
   A   …幸福追求
   B   …住民基本台帳
   C   …マイナンバー
   D   …環境基本
   E   …表現
   F   …特定秘密
問2
石に泳ぐ魚
問3
忘れられる
問4
b,d
問5
サンシャイン
問6
b

解説

問1

   A    「ポイントのまとめ」を参照してください。

   B    改正住民基本台帳法により、全世帯の住民票に11桁のコード番号を割り振り、一元的に管理するシステムがつくられましたが、このシステムを住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)といいます。

   C    全国民に12桁の固有の番号を割り振ることで、官庁の事務の効率化や国民の利便性向上をめざし、税や社会保障などの情報を一元的に管理することを目的にしたのがマイナンバー法で、2013年に制定されました。これにより、現在は住民基本台帳カード(住基カード)の新規発行は終了しています。

   D    公害対策基本法にかわり、さらに発展した形として環境基本法が制定されました。

   E    「ポイントのまとめ」を参照してください。

   F    防衛や外交など、行政機関の長が特定秘密に指定した情報を保護することを目的に制定されたのが特定秘密保護法です。特定秘密の取り扱いの業務に従事する公務員が漏えいしたり、民間人が漏えいを働きかけたりした場合は、処罰されることも規定されています。

問2

「ポイントのまとめ」を参照してください。

問3

インターネットが普及・発達していくにつれ、ホームページ上に自分の情報が残ったままになっていることが多くなりました。このことを背景に、検索エンジンの事業者に対し、自分の情報を削除するよう要請できる権利として忘れられる権利が主張されるようになりました。

問4

日照権は建物の日当たりを確保する権利、嫌煙権はたばこを吸わない人がたばこの煙を吸わずにすむ権利、静穏権は静穏な環境で暮らす権利のことを意味します。3つともすべて環境権の一種として主張されています。

問5

アメリカでは、行政機関に議事録などの情報公開を義務づける法律として、1966年に情報自由法、1976年にサンシャイン法が制定されました。この問題では1976年に制定されたもので6字という条件があるので、正解はサンシャイン法だと判断できます。

問6

a:情報公開法には、国民の知る権利を明記した条文はありません。

b:情報公開法では、外国人や法人による開示請求も認めています。なので、この文の内容は正しいです。

c:情報公開法に先立って、さまざまな地方公共団体で情報公開条例の制定がされていました。

d:行政機関の長が情報不開示の決定をしてそれが不服に思った場合、行政機関の長に対して審査請求をすることができます。その際、行政機関の長は情報公開・個人情報保護審査会に諮問します。その答申を受けて行政機関の長は審査請求に対する結論を出すという流れになっています。

このため、「裁判所でのみ」不開示の決定を争うことができるという内容は誤りです。

ポイントのまとめ

・新しい人権

経済成長や社会の変化により、憲法が制定されたときには想定されなかった人権が主張されるようになり、認められるようになった。

1)プライバシーの権利

自分の私生活をみだりに公開されない権利
憲法第13条の幸福追求権を根拠に主張されてきた。

判例:

関連する法律:

2)環境権

良好な環境で生活する権利
憲法第13条の幸福追求権と憲法第25条の生存権を根拠に主張されてきた。

判例:

大阪空港公害訴訟
大阪空港周辺の住民が飛行機の騒音により生活に支障があるとして、国に対して夜間飛行の差し止めと損害賠償を求めた裁判。
裁判所は損害賠償については認めたが、夜間飛行の差し止めについては却下した。

関連する法律:

環境アセスメント法
1997年制定。土地開発などをする際に自然環境に与える影響を事前に調査することを義務付ける。

3)知る権利

国や地方公共団体が管理している情報の開示を請求できる権利
憲法第21条の表現の自由を根拠に主張されてきた(マスメディアが正しいニュースを表現するには正しい情報を知る必要があるという論理)。

判例:

外務省公電漏えい事件
新聞記者が親密な関係にあった外務省の事務官から秘密文書を入手して記事にしたことで、事務官は守秘義務違反、新聞記者は機密の漏えいをそそのかしたとして起訴された。
裁判所は、秘密文書を手に入れるために事務官に接近したのは正当な取材活動の範囲とみなせず、新聞記者に有罪判決を言い渡した。

関連する法律:

4)アクセス権

マスメディアに対して反論できる権利
憲法第21条の表現の自由を根拠に主張されてきた。

判例:

サンケイ新聞意見広告事件
サンケイ新聞が自民党による共産党批判の意見広告を掲載し、共産党が反論文の掲載を求めたが、サンケイ新聞が拒否したので、共産党がサンケイ新聞を提訴した。
裁判所は、共産党の訴えを退けた。