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この問題でおさえておきたいこと

政治的無関心の内容、世論とマスメディアとの関係やマスメディアの問題点をおさえる!

解答
(1)イ   (2)ウ
(3)エ   (4)エ

解説

(1)イの文は「ポイントのまとめ」にある現代的無関心の説明に近い内容となっており、これが最も適切といえるでしょう。ちなみに、伝統的無関心は、現代では社会参加から疎外された底辺層などの一部にみられます。そして現代的無関心は若年層や貧困層に多いとされています。

(2)「ポイントのまとめ」にもあるとおり、投票率は都市部であるほど、そして年齢層が低くなるほど低くなります。つまり、高齢者や郡部地域は投票率が高いということになるので、「区部のほうが町部,村部より投票率が高い」としているウの文は適切ではありません。

(3)「ポイントのまとめ」にもあるとおり、メディアからの情報を主体的・批判的に読み解き、自らの情報を発信できる能力をメディア-リテラシーといいます。リテラシーとは読み書きの能力のことを意味します。

(4)裁判員制度は、刑事裁判に国民が参加して判決の決定に加わる制度のことなので、政治の決定に参加できるものではありません。

ポイントのまとめ

・選挙と国民

国民の間に政治的無関心が広がり、中には投票率が50%にも達していない国政選挙があるほど、選挙の投票率が低下している。
特に、都市部であるほど、そして年齢層が低くなるほど投票率が低くなる傾向がある(先進国に共通した特徴である)。

アメリカの社会学者であるリースマンは、政治的無関心には、政治はよくわからないものだから「お上」の人間に任せておけばいいとする伝統的無関心と、個人の無力感などにより積極的な態度にならない(投票しても変わらないという考え)現代的無関心の2つのタイプがあるとした。

さらに、ラズウェルは現代的無関心について3つに分類できるとした。

最近はどこの政党も支持していない人々である無党派層が増えており、その人々の投票行動が選挙の結果を左右するほどまでになっている。

また、マスメディアによる選挙についての報道が選挙の結果に影響をおよぼすこともある。これをアナウンスメント効果という。

例:劣勢が報道された候補者に同情が集まって票が集まるアンダードッグ効果、優勢が報道された候補者にさらに支持が集まるバンドワゴン効果

・選挙とマスメディア

政治や社会問題に関する世間一般の意見を世論という。
その世論をつくるうえで重要な役割をになっているのがマスメディアである。

マスメディアは行政の動きを監視し、政治家や政党などについての情報を国民に伝えることができる。だからその報道の内容によって世論をつくることも可能である。その影響力は、立法・行政・司法につぐ第四の権力とよばれるまでになっている。

マスメディアには、次のような問題点がある。

このような問題を防ぐために、国民が主体的・批判的な視点をもって、マスメディアによる情報と接する能力(メディア-リテラシー)を持つことが必要である。

・政治への参加

国民が政治に影響を与える方法としては、選挙での投票のほかに、圧力団体をつくることがある。
圧力団体とは、自分の利益のために、政府や政党、官庁に働きかける団体のことである。政党は同じ理念を持つ人が集まって政権をとることをめざすのに対し、圧力団体は政権をとることは目的としていない

圧力団体は多数決の現場ではなかなか伝わりにくい、社会のさまざまな人々の意見を行政に反映させるメリットがある。しかし、圧力団体を持たない人々の意見が反映されづらい、圧力団体との関係が深くなりすぎてほかの人々の利益をおびやかすなどの政治腐敗の原因になる、などのデメリットもある。

とくに日本では、圧力団体が特定の省庁などと強く結びつき、族議員(特定の政策分野に強い影響力を持つ議員)がサポートしている形がある。
(アメリカではロビイスト(圧力団体の代理人にあたる人)が認められている。)

現在では、国民すべてが政治や行政に近づけることが大切で、福祉や環境などにも国民が積極的にかかわることが必要と考えられている。
そこで、1998年に特定非営利活動促進法が制定され、一定の条件を満たした非営利組織(NPO)の法人化(法律に関係してくる団体になること)を認めた