この問題でおさえておきたいこと
ピコ=デラ=ミランドラ、マキャヴェリ、エラスムスの3人の思想を特にチェック!
ルネサンス期の文学や芸術で活躍した人物も重要!
解答
問1 ③ 問2 ②
問3 4 …⑤ 5 …③ 問4 ①
解説
問1 「ポイントのまとめ」にあるとおり、ピコ・デラ・ミランドラは人間には自由意志が与えられているとし、そしてそれはほかの動物と異なっていることを主張しています。この2つの内容がおさえられているのは③です。
問2 ①:この文はプラトンの理想国家論についての記述になっています。
②:「ポイントのまとめ」にあるとおり、マキャヴェリは、君主は強さやずる賢さを身につけなければならず、公明正大は本質的な姿ではないと主張しました。この文はその内容と合致しています。
③:この文は王権神授説についての記述です。社会契約論者のロックらは、これを批判しました。
④:この文は社会契約論者のホッブズの思想についての記述になっています。
問3 ①:「万能人」というキーワードや、「斬新な技法による絵画」などの記述から、レオナルド=ダ=ヴィンチについての説明と判断できます。「斬新な技法」は遠近法のことを指していると考えられます。
②:贖宥状を批判し、聖書をドイツ語に翻訳したのはルターの功績です。
③:「個々人の救済は神によって予定されて」いるというのは予定説のことで、これを唱えたのがカルヴァンです。「厳格な規律のもとにキリスト教都市を実現しようとした」とあるとおり、彼は神権政治をめざしました。
④:君主についての思想で、恩情よりも残酷さを持ち合わせているほうがよいという内容は問2で出題されたマキャヴェリの思想と合致します。
⑤:「痴愚の女神に託して当時の教会の堕落や神学者の聖書解釈の愚劣さを痛烈に風刺した」というのは、エラスムスの『愚神礼讃』についての説明です。
問4 ①:『カンツォニエーレ』を著したのは、「ポイントのまとめ」にあるとおり、ペトラルカであってボッカチオではありません。よって、この文は誤りです。ボッカチオが著したのは『デカメロン』です。
②:この文の内容は正しいです。この選択肢に書かれている「新たな表現法」とは、問3の解説にもふれられていた遠近法のことでしょう。
③:アルベルティは建築、絵画、彫刻、数学、詩作など多方面で才能を発揮し、「万能人」と呼ばれました。
④:「ポイントのまとめ」にあるとおり、この文の内容は正しいです。ダンテの『神曲』がルネサンスの先駆けとなりました。
ポイントのまとめ
・ルネサンスとは何か
中世ヨーロッパでは、キリスト教を通しての世界観やキリスト教を中心とした価値観が主流だった。
↓
キリスト教や教会によって抑圧されていた個人を解放し、自分の意思や感情によって自己の生きかたを決定しようとする人文主義(ヒューマニズム)の考えが盛んになっていく。
そのような人間らしい生きかたの模範として古代ギリシア・ローマ文化の研究がなされ、ギリシア・ローマ時代の古典文化復興をめざした運動がルネサンスである。
・ルネサンス期の思想
1)ピコ=デラ=ミランドラ
『人間の尊厳について』という演説のなかで、神は、人間に自由意志を与えたとし、ほかの動物とは異なり、人間がどのような生きかたをするのかは、その人の自由な意志によって決められると演説
→「自由意志をもつ人間」観は近代思想に大きく影響
2)マキャヴェリ
著作の『君主論』にて、政治は道徳や宗教にしばられずに人間社会の現実に応じてされなければならないと主張
政治の本質は力であり、君主は強さやずる賢さを身につけなければならず、公明正大は本質的な姿ではないと主張
3)エラスムス
著作の『愚神礼讃』にて、当時の聖職者や神学者などを批判
自由意志を肯定し、ルターと論争
4)トマス=モア
私有財産を否定し、人間が築く理想社会を描いた『ユートピア』を出版
・ルネサンス期の文化・芸術
- ダンテ…
『神曲』を当時の知識人の公用語であるラテン語ではなくトスカナ語(イタリアの地方の口語)で書く - ボッカチオ…
『デカメロン』でリアルな人間の生き方がいかに不道徳なものかを痛烈に描く - ペトラルカ…
『カンツォニエーレ』という詩集を出し、ローマ元老院から桂冠詩人の称号をもらう - レオナルド=ダ=ヴィンチ…
「モナ=リザ」や「最後の晩餐」などの絵画を描く
遠近法の技法を活用(自分という視点から世界を秩序付けようとする意識) - ボッティチェリ…
ギリシア神話やローマ神話を題材とした「春」や「ヴィーナスの誕生」などの絵画を描く
※ルネサンス期では、自分の能力を最大限に発揮し、あらゆる分野で活躍する人間は万能人とよばれ、理想とされていました。レオナルド=ダ=ヴィンチや、ダヴィデ像を作成したミケランジェロなどが万能人とみなされています。