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この問題でおさえておきたいこと

通貨の役割や金融の種類をおさえる!
日本銀行の金融政策や日本版ビッグバンは具体的な内容もつかむ!

解答
(1)イ   (2)① ウ   ② イ
(3)エ   (4)イ   (5)ウ
(6)ウ   (7)ア

解説

(1)「ポイントのまとめ」を参照してください。

(2)① 現金通貨は紙幣と硬貨があり、紙幣は日本銀行が、硬貨は政府が発行しています。また、日本の紙幣はすべて不換紙幣、つまり金と交換をすることができない紙幣です。

② 当座預金は小切手によっていつでも引き出すことができますが、定期預金は一定期間金融機関に預けないといけないものなので、いつでも引き出すということはできません。預金通貨とは金融機関に預けていていつでも引き出せば現金として利用できる通貨ですので、定期預金は預金通貨とみなされません。

(3)「ポイントのまとめ」にもあるとおり、担保なしで翌日に返す銀行どうしのお金の貸し借りでの金利が無担保コールレート(翌日物)であり、ゼロ金利政策はこれをゼロに近づけるという政策です。このために日本銀行は買いオペレーションを実施して資金を供給しているわけです。

(4)ア:金利は自由化されたので、この文は誤りです。ちなみに、金利の自由化は金融ビッグバンが始まる前になされました。

イ:「ポイントのまとめ」にあるとおり、この文は正しいです。

ウ:この文はペイオフについての説明だと考えられますが、「ポイントのまとめ」にあるとおり、銀行が破綻したときに預金は全額ではなく1000万円とその利息のみが保護されるという形になりました。よって、この文は正しくありません。

エ:銀行と消費者金融とはもともと別のものなので、この文は誤りです。

(5)直接金融は、金融機関を通さずに株式や社債を購入してもらうなど、資金を出す人と企業が直接結びついている形で資金を出してもらう形です。「ポイントのまとめ」にもあるとおり、ウの内部留保はもともと自分の資金なので内部金融です。

(6)以前はマネーサプライ(通貨供給量)とよんでいましたが、現在は国内の通貨量をマネーストックといいます。

(7)「ポイントのまとめ」を参照してください。

ポイントのまとめ

・通貨の役割と種類

通貨には現金通貨(紙幣や硬貨)と預金通貨(銀行などの金融機関に預けており引き出せば現金として利用できる通貨)の2種類がある。通貨にはおもに4つの機能(役割)がある。

※銀行は預かった預金の一部を日本銀行に預けなければなりません(支払準備金)が、残りのお金をほかの人に貸し出すことができます。貸してもらった人はそれを銀行に預け、支払準備金をひいた分のお金が別の人に貸し出され、…ということをくり返していくと、銀行業界全体で最初に預けた預金額の何倍もの金額の預金通貨をつくりだすことができます。これを信用創造といいます。

・金融の種類

資金を必要に応じてやりくりすることを金融という。金融には内部留保や資産売却などを利用して自社で資金調達をおこなう内部金融と、外部から資金を調達する外部金融がある。外部金融はさらに2つの種類に分けられる。

※内部留保や株式の発行で得た資金は自己資本、つまり自分の財産として扱えるので返す義務はありません。これに対し、社債の発行で得た資金や金融機関からの借入金は他人資本なので、返す義務があります。

・日本銀行の役割と金融政策

国のお金を発行する銀行を中央銀行といい、日本では日本銀行がそれにあたる。よって、日本銀行が世の中に出回るお金の量(マネーストック)を調節している。ほかに、日本銀行には以下の役割がある。

マネーストックの調節・管理のために、昔は金本位制度(保有している金と同じ価値だけ紙幣を発行する)を利用していたが、1929年の世界恐慌により、金の量に関係なく中央銀行の判断で自由に紙幣を発行する管理通貨制度に移行した。そして、以下の方法でマネーストックを調節している。

1)公定歩合操作

日本銀行が民間の銀行にお金を貸し出すときの利子(公定歩合、現在では基準割引率および基準貸付利率という)を景気に合わせて調整する。

景気の良いときはこの利子を上げてお金の流通しすぎを止める。
景気の悪いときはこの利子を下げてお金を流通させようとする。
ただし、金融の自由化が進んだ現在では、この方法は使われていない。

2)公開市場操作(オープン・マーケット・オペレーション)

景気の良いときは日本銀行が民間銀行に国債を売りつけて銀行の手持ちのお金を減らす資金吸収オペレーション(売りオペレーション)を実施し、お金の流通量を減らす。
景気の悪いときは日本銀行が民間銀行の持っている国債を買って銀行にお金を渡す資金供給オペレーション(買いオペレーション)を実施し、お金の流通量を増やす。

とくに日本銀行は無担保コール翌日物金利(銀行どうしがお金を貸し借りするコール市場における、担保なしで翌日に返すお金の貸し借りでの金利)を政策金利としてこの政策を実施している。

3)支払準備率操作

景気の良いときは民間銀行が日本銀行に預けなければならないお金の比率(支払準備率)を上げてお金の流通量を減らす。
景気の悪いときは支払準備率を下げてお金の流通量を増やす。

・日本の最近の金融政策

・日本の金融改革

昔の日本では護送船団方式(最も力の弱い金融機関が破綻しないように、その金融機関に歩調を合わせて保護や規制などを行う方式)とよばれる金融機関保護政策を実施

バブル崩壊後、金融改革の必要性にともない、金融ビッグバンなどの金融改革を実施
金融ビッグバンは次の3つを原則としておこなわれた

また、日本銀行法も改正され、日本銀行の最高議決機関である政策委員会に対する内閣の業務命令権が廃止されるなど日本政府からの独立性が高まった