この問題でおさえておきたいこと
内閣にある権限の内容、議院内閣制で国会と内閣はお互いにどう関係しているかを理解する!
衆議院の解散については細かい規定までおさえる!
解答
【設問1】
( ア )…行政権
( イ )…議決
( ウ )…過半数
【設問2】
( A )…2
( B )…7
( C )…6
【設問3】
( D )…2
( E )…6
【設問4】
( F )…9
( G )…8
( H )…2
解説
【設問1】おおまかには「ポイントのまとめ」にある知識で対応できるかと思われますが、とくに( ウ )は必ず正解しておきたい問題です。また、この問題で出題されたこと以外にも、内閣総理大臣と国務大臣は文民でなければならないこともおさえておきたいところです。
【設問2】「ポイントのまとめ」にある知識で対応できますが、衆議院の解散についての条文は重要度が高いですから、細かな数字などもふくめてしっかり確認しておくとよいでしょう。
【設問3】2001年に1府12省庁へと再編されることによって、行政のスリム化が実現されるかと思われました。しかし、実際には、もともと省庁にあったさまざまな権限が独立行政法人に移っただけで、行政のスリム化はさほど進展しなかったとも言われています。
【設問4】難関大学の入試問題などになると、国会審議活性化法によって国会や内閣にどのような変化がもたらされたかが問われることがあります。ポイントとして次の3つをおさえておくとよいでしょう。
- 国務大臣を補佐する政務次官の廃止、そのかわりに副大臣と大臣政務官の設置
- 政府委員制度の廃止
(官僚が国務大臣にかわって国会答弁を行うことができなくなった) - 党首討論制(クエスチョン・タイム)の導入
(重要な問題について野党の党首が内閣総理大臣や国務大臣に質問し討議する)
ポイントのまとめ
・内閣の権限
内閣は行政府であり、憲法第65条にも「行政権は、内閣に属する」と定められている。
具体的には、内閣には次のことをおこなう権限が与えられている。
- 法律の執行
- 条約の締結(ただし、承認は国会がおこなう)
- 外交関係の処理
- 予算や法律案の作成(ただし、議決は国会がおこなう)
- 政令の制定
- 恩赦の制定(ただし、認証は天皇がおこなう)
※このほかにも、天皇の国事行為への助言と承認、最高裁判所長官の氏名、その他の裁判官の任命が内閣の権限として憲法に定められています。
憲法第66条に定められているとおり、内閣は内閣総理大臣と国務大臣で構成されており、内閣総理大臣と国務大臣は文民でなければならない。
国務大臣は内閣総理大臣が任命し、過半数は国会議員から選出されなければならない。
内閣総理大臣とすべての国務大臣が参加して行政の運営を決定する会議を閣議といい、全会一致で決定がされる。
・議院内閣制
憲法第66条に定められているとおり、内閣は国会の信任にもとづいて成立し、国会に対して連帯して責任を負うというしくみになっている。これを議院内閣制という。
(つまり、国会と深くかかわることで内閣は成り立っている)
国会と深くかかわっているっことがわかる例:
①内閣総理大臣は国会議員の中から国会が指名し、さらに内閣総理大臣は国務大臣を選ぶが、その過半数は国会議員でなければならない。
②衆議院は内閣の仕事が信頼できなければ内閣不信任決議案を提出でき、もしそれが可決された場合、内閣は10日以内に衆議院を解散させるか総辞職しなければならない。
※内閣が衆議院を解散した場合、解散から40日以内に衆議院の総選挙を実施し、総選挙から30日以内に特別国会が召集されて新しい内閣総理大臣が指名されます。その特別国会の日に内閣は総辞職をしなければなりません。
・日本の行政機構
2001年より1府12省庁(1府とは内閣府である)に再編され、各省庁が職務を分担している。
また、内閣から独立した中立・公平な立場から、専門的な知識が必要になる特定の行政分野に対応する行政委員会も存在する(例:公正取引委員会など)。
行政委員会は、法的な拘束力をもつ規制や裁決ができる。